見出し画像

わたしのフランス語学習日記②―だいたい英語とおなじ

前回の記事では、僕がいよいよフランス語を勉強しようという気になったところまでお話ししました。今回は、どのようにフランス語初心者がフランス語初級者になったか書いてみたいと思います。

フランス語をやることにしたのはいいのですが、一から文法をやるなんてまどろっこしくて仕方ありません。第一面白くない。そこで、いきなり長文から始めることにしました。

近くの本屋でもフランス語長文のテキストは売っていたのですが、金欠だったのでそれは買わず、ネットでフランス語の記事を探してテキストにしました。無料!

とりあえず僕が使ったのは、BBCニュースのフランス語版と、フランス語のWikipediaです。ニュースは日本でも報じられているものを選び、読めなくても大まかに内容が分かるようにしました。wikiも方針は同じで、評伝を読んだばかりのジュール・ルナールの記事を印刷し、記憶を頼りに読み進めました。

画像1

知識がある分野から文章を採ったのは、ネットの記事を使っているために「答え合わせ」できないからです。はじめからよく知らない記事で勉強すると、とんでもない読み間違いを起こさないとも限りません(そしてそれを修正する術はありません)。とにかくフランス語に慣れることが目的だったので、概要が分かっている文章の方が都合がよかったのです。

〇はじめの一歩

はじめに読み始めた記事はBBCニュースの"Elections américaines de 2020: entre Trump et Biden qui devance dans les sondages?”です(リンク張りたいのですが記事が見つかりません)。先日の大統領選についての記事ですね。

フランス語の知識0.5くらいからスタートしてますので、タイトルで分かる単語は選挙、アメリカ、トランプ、バイデンくらいです。あとetがand、deがofにあたり、quiが関係代名詞であることはマラルメを訳した経験から知っていました。

というわけで辞書を引くと、entreがbetween、devanceが「先行する」、sondagesが「アンケート」という意味だと分かりました。フランス語は日本語より英語に近いので、タイトルを英訳してみると、"Election America of 2020: Between Trump and Biden who lead in the survey”という感じでしょうか。

Betweenが怪しげですが、それに目をつむれば意味をとるのは簡単です。「2020年のアメリカ大統領選:トランプとバイデン、事前調査でリードしているのはどっちだ」みたいな記事だとわかります。このようにして記事を読み進めました。

〇読み進めてみる

基本的な単語も知らなかったので、初めは数行読むのに1時間くらいかかりました。例えば次みたいな文章だと、調べることがたくさんあります。

Les sondages au niveau national sont un bon indeicateur de la popularité d'un candidat dans l'ensemble du pays, mais ils ne sont pas nécessairement un bon moyen de prédire le résultat de l'élection.

au, niveau, ensemble……と知らない単語がたくさんです。まずは辞書を引いて、片っ端から調べなくてはなりません。

ただしこの文章には、いくつか英語とほぼ同じスペルの単語もあります。national, indeicateur, popularité, candidat, nécessairement, résultat, électionあたりは調べなくていいというわけですね。序盤は英語に似ている単語でも違う意味になっているかもしれないと思って一応たしかめながら読んでいたのですが、やはり英語とだいたい同じ意味でした。

長い文章では、英語と同じく先に文構造からとっていきます。sontがbe動詞なのでそこまでが主語、deはofなのでde以降は副詞句のかたまりです。副詞句は最悪読めなくても文の意味は取れるので、Les sondage~sont un bon indeicateurが読めればだいたいOKということになります。

maisは接続詞butなので、同じく後半の文でもSVを考えるわけですが、これは簡単でils sontがSVです。ne~pasが付くと否定になります。フランス語は否定の仕方がなぜか複雑で、neとpasで動詞を挟まなくてはなりません。ここだけ、notがつけばいい英語とは勝手が違う部分です。

では試しに意味をとってみます。niveauはlevelと同じ意味のようなので、前半の文の主語は「全国的な規模で行われたアンケート」。これがインジケーター(計測器)になるらしいです。なんの?というのがde以下で、あとはpopularitéとcandidatから推測できます。「全国的な候補者の人気」ですね。「アンケートが候補者の人気を図る指標になる」。苦労して訳した割には、当たり前のことを言っている文章なのが悲しい。

では後半。「しかし」、それはnécessairementではないのだと言います。何に対してかというと、moyyen de prédire=「予測するために」。あとは見慣れた単語しかありません。le résultat de l'élection=「選挙の結果」ですね。つまり全体として、「アンケートは人気を測る指標にはなるけど、選挙の結果はまた別」という文意であることが分かります。

※ちなみにこれをDeepLに放り込むと、「全国世論調査は全国の候補者の人気度を示す良い指標ですが、必ずしも選挙の結果を予測する良い方法ではありません」という訳が出てきます。かなり正確ですね。やっぱりDeepLはすごい。

画像2

さてこのようにして一文を読んでみたわけですが、ne~pasの部分以外は英語とほとんど同じ読み方をしていることが分かるかと思います。ちなみに、ドイツ語も定動詞第二位という強情なルールがある事以外は英語とそこまで変わりません。フランス語かドイツ語をやろうという人は、英語のことを思い出しながらやると効率がいいかもしれません。

とはいえ今回はデモンストレーションのために、比較的読みやすい文章を例に選びました。次回の記事では訳せなかった文章を紹介し、英文の知識だけでは解決できない、厄介な文構造があることも示していきたいと思います。

よろしければサポートお願いします。