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『深夜特急1』を再び読んで(聴いて)注:少しネタバレ

読書が至極の娯楽だったが、目の調子が悪くなってからは疲れてしまうため、最近はもっぱらオーディブルってる→若者ぶっちゃったけどきっと反対にダサいってやつでそ?笑。

とにかくこのシステムには感謝。

読みたかったのにタイミング逃してた作品を見つけたときは、探し物がひょんなとこから出てきたみたいに嬉しい。

遠い日に読んだ作品を再び朗読で味わうと、年の功か、ハッとあらたな発見があったりしてこれまた楽しい。

以前、高橋一生さんのこと書いたが、俳優陣の朗読が良い。画面越しでない耳越し?にて微妙な演技をいただく。新鮮な経験だ。

沢木耕太郎氏『深夜特急』シリーズ。 

これは発行当時若い世代に大人気となった旅小説だ。刺激を受けて日本から飛び出した若者も多くいただろう。

懐かしいタイトルに惹かれてオーディブった。(もうええって? いやこっちは抜き笑)


主人公はインドのデリーにいる。

インドには行ったことが無いが、この本を読んで空想の深夜特急デリー街が頭の中でいっきに形成された。

世界中から集まる若い旅人たち
安宿ドミトリー
ハッシッシと土地の魔力に捕まったが最後
インドの神様に蟄居を命じられる。

そんな強烈なイメージが整った。

1986年代あたり、たしかに身近でも

「前に仕事した︎⚫︎⚫︎さん覚えてる? 休暇でインド行ったまま帰って来てないらしいよ。消息不明なってしもてんて」

「▲▲さんインドから帰ってきたけど、けっきょく、また旅立ってしもてん」

こんな、しもてん(なってしまった)がじっさいに数人存在した。

ところで、この「しもてん」
素晴らしい大阪弁だといま気づく。

内情分からないが、何らかの理由によって仕方なく、そうなってしもうたのよ→しもてん。

インドで何があったか計り知れないのに「しもてん」だけで、あーなるほどそりゃしゃあないなと納得させる。だからか、子供が言い訳の語尾によく使う。たまに大人も使う。

大阪弁は、とてもよく練られた言葉だと、むかし言語関連のプロと呼ばれてた先生に聞いた。フランス語と大阪弁がとりわけ粘度強度が高いと。フランス語は知らないが、大阪弁は納得。粘りつく感じとかね。

さて主人公は、廃人になってしまいそうな予感のもと、ある日ハタと自制心を取り戻してデリーから脱出する。良かった、読んでるこっちもホッとする。

そんな「若さゆえ〜🎵」エキサイティングな旅をドキドキハラハラ追体験する物語だ。けど、生まれたときからネット、とくにスマホがある世代には追体験てのは、むつかしいかも。

「携帯無い時代ってさ、待ち合わせどうしてたの? マジ信じられないよね」

と、娘にあきれ顔で聞かれたことがある。

「どうしてたって? 会えなかったら駅の黒板に伝言書いたりな」

「嘘でしょ? ギャハハハ」

「公衆電話探して、その子の家にかけて伝言頼んだりな」

「だっる〜笑笑笑」

「そのまま会えなくて、もうその日はあきらめるとか」

「やだ信じらんない、その時代生まれなくて良かった〜ケラケラケラ」

親をバカにしとんのかってくらい
信じられないを連発していた。でも私が反対の立場でもきっとそう言う。フツーに信じられないのだ、あの子らには。仕方ない。

あ、また脱線。年寄りってヤあね信じらんなーい笑笑。

はい。

決心した主人公。それは良いが、彼は乗り合いバス陸路でユーラシアを横断、ロンドンを目指すのつもりなのだ。それ、デリーに留まるのと同じくらい無茶ではないのか。

インターネットもスマホも無いの。

目の前に現れた人が
出会う人が
まともかまともでないか

その日ラッキーかアンラッキーか
はたまた持って生まれた運だけで
進まねばならないっしょ

スリリングな旅だ。みんなよくやってたね。もう、そんな旅なんて二度と出来ないんだろうな。だって仮に自分のスマホをガンジス川にエエイって投げても、周囲のインド人みんなスマホ持ってるからね。Googleマップですぐ道教えてくれる。

情報無き時代のスリリング旅はもう体験したくても出来んね。

まてよ、あるいは別のスリルがやってくる?

この先、AIお手伝いロボットや介護ロボットらがシンギュラリティてのか? 人間超えてきて、で、猿の惑星みたいなことになったら

はたまた

宇宙開発だといって、やれ月やれ火星もっともっとと宇宙を刺激し過ぎてたら、そのうち地球外生物の方から、オマンらええ加減にしいや言うてお灸据えられたりしたら

怖いな、スリリングとかのレベルは確実に超えてくるっしょ。あらら。

そんな怖しい感想に辿り着いてしもてん。せやからもう終わろっと。

⭐️ヘッダーの伊藤若冲さんの絵と話のテーマ関係無いのですが。若冲さんの描く生きものは凄いなといつも思います⭐️





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