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手術のあとコロの体に起きること:傷の治り方

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自由研究のヒント:
どんな過程で傷が治るのか考えてみよう

3ステップあるよ。感染などがなければ3~14日で傷は治っていくよ。

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大きめの怪我をしたり、手術をしたあと意外と早く抜糸することになり驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

若い雄猫ちゃんの不妊手術で、手術部位が小さい時などは3日程度で抜糸することもあります。
傷ができると、体はそれを元どおりにしようと働き始めます。これを専門用語で創傷治癒(そうしょうちゆ)とよびます。
創傷治癒には大体3日〜14日程度の幅で修復が進み、最終的には3週間で完了します。下記に示すように3つの段階があります。

①炎症期:壊死組織(死んでしまった細胞)や傷口付近の菌を体の免疫を守る好中球やマクロファージといった免疫細胞が出てきて片付けていきます。この時は正常に治癒が進行していても液体が出てきます(滲出液しんしゅつえき)。液体には細胞成長因子などが含まれているので、湿気ている状態はいつは良い状態です。

②増殖期:繊維芽細胞という細長い繊維のような細胞が出てきて、傷口を埋めるための物質(コラーゲンマトリックス)を作って空間を埋めていきます。液体も少なくなってきます。


③修復期:傷口が埋まると(瘢痕化はんこんか)、筋繊維芽細胞という細胞が傷をしっかり閉めてくれます。一番表面の部分には上皮(じょうひ)という外側の部分もできます。
これらの過程では傷口の感染をしっかり防いで、死んでしまった細胞である壊死組織を取り除くことが大切です。液体はもう全く出ていません。

感染や壊死組織が残ってしまわないように獣医師は注意して傷口を診ています。術後は抗菌薬を使うことも多いですが、これは傷の治りを遅くする最近感染が生じないようにするためです。

参考:皮膚創傷治癒―そのメカニズムと治療― 岸本三郎
日皮会誌:113( 7 ),1087―1093,2003
http://drmtl.org/data/113071087j.pdf

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。