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アホウドリの産卵する卵は1度に1個。から考えること

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自由研究のヒント

アホウドリの産卵数1個から考えられること…
安心して子育てできる安心な環境がある。
エクストリームな環境・敵がいない・餌が豊富!

敵がいない場所で長生きして、少ない雛を時間をかけて育てることができるのが前提の生態なんだね!

人間による乱獲で絶滅寸前に陥ったあと、保護活動が行われてまだまだ数は少ないけど命をつないでいるよ。

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今日は動物大好きな獣医師が普段どんなことを考えているかご紹介したいと思います。データからその動物がどんな生態なのか具体的にイメージすることをこころがけています。

先日動物に関する本を読んでいると「アホウドリは産卵する際に1個しか卵を生まない」という記載がありました。
実際にはデータブックというかたちで、ひたすら動物に関する各種数値が載っているもので説明文はありません。

アホウドリに関する知識は海に住んでいる大きな鳥というくらいの知識です。

このデータを目にした私は、下記のようなことを考えました。
・産卵数1個というのはリスキーすぎる
・育てるのによほど年数がかかったり、雛が多くの栄養を必要とするので1羽が限界?
・育てる環境にヘビや捕食する哺乳類や鳥など、卵やヒナの捕食者がいない?

ことなどです。


答え合わせのために、環境省のホームページをみました。

アホウドリは大型の外洋性の海鳥です。外洋性…沿岸ではなく沖のに住んでいる鳥や動物を指します。
翼を広げると2メートルを超える大きな海鳥です。

普段は海の上を飛んで生活していて魚やイカ、オキアミを食べていますが、繁殖期には沖に浮かぶ島に巣を作っていることがわかりました。外洋の島は、栄養源を得るのが難しいため大型の陸上で生活する哺乳類はあまりいません。

他の陸地との交通がないので独特の生態系を築いていることが多く卵や雛を襲うネズミや猫科動物もいない離島も多いのです。
アホウドリは卵を産み始める年齢が遅く5〜6歳で産み始めるようです。さらにひなが巣立つまでに4.5ヶ月もの時間が必要です。
卵を産み始めるのが遅くても、卵の数が少なくても、外敵がいない環境なので種を存続することが可能だったのですね。

しかし、現在アホウドリは現在国際自然保護連盟のレッドリストに絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。主な繁殖地は世界で2カ所で、伊豆諸島と尖閣諸島の島です。かつては多くのアホウドリがおり、繁殖地も13カ所ほどあったとされていますが、その後人間による乱獲で急激に減少しました。外敵がいない環境で長生きして少ない雛を大切に育てるライフスタイルのアホウドリには、人間という敵の乱獲から身を守る術はありませんでした。

産卵可能になるまでに時間がかかり、一度に一つの卵しか産卵しない生態では個体数が回復するまでに時間がかかってしまうのです。

アホウドリがまたたくさん沖でみられる日が来るように…なにができるのか考えていきます。


参考:数値でみる生物学 R.フリント、浜本哲郎

環境省 http://www.env.go.jp/press/files/jp/7521.pdf より引用

今後「アホウドリ」を どう保全するべきか?
─ 種内の2集団と,求められる集団別の保全対策 江田 真毅
https://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/albatross/pdf/2018.3iden-4.pdf

アホウドリってどんな鳥?
http://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/albatross/01donnatori.htmlより引用

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。