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イヌやネコは牛馬など草食動物よりも草を口にする機会が短い分、圧倒的に消化管が短くシンプルな構造をしています。また、草食動物が植物のセルロースを微生物に代謝させてエネルギーや栄養を作らせているのに対し、イヌやネコでは肉などタンパク質を栄養源にしている割合が多いので腸内細菌叢を構成している種類も異なると考えられます。

人ではビフィズス菌やバクテロイデス(Bacreroidaceae)などが多く棲息しています。犬ではバクテロイデス(Bacteroidaceae)、ユウバクテリウム(Eubacteriun)、連鎖球菌(Streptococcus)、腸球菌(Enterococcus)が多く、ビフィズス菌(Bifidobacterium)や乳酸桿菌(Lactobacillus)も検出されます。

犬や猫においてもビフィズス菌や乳酸桿菌は免疫機能の刺激やビタミン・たんぱくなどの代謝産物の産生等を通じて体に有益に働きます。

人よりも研究は進んでいないものの、犬や猫の病気に対してプロバイオティクス を投与することで臨床症状や、組織や細胞レベルでの改善がみられたという報告もあります。

例えば犬に対してビフィズス菌を投与すると、1ヶ月後に血液中のヘルパーTリンパ球(CD4陽性リンパ球)が増えたことが報告されています。

ビフィズス菌や乳酸桿菌は熱に弱いので、高温加熱処理があるペットフードには一般的には不向きなためか、納豆菌の仲間(Bacillus バシラス)が使われることもあります。納豆菌の仲間は芽胞(がほう)という熱に強い物質を作るためです。
こうした菌はもともと犬の腸には多く存在していませんが、バシラスの仲間(Bacillus subtiis)を投与した犬でビフィズス菌や乳酸桿菌など体に有益な細菌が増えたという報告があり、もともとその動物のお腹にいない細菌であってもよい働きをもたらすこと考えられています。

参考:
Bifidobacterium pseudolongum JBP01株 含 有 腸 溶 性 カプセルを投与 された犬 における免疫応答 , 深田恒夫
, 深民敦子 , 上林 譲 , 日 獣 会 誌58,46~50(2005)

『ペットフード・ペット用医薬品の最新動向』 有原圭三

「カルスポリン」の投与が犬の腸内細菌叢に及ぼす影響
三谷真由美


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。