行動診療科とは?
このブログのテーマとは少しずれますが、本題に入る前にまず私の専門分野である行動診療科についてお話ししたいと思います。
ペットの問題行動の相談先
皆さんはペットの行動のことで困ったら誰に相談しますか?
ドッグトレーナー・インストラクター、ペットの飼育経験の豊富な友人や親戚、トリミングサロンなどペット施設のスタッフなどが相談先として多いでしょうか?
動物病院の獣医師に相談することもあるかもしれません。しかし動物病院にペットの問題行動を専門に診療する科、行動診療科があることはご存知ない方が多いのではないでしょうか?
行動診療科は人の精神科や心療内科に相当する診療科です。
そう言うと、大変な問題でなければ受診してはいけないのではと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。どんな些細な問題行動でも、どうぞご受診ください。問題行動は早期に対処したほうが治りが良く、問題が些細な内の受診はむしろ望ましいことです。
行動診療科の獣医師の活動
行動診療科の獣医師の仕事のメインは動物病院での問題行動の診療です。行動診療科のある動物病院は、問題行動専門の動物病院だったり、町のクリニックだったり、獣医大学病院など2次診療施設だったり、往診専門動物病院だったりと、さまざまです。
また行動診療科獣医師は診療の他にもさまざまな活動をしていることがあります。
子犬子猫の健やかな成長のための教室(パピークラス、キトンクラス)や、成犬のトレーニングに関わっている方や、
ペットとの暮らし方についての情報発信をしている方、
ペットの災害時への備えの啓蒙に力を入れている方、
老齢ペットの暮らしや介護についてセミナーなどで情報発信している方、
盲導犬の育成や、動物介在療法に関わっている方などがいます。
私たちは動物の生態や心理の専門家でもあるため、獣医療という枠を超え、ペットの「子育て」、「教育」、「暮らし」、「福祉」に関わる幅広い分野で活動しています。
他にも、ペットの面白い行動、不思議な行動についてのテレビ番組に解説などで登場することもあります。
行動診療科を身近に感じていただけましたでしょうか?
行動診療科はどこで探せる?
残念ながら、行動診療科のある動物病院はいまだ少ないのが現状です。
行動診療科はそもそも獣医療の中では比較的新しい診療科です。
欧米から始まり、それが大体40年ほど前です。当時のアメリカの統計調査で「ペットの安楽死の最大の要因はペットの問題行動である」という事実が明らかとなり、これをきっかけとして獣医療の中での取り組みが始まったと言われています。
日本へは20~30年ほど前に導入され、2000年には「日本獣医動物行動研究会」という獣医師の研究会が設立されました。
同研究会は2013年から認定医制度を発足させています。認定医は現時点でまだ13名と極めて少なく、お住まいの地域に居ないということもあるでしょう。しかし研究会の会員は既に300名程度おり、行動診療に関心の高い獣医師は日本全国に大勢います。行動診療を行なっている獣医師のリストが研究会HPにあり、取得されている資格により記載されているページは異なりますが、全部で70名以上います。
ペットの問題行動でお困りの方は、ぜひ相談先に動物病院の行動診療科もご検討いただければと思います。
次回は、行動診療科の流れについて紹介したいと思います。
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