見出し画像

うんちを出すスピードは4kgから4000kgまでの動物でほぼ一定!なのはなぜ!?

画像1

画像3

画像2

Hydrodynamics of defecationという論文で、ゾウから犬まで体格差のある動物でも排便スピードはほぼ一定という結果が報告されました。
ゾウ、ジャイアントパンダ、イボイノシシシ、犬(コロコロとした球状のうんちを出す齧歯類やうさぎ、牛などのうんちではなく、人間や犬のように円筒状のうんちをする動物を選んでいます)の排便動画から排便スピードを解析したところ、うんちを出すスピードは12±7秒以内でほぼ一定ということが明らかになりました。
こうした動物たちの1回のうんちの数は2個(犬は4個)でした。うんちの大きさ、重さはその動物の体の大きさに比例しています。つまり。体格の大きな動物のうんちは小さな動物よりもより大きいのです。
著者らは、体格の異なる動物で排便時間が12秒前後で安定している理由を主に2つ挙げています。

1:動物の間で直腸の圧が一定:約500g~100kgまでの動物の最小直腸圧はほぼ一定(0.64kPa)です。ちなみにほかの報告では、マウスからヒトまで泌尿器系の圧は5.2kPaと一定であるそうです。


2:うんちを腸管の中でソリのように滑らせる粘液:大きな動物はよりうんちも重く大きいのですが、小さい動物よりも大腸の粘膜が厚いので、大腸内の圧力が小さな生き物より相対的に小さくてもより滑りやすいので小さな動物とおなじスピードで出るのです。粘膜は、大腸から分泌されうんちを包み込んで滑りやすくし、ソリのようにうんちを通過させる粘膜が重要なファクターになります。

ふーのコメント:最大の直腸圧はバラツキがありましたが、最小の直腸圧(うんちが作られて便意を催すまで)はほぼ一定なので、うんちを送り出すのに重要なのは大腸からの粘液ということですね。ゾウなど大きな動物のうんちは粘膜が厚いということになりますが、間近でみたことがないので今度動物園で凝視してきます。
今回著者らは数理モデルを用いて比較検討していました。
粘膜の厚さを定量的に比較するにはどうしたらいいのか気になります。機会があったら調べてみたいですね。

紹介文献:Hydrodynamics of defecation,Patricia J. Yang et al, The Royal Society of Chemistry 2017


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。