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セミナーレポート

WJVF2020でのセミナーレポートです。

Vet Derm Tokyo 伊従慶太先生
『オクラシチニブ VS ロキベトマブ』

オクラシチニブ(アポキル)は、分子標的薬
ロキベトマブ(サイトポイント)は抗体医薬

新しく発売されたサイトポイントは、かゆみを惹起するIL-31をターゲットとした抗体医薬である。犬のみの使用で、猫には使えない。

抗体医薬品は、ターゲットを絞った治療のため
1、高い治療効果と少ない副作用
2、有効な治療法のない難病の治療
3、最新のバイオ技術

サイトポイントは、注射版のアポキルではないことを理解すること。
サイトポイントは、複数のサイトカインがターゲット。一方、アポキルはIL-31のみがターゲットである。

IL-31って何??
・サイトカインの一種で末梢神経に直接作用し、かゆみを引き起こす。
・かゆみを伝達する神経の伸長促進する。

上記をまとめると
・アポキルは、「抗炎症・抗掻痒」
・サイトポイントは、「抗掻痒」(かゆみ止め)

犬アトピー性皮膚炎は、急性悪化期と慢性期に分類される。急性悪化期(皮膚が赤くなったり、皮膚に赤いポツポツができたり)で痒みがコントロールされないと慢性期(ジクジクしたり、皮膚が厚く黒くなる)に移行してしまう。アレルゲンが最初に暴露された時のサイトカインは、IL-31であるとわかってきて24時間から48時間でIL-31の濃度が高くなる。そのため、サイトポイントの使用時期は、急性悪化期に使用するのが良いと考えられる。

〜サイトポイント〜
・1ヶ月に1回の皮下注射で良い。
・犬のアトピー性皮膚炎に伴う症状の緩和が期待できる。
・体重が3kg以下の犬、妊娠、授乳中の犬には控えるべき。
・他の薬剤との併用はOK。とても便利な薬の印象。
・多くの場合3日以内に効果が実感できるらしい。
・また回数を追うごとに効果/持続時間UPする可能性がある。
・そんなサイトポイントにも弱点があり、外耳炎の発生が報告されている。

サイトポイントはあくまでもかゆみを抑える薬で、炎症がある場合は抗炎症薬の併用を考える。

サイトポイントを上手に使用すれば、かゆみを止めることが上手にできることと、犬アトピー性皮膚炎の悪化因子を減らすことが期待できるかもしれない。しかし、万能ではないので、繰り返し使用して他の抗炎症薬を積極的に使用しながら悪化を防ぐイメージを持つと良いのかもしれない。まだまだ新しい薬なので多く使用されていくことでさらなるアップデートが期待できる。

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