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EUで森林破壊を食い止めるための新ルールが発効

気づけば一年間も更新をサボってしまったので
雰囲気を変えて、気になったトピックをザクっと紹介していこうと思います。

https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/05/16/council-adopts-new-rules-to-cut-deforestation-worldwide/

EU公式サイトからの引用です。

要約すると、
EUは2021年以降の指定生産物に対して、その生産過程で森林破壊や森林劣化を起こしていないことを保証する必要があるという規制を打ち出した
というもの。

具体的にはパーム油、牛、大豆、コーヒー、カカオ、木材、ゴム、牛肉などの派生製品を輸出したりEU市場に出品したりする場合、すべての関連企業は厳格なリスク調査を実施し、証明書を提示する必要があります。
(家具、チョコレートなど後から追加予定)

現在「製品」としてあるものに対して、「原材料の生産」を2021年まで遡って確認せよ、というもの。

もちろん目的は
気候変動の抑止と生物多様性の保全のため。


さらにこの規制には人権についても以下2点の確認が必要とされています。
生産国における人権に関わる法律を準拠してること。
影響を受ける先住民族の権利が尊重されていること。

これまで消費国から見えにくかった生産、加工、流通過程での犠牲が
見える化され、規制されるよう移行しているということ。
これにより、EUは生産国と消費国の関係強化を目指すとしています。

日本が関わる部分で言うと、やはり和牛の輸出でしょうか。
飼育過程で森林破壊はありませんが、エサの大豆は一部森林破壊を伴っています。これは評価対象なのかわかりません。
人権については技能実習制度が国際的に問題視されていますが、日本の法律もどんどん厳しくなっていますし、国内法の遵守でいえば問題ないでしょう。


EUは、過去10年間に多くのパートナー国が森林破壊の削減に向けて努力し、成果を上げていることを評価し
この流れをサプライチェーンの透明性向上とともに確実なものにしたいということでしょう。

当然、この流れに大量消費国である中国と米国とも協力する取り組みを進めているようです。
日本はどういった立ち位置なんでしょうか。

基本的にこのような規制には賛成したいのですが、消費国である先進国が、生産国の発展途上国に「パートナー」という対等っぽい言葉で縛りを設けているようにも捉えられます。
目の前の危機に対応する必要性と、途上国の発展にブレーキを掛けざるを得ないことで生まれる軋轢
「先進国の都合」と揶揄されかねないジレンマ
正しいけれど少しもやもやしてしまいます。

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