知っておくべき犬と猫の好き嫌いの違い

猫は小さな犬ではない！

「猫は小さな犬ではない」というフレーズは、獣医学科に入ってはじめに教えられた言葉です。
そんなの当たり前でしょ！と思われました？
とはいえ実際、なんとなく同じ括りで考えていることはないでしょうか？

でもこの言葉、まさに言い得て妙。

例えば、甲状腺の病気なんかというのも犬と猫で正反対です。
（甲状腺：体の活動を活発にするようなホルモンを産生している喉ぼとけらへんにある臓器）
犬ではこの機能が下がる甲状腺機能低下症が多いのに対し、猫では逆に上がりすぎる甲状腺機能亢進症（人で言うバセドウ病）が圧倒的に多いです。

もちろん病気だけではなく、そもそもの体の作りや食べ物の好み、食性に関しても、犬と猫で実はとっても違うんです！

肉食or雑食?!

犬も猫も肉食だと思われている方がたまにいるんですが、猫はそのとおり肉食性であるのに対し、犬は雑食性です。
オオカミから家畜化していく過程で、腸が長くなるなど雑食性の性質を身につけてきました。

ちなみにゴリラとチンパンジーの食性の違い、知ってますか？
体重200kgにもなるゴリラは実は完全なる草食性ですが、ゴリラよりも小ぶりなチンパンジーは、なんと！他のサルも食べる雑食性なんです！

犬猫に話を戻すと、食性や食べ物の好みの違いというのは、彼らの先祖の狩猟スタイルの違いが大きく影響しています。

狩猟スタイルの違い

もともとイヌ科の動物は群れで狩りをしていましたが、大物を狙う為、成功率があまり高くなく、毎日食事にありつける訳ではありませんでした。
その為、食べれるときにがっつり食べるスタイルをとっています。
そしてもし獲物があまりにも大物すぎた場合は、土の中にストックとして埋めておいて後で掘り返して食べるという習性を持ちます。

一方、ライオン以外は猫科の動物は群れを作らず、単独で狩りを行い、小物を狙います。
猫がネズミをせっせと狩ることを考えると、猫科の動物は一度にたくさん食べるのではなく、1日のうちに新鮮な獲物を少量頻回で食べるというのは想像しやすいかと思います。

五味にはそれぞれ意味がある！

さて本題の犬と猫の嗜好性の違いを考える前に、味覚のそれぞれの意味を先に確認しておきましょう！

これは人を含むどの動物にも共通することですが、五味（甘味・塩味・旨味・酸味・苦味）というのは、それぞれ本能的に下記のことを意味しています。

甘味：砂糖やごはんなどの炭水化物
塩味：ナトリウムなどのミネラル
旨味：グルタミン酸などのアミノ酸（トリプトファンなど苦いアミノ酸もあり）
酸味：腐敗
苦味：毒（猫にとって苦味は腐敗の指標でもある*）

*一説に猫は、肉の鮮度の指標となるヌクレオチドに苦味を感じているのだそう

犬と猫の好き嫌い

やっと本題に入ります！
まず、犬は獲物を土に埋め後で掘り返して食べる習慣をもっていましたよね？
そのため、少し腐敗した肉でも気にせず食べられるようになっており、酸味を好みます。
また冷えた獲物つまり冷たい食べ物でも気にしないことが多いです。

一方、猫は狩りたての新鮮な獲物を1日に数回食べる習慣をもっていました。
その為、腐敗を意味する酸味を嫌い、温度も獲物の体温ぐらいの温かさを好みます。
またこれぞ肉というようなタンパクや脂質がたっぷり含まれているごはんを好む傾向があります。
そしてお肉のようにしっとりしたものを好み、パサパサご飯や粉状のものを嫌います。（猫に粉薬を避けるのはそのため！）

では、犬も猫も共通して嫌いな味覚はなんだと思いますか？
それはもちろん、毒を意味する苦味です。
特に猫は、腐った肉に酸味だけではなく苦味も感じるようになっている為、犬よりもさらに苦味を嫌います。

一方みんなが好きそうな甘味に関しては、犬は大好物ですが、猫は甘味というもの自体を感じることができません。
というのも、猫は今まで完全なる肉食動物として炭水化物をあまり摂取してきていなかったからか、そもそも甘味受容体が機能していないのです。
（ちなみに私は甘い物にめちゃくちゃ敏感で、少しでも甘いとあまーーーい😭となってしまい、すき焼きも苦手なほどです。甘味受容体が人より多いのかも⁈）

でも面白いことに、この食べ物の好き嫌いのいうのは、ある程度操ることができるんです。
例えば、授乳中のお母さん猫にバナナばっかり食べさせると、その母猫の子どもは甘さも分からないのになぜか、成猫になってからもバナナを好むようになります。

我が子のハンストでお困りの方へ

まずいもん食わされるぐらいなら飢えてやる！！みたいな、わんちゃんや猫ちゃんたまにいますよね。。

酸味と甘味が好きなワンコには、シロップやヨーグルトを少し加えてみるとか、
熱いのがお好きなニャンコには、ウェットフードはもちろんのこと、ドライフードも電子レンジで40度ぐらいまで温める
というような工夫をぜひ試してみてください！

犬猫それぞれの好みを把握して、飼い主の方もわんちゃんねこちゃんもごはんの時間を楽しんでもらえるようになると幸いです♪

今日の動画はこちら💁🏽‍♀️

おまけ↓

・・・・・・・・・・・・・・ 
【獣医ガール CARNA】
📺YouTube    
【Buddies 】
📖Facebook 📷Instagram
・・・・・・・・・・・・・・