〔訳詩〕リネンの花 LINO ŽIEDAS
「リネンの花」 ヴィンツァス・ミコライティス=プーティナス
愛しいリネンの花よ、お前がいないのなら、
この最果てに青い平原が無いのなら、
みじめな真昼にどこへ行けばいいのだ。
哀しく黒い心の中は一体どうなるのだ?
狭く茂ったライ麦畑の小径では毎日
香しい花を危なっかしい足取りで踏みつけるが
手を伸ばして平原に青く咲くことだけが
渇望し疲労した胸を癒すことなのだ
赤子の夢のようなこの母なる大地から
碧眼の芽が天空へと ほら伸びていく
しかし全ての人生の愛も苦しみも
発火した種まき人が青い花々に導きゆく
空色のリネンの最果てで慣習を倣いながら
青春の暴風の夢を知らないことがあろうか?
青いリネンの寓話を憶えたのなら
幸せの中にわずかに開いた唇が笑う
***
ヴィンツァス・ミコライティス=プーティナス(Vincas Mykolaitis-Putinas、1893-1967)は、リトアニアを代表する詩人・小説家・劇作家。
詩「リネンの花(LINO ŽIEDAS)」は、ボストンで発行されていた在米リトアニア人向けの週刊新聞「旅人(Keleivis)」(1957年8月14日号)に掲載された。
Photo: alter_photo – stock.adobe.com
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