アストラルプレーン あらすじ

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登場人物表

 伊藤武(32)右足を引きずっている。町のスーパーマーケット社員として精肉コーナーで働いている。
 芹沢浄(32)初めて会ったとき伊藤武にとって話しやすい人柄だったのか人生について相談する。
 津田友貴(21)専門学校生の女性。主人公と同じスーパーマーケットでバイトしている。伊藤武と肉体関係にあるが他の男性とも付き合っていて交際しているかどうか伊藤武にはわからない。
 山上愛(23)武の元カノ。別の男性と結婚している。
山上雄一(22)山上愛の夫。
山上はじめ(7)施設の小学生の少年。彼の里親募集の記事をみて伊藤武は自分の人生を変えたいと思う。
仲田徹(13)中学生の少年。伊藤武自身の中学生のころのことを思い出すきっかけになっている。
伊藤豊(58)芹沢浄の父親。伊藤武が身分を偽っていることに気が付く。

あらすじ

 主人公、伊藤武はつまらない人間だった。産まれた時から障害がありいつも片足を引きずっていた。一週間、誰とも会わなくても誰も心配されない孤独な人間だった。そんな彼が新聞の里親の記事、山上はじめの笑顔の写真を見て運命を感じた。里親相談員にその思いをぶつけるが、相談員が武のことを社会の中でうまくいっていないことを見抜く。

 武は相談員との面会の後、芹沢浄と出会う。武にとって話しやすかった彼に孤児を育てたいと話す。浄は武になぜ結婚しないのと問う。
武の脳裏に津田友貴が思い浮かぶが、彼女は武だけでなく別の男とも寝ている。

 ラブホテルで寝ている武と友貴。私が産んであげるのになんで孤児なんか欲しいのと武を問い詰める。他の男と寝ていることを知っている武は眉をひそめる。あなたのためなら何でもするという友貴。

 数週間後、児童福祉施設を訪れる武。トンネルの中で武は不思議な体験をする。音信不通だった父親、伊藤豊が現れ、おまえは誰だ?
と問われる。父さん?なぜ今頃?その瞬間白昼夢のように目覚めると児童福祉施設の廊下に立っている。一体どうなっているのか?
それを理解する前にさらに不可解なことが起こる。廊下から津田友貴が歩いてきたのだ。なぜここにいるのか問う武に友貴がなんでもしてあげるといったでしょと答える友貴。相談員がいる部屋の扉を開けると相談員が友貴に殴り殺され死んでいる。

 なんてことをしたんだと友貴を責めるが、山上はじめの笑顔が頭に浮かび、このままでは彼を引き取れないと確信する。相談員の死体をスーツケースにいれ、空き家に向かう。空き家の前で中学生の仲田徹と鉢合わせになる武。徹と武の学生時代をかぶせる。ここに来てはいけないと助言してその場を後にする徹。空き家の車にスーツケースを乗せ深夜の武の職場、スーパーマーケットへ向かう。

 精肉部門で相談員の死体を切り刻む武。小分けになったゴミ袋を川に捨てて回る。はじめに手紙を書く武。手紙には「君の記事を見てこれは運命だと思った。君を引き取りたい、君の父親になりたいと思っている。一度会ってほしい。遊園地に来てほしい。」と書かれている。武は決着をつけなければならない。

 一人になった津田友貴を襲う。空き家へ友貴を連れていき、なぜ相談員を殺したのか問い詰める武。なぜかあなたのことなんて知らないと泣きながら言う友貴。混乱する武だったが、豹変する友貴。ねえ?私がほしいんでしょ?レイプしたいんでしょ?という友貴。お前のせいで俺の夢は終わりだ!といい友貴の首を絞める武。友貴の息が絶えると、武が友貴の膣に射精していたことに気が付く。

 いったい何が起きてるんだ?混乱する武。そこに浄が現れ武の精神状態を説明する。友貴は武の仕事先で働いていただけの女性で武がストーカーし自慰していただけで交際していなかったことを浄があきらかにする。信じられない武に空き家に隠してあったビデオテープをみせる浄。そこには椅子に縛り付けられた浄と拷問する武が映っている。正確には椅子に縛り付けられた浄が伊藤武で、拷問する武が芹沢浄。浄はビデオが撮られた数日前に元彼女である山上愛と夫である山上雄一を殺していて、新しい身分を探していた。伊藤武はつまらない人間で一週間誰とも会わなくてもだれからも心配されなかった、武を殺して浄は彼の身分を奪った。

妄想の武や友貴を頭の中に作り、殺人の罪から逃れるために浄は武の仮面をかぶり武になりきった。しかし浄はサイコパスだった。人を殺す快感が忘れられなかった。そんなとき、山上はじめの笑顔の写真をみた。山上愛と雄一を殺した時、ベビーベッドで寝ていた子どもが大きく成長し笑顔を浮かべていた。必ず殺さなければならないという運命に浄は狩られ、武の仮面を捨てずっと強姦したかった友貴を犯し殺し彼は完全に浄に戻った。

遊園地ではじめを拉致しようとする浄。だがはじめに逃げるように叫ぶ人が現れる、それは相談員だった。死んだはずだという浄だがそんな彼の前に彼が殺してきた徹、愛、雄一、友貴が現れる。もちろん彼らは死んでいるが他人になりきり何人も人を殺して解体した浄は正常な精神状態ではなかった。もしくは本当に幽霊なのかもしれない。彼らは浄の心が壊れている部分、ナルシスト、支配欲が強く人としてクズだということを証言し追い詰める。

 混乱している浄からはじめを引き離す豊。相談員から里親になる連絡を受け浄が武に成り代わっていたことにいち早く気が付いた彼は、警察とともに遊園地にきていた。武をどこへやったと浄に殴りかかる豊だがなんとか逃げる浄。逃げ延びた観覧車で幽霊の武が浄に語り掛ける。浄の頭の上には星々が輝き、眼下には暗闇が広がっている。

おしまい


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