見出し画像

ヨーグルトの菌を考える~ガセリ菌~

私は毎朝ヨーグルト飲料を飲んで朝ごはんにしています。
乳酸菌は私の専門ではないのですが、味が好きで色々なヨーグルトを食べています。今日は今朝食べたヨーグルト、「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」にどんな菌が入っているか調べてみました
味も甘さ控えめであっさりとした味なのでお気に入りです。

メグミルクの研究所が発表した報告が公表されていました。
ガセリ菌にはLactobacillus gasseriという人の腸管由来の乳酸菌を使用しています。Lactobacillus gasseriは分類上はラクトバシラス属フィルミテクス門バシラス網ラクトバシラス目ラクトバシラス科に属しているグラム陽性桿菌です。GPRに分類できますね。人ではビフィズス菌が主体ですが、このガセリ菌は別のグループの細菌ですね。

高脂肪な食べ物を与えたラット では、このL.gasseri LG2055株を与えられた群の方が脂肪細胞が小さいことがわかりました。これは腸管内の環境を宿主にとって有益な作用をもたらすと期待できる微生物(プロバイオティクス)が内臓脂肪に対して影響を及ぼす可能性があることが初めて明らかになりました。

さらなる研究を行うと、L. gasseriはコレステロール を吸着したり、小腸で脂肪のミセル形成を邪魔することで脂肪を吸収しにくくしているとのことです。実際に、L gasseriを摂取した人間のうんちの脂肪の量も増えたと報告されています。
ーーーーーーーーーーーーーー
以下私の感想

今は飽食の時代なので内臓脂肪が減るというのはメリットです(私も体重気にしているので嬉しいです)が、農業や畜産業が今のように効率化してたくさんとれるようになるまでは飢餓の時代が何回もありました。それを考えると、脂肪の吸収が阻害されるのは少し困ってしまうもののようにも思えます。しかし現代に至るまでL gasseriが人間の腸内細菌叢のメンバーとして定着していたのであれば、何か別のメリットがあるはずです。
別の作用についても上記の研究所は報告しています。
ーーーーーーーーーーーーーーー
その作用とは、人など宿主の免疫機能を刺激するという作用です。
L. gasseriは小腸においてIgAという免疫グロブリンの産生を促進することが判明しました。IgAは外界と接して微生物などの病原体と触れることも多い粘膜に多い物質です。
IgAは病原体にくっついて細胞に侵入するのを防ぎます。

やはりL.gasseriも細菌なので、菌体は消化管の細胞で抗原(敵)と認識され、免疫反応が起こります。専門用語を使うと、菌体成分が抗原提示細胞や上皮細胞によって認識され、各種サイトカインが産生されたのちにリンパ球やマクロファージなどの免疫担当細胞が活性化されます。これらの細胞はリンパ組織にいって抗体産生などをさらに行うようになります。

インフルエンザウイルスの感染実験を行うと、L. gasseri 投与群ではなにも与えていない群と比較すると生存率が高いことがわかりました。
(観戦後21日目は投与群の生存率は50%、与えられていない群では生存率10%)。

内臓脂肪を減らす作用も免疫機能を活性化させる作用もどちらも現代人には嬉しいですね。

さて、箱で買ったガセリ菌も今朝飲み切ってしまったので明日からはまた別のヨーグルトを飲んでみようと思います。

参考:
Lactobacillus gasseri SBT2055 株の消化管を介した 保健機能研究とその応用 門 岡 幸 男  日本栄養・食糧学会誌 第 72 巻 第 2 号 79‒83(2019)


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。