あやさん最後

博士論文に挑戦しようと決めた理由

担当:北野

前回は、私が研究のフィールドで出会ったイブイブ(おばちゃん)たちの様子についてお伝えしました。今回はその続きです。

前回記事▶︎https://note.mu/very50/n/na7c335bf4d9c

研究する、ということ

 いざ研究をするとなると、やるべきことは山積みです。アカデミックとしては約10年ものブランクがありますから、なんとか追いつかなければなりません。ひたすら論文や本を読み、「開発」とは何か、「ローカル」とは何か、など、物事の本質に迫るべく思考と議論を重ねます。研究計画を立て、膨大な先行研究を読み重ね、自分の問いと仮説を立てては崩し、立てては崩し。そんな毎日です。こうした準備を積み重ねた上で、私の研究では特に重要な意味を持つ、フィールド調査へ出掛けます。

あやさん3

 フィールド調査では、村の人々へのインタビューと参与観察(=自ら活動に参加しながら様子を観察すること)を行います。研究者としてフィールド調査を行う場合、村の人々との信頼関係を築くことが重要であると言われます。私はこれまで何度か村を訪問してきましたが、まだまだ「お客様」的な立ち位置が拭えず、人々の暮らしに馴染めるまでには至りません。ですので今は、村の人々に一人の友人として受け入れてもらえるよう、自分なりの努力をしている段階です。

 文化・歴史・言葉を学び、毎年村を訪れて、村の人々とおしゃべりをしたり、ごはんを食べたり、一緒に掃除をしたり、イブイブのお祈り中には子守をしたり。企業で働いていた頃と比べるとなんとも呑気な暮らしぶりですが…今の私にとっては、これも大切な積み重ねの一つ。村の人々と共に時を過ごし、信頼してもらえるようになって初めて、私の研究は一歩を踏み出すのです。

「『なるはや』で仕事をする職人はいない」

偶然出会ったそんな言葉を胸に、精進しています。

あやさん2

人生を賭けた挑戦

 この研究に数年間を投じることで、一体どれほどの成果を生み出せるのか、それが果たして世の役に立つものなのか、正直、私もわかりません。それでも研究したいと思うのは、この村の人々が、いつも私に、深い気付きと新たな問いを与えてくれるからです。生産性が高いとは決して言えない彼女たちのアナログな試行錯誤の過程の中に、デジタルによって便利と進化を追求する世の中にはもはや生み出すことのできない、何か戦略的な、画期的な、力強い推進力があるのではないか。支援しようと意気込む私達がむしろ、本気で学ばなければならないことを、彼女たちは今まさに実践しているのではないか。そんなことを思うからです。これらの問いを自分なりに紐解いて、明らかにすること。それが、私が今取り組んでいる、人生を賭けた挑戦です。(おわり)

※私が、博士課程と並行してvery50で勤務する理由は別の記事に掲載されています。併せてご覧ください。

J&Jで9年間人事として働いた私が、博士号を目指しながらNPO法人で働く理由 ▶︎
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