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絶滅危惧種、エアロビクス考

本格的にスポーツクラブに通うようになったのは、平成4年に循環器系の病気で入院した後(ついに禁煙もした)、体調が少し回復してきた翌年の平成5年、その年の3月に今住んでいるところに引っ越してからかと思う。それ以前も、たまに、気晴らしで福岡市内天神にあった(今はない)Togetherに行って、ラテンダンスやヒップホップ(アフリカーンもあったかな?)の初心者向けのクラスに出てタコ踊りをしていたが、その時のインストラクター(名前失念)がリズム感をよくするにはエアロビクスが良いというので、これも初級のクラスに出ていて、後になって、今となっては大御所の先生の(間違っていたらごめんなさい)濱地先生他のレッスンで、後に、今現役でインストラクターをしている先生たちが生徒としてレッスンに参加していたということがわかった。

(この後はインストラクターの実名を書くのは止めて、アルファベットの頭文字だけにします)

かなり郊外への引越しも終わり、新しい住居と住宅ローンとの付き合いにも慣れてきたころ、そろそろこの緩んだ体をなんとかしないといけないと思い、先ずは「あいれふ」にある「福岡市健康づくりセンター」(当時は名称が少し違ったかもしれない)の運動教室に通うことから始めた。そこでは今でもいろんな教室が行われていて、費用も格安なので、いろんな心配がある人は是非利用すると良いと思う。福岡市民じゃなくても利用でき、地下駐車場もあったので気軽に行くことができた。回数は10回以上(12か15だったかなあ)で毎週土曜日午後、最初はこれから何をするのかというガイダンス、体力測定、健康チェック(血液検査もあったと思う)で、次回からは指導員(しっかりした方(男女)が4名くらいいたと思う)による運動指導で、前後に血圧測定があり、内容はストレッチ、ステップ台の昇降、エアロバイク、簡単なエアロビクスステップ、マット運動などの組み合わせで、それぞれ10分から15分で90分程度の運動のあと、シャワーを浴びて終了であった。

http://www.kenkou-support.jp/

参加者で、恐らく僕が一番年下じゃないかと思った。それでも、ステップ台の昇り降りの際は、息が切れていたのだが、この課程が終わる頃には、そろそろスポーツクラブ(ジムと言わずクラブで統一する)に通っても良いかなということで、私学共済の福利厚生でエクザス(現コナミ)のコーポレート会員(法人会員:全国のエグザスはどこでも利用できる)になれることが分かり、自宅から近い大野城店で入会したのであった。当時は月会費が6300円(消費税がまだ5%)だったなあ!多分最初の数か月は週に4回程度通い、トレッドミルで歩き、ステップマシンで昇り降り、一番易しいエアロビクスのクラス(木曜の午前のA先生)で基礎固め。とにかく、そのエアロビクスのレッスンでさえ、息が上がる為体だったのを、トレッドミルで時速7キロで軽いジョギングまでできるようになり、筋トレもある程度こなせるようになったので、ついに初級のクラスからレベルを上げることになった!

さて、その後は!これが、やってみると面白いのである。ここから、現在までに参加したレッスンとインストラクターを全て挙げることは、はっきり言って覚えていないこともあり、不可能である。あえて、いくつかエピソードを述べれば:
- 最盛期最大で(大学の授業が休みの期間)週21レッスンに参加した。一日平均3レッスンであるが、多かったのは月曜日で5レッスン受けていた。ソラリアスポーツ(セントラルになる前)で3レッスン、その後、コナミ筑紫野で2レッスンであった。ただし、21程度で自慢してはダメで、まだまだ上がいて、その中の一人で飲み会仲間だった某S女子はあるクラブから次のクラブまで、僕なら不可能と思える移動(運転荒い、いや上手いと言うべきか!)をしていて、いつしか、Sさんは二人いるなんて言われていた。
- 私学共済の福利厚生のおかげで、コナミスポーツ(エグザスから移行)とセントラルスポーツ(ソラリアが吸収された後)の会員(会費が一般より安い)、ルネサンスとコスパの法人都度会員として、通ったことがあるスポーツクラブは多分15か所以上!ガソリン代も相当なものであった。遠征は東京方面に限るが、tipnessの渋谷と新宿店(新宿はどうも閉鎖になるらしい)、ゴールドジム浦安(有名なステップのレッスンがあった)、コナミ飯田橋などには出張の折にお世話になっていた。その後もコスパを継いだNASの会員にもなり、都度会員(1回1000円程度)も入れると月に3万以上スポーツクラブの会費に使っていた!

40代後半から60代前半までの約20年弱。本当に楽しい時を過ごした、触れ合った面白い人(とくにおばさんたち)の話はあまたで、もちろんこちらもエアロビクスをするデブのおやじとして、奇異な目で見られていたのは間違いない!最盛期は男性も結構いたが、今は本当に少なくなった!今でも印象に残っているのは、ルネサンスのI先生のエアロビクスとステップエクササイズ、くるくる回る小刻みなコリオグラフィー(以下コリオ)が特徴のレッスンで、小柄で少し太めの男性が、身軽にくるくる回っているのには、本当に感心して、僕もああなりたいと思ったものだが、最近は見かけない。

そんなエアロビクスだが、この10年弱で衰退の一路を辿っている。先ず、どのスポーツクラブでもレッスンの数が極端に減っていて、面白いレッスンを受けることができなくなっている。まあ、エアロビクスフリークなら周知のことだけど、箇条書きでちょっと触れてみたい。

① ソラリアやコナミで本当にお世話になったI先生(上記の方とは別人)が語っていた。「エアロビクスの初級と中級、中級と上級のそれぞれの間に壁があって、そこは結構根性がないと乗り越えられない」。これがなかなか大変なのである。基礎がしっかりしていないと、初級から中級の壁(具体的にはリズムチェンジとコリオの複雑さと方向転換(面替え))を突き破るのは結構大変で、若い人がなかなかこれを乗り越えてくれないので、エアロビクス人口がかなり減少している。また、中級から上級の壁(複雑なアームスと動的コリオ(コリオの組み合わせを複雑にする)はさらに大変で、相当の中級者でも戸惑うところである。おまけに最近ではほとんどなくなったが、ちょっと前まではハイインパクト(ステップが歩くではなく、ジョギング(両足が浮く))のエアロビクスも結構あり、そこにアームスや複雑なコリオが絡まると、これはもう大変で、僕も下手ながらも相当苦労した。これに今の若い人たちがついてこれないのである。まあ、スポーツクラブに通う経済的余裕や時間も段々なくなっているのも遠因だろう。

☆以前はかなりいた競技エアロビクス出身のインストラクターが段々減っていて、今のエアロビクスでアームスやハイインパクトを含むコリオをやっているのは、僕が知る限り3人程度で、その中でハイインパクトや継続したアームスを振付けるのは、今も僕が受講しているO先生一人だと思う。
また、ちょっと前までそういうエアロビクスには競技スクール生が大勢参加していて(今も何人かいる)、さすがに上手いので、そこは自分の下手さ加減には目を瞑る度量が必要であった。実は、今受講しているそのレッスンで男性は僕一人だけである。(別の曜日の同じタイプのレッスンにはもう少し居るらしい)


② スポーツクラブ側がフリーのインストラクターの雇用を減らしている。エアロビクスインストラクターは殆どの方がフリーランスで、1レッスン1回いくらの出来高制であるが、スポーツクラブ乱立傾向と会員さんの老齢化(若い人は入ってこない)と最近ではコロナのおかげで、どこも会員数が減っているらしく、この数年で閉店したり、経営主体が代わったクラブも少なくなく、経営は苦しいようだ。そのためフリーのインストラクターに支払う経費を削減しようとしている。では、そのインストラクターの給与はどのくらいか?僕が2005年くらいに、短大卒業と同時に養成機関も卒業して、インストラクターになったMさんやベテランのNさんに聞いた話では、駆け出しの頃は、コナミの場合、60分のレッスンで交通費別で1回2000円ちょっと、一番ランクが上でも5000円の少し上くらいとのことだったが、今もそんなに変わらないであろう。1年毎に改訂があり、少しずつ上がっていくとのことだったが、最初は僅かなものらしい。なので、2000円ちょっとの場合、あちこちで週に20以上のレッスンを担当しないと生活できなくて、なかなかレッスンが確保できなくて(もちろん技量や人気は大きな問題で圧し掛かってくる)、辞めていったインストラクターは数えきれない。クラブ側は、フリーランスを雇うかわりに、その店舗のトレーナー(圧倒的に非正規のアルバイトが多い)を養成して、レッスンを担当させるのだが、結局格闘技系のレッスンや、ズンバのように前もってコリオが決まっている創造性のないレッスンになってしまう。また、やはり、ヨガブームなので、ヨガ系のレッスンは増えていて、そう言ったレッスンを担当できるインストラクターに転向する方もかなり多い。

③ 上記②との関連で基礎のレッスンが本当に少なくなった!なので、次の中級の段階への流れが途絶えている。例えば、エアロビクスの一番基本の足運びに「ステップ・タッチ」というのがあるが、これを正しく覚えないと、次の動作に繋がらないと言うことを学ばずに、ある程度センスの良い方だと中級のエアロビクスのレッスンに入ってくるが、そこで動きがおかしくなって、さらに次の段階へ行けなくなってしまうのである。ちょっと動画を見て欲しい。

タッチする足はつま先だけで、かかとを上げないといけないのだが、基礎ができてないと、これを全部地面に着けた状態でタッチしてしまう。大昔、上で引用したⅠ先生に、正しくは「ステップ・トー・タッチ」だと、しっかりと教えてもらったのは、今でも忘れない。こういったレッスンがなくなってしまった。「鶏が先か卵が先か」の議論になるが、このレベルのレッスンが切り捨てられたか、その需要が無くなってしまった結果、中・上級のエアロビクスには腕に自信があると思っている、多分どんなに若くても40代後半のおば様たちが殆どで、ごく一部競技エアロビクスに打ち込む若い方以外には、そのあとの世代は、振り付けが易しいダンス系(上述のズンバなど)にしか行かなくなってしまった。

④ 今残っているカリスマ的なインストラクターもスポーツクラブのレッスンだけで生活することが厳しくなっているので、サークル的なメンバー固定のレッスンや単発的な有料のイベントを以前より頻繁にやるようになっているが、まあ、人が集まるインストラクターはある程度人気がある方で、その方たちはしばらくは生き残れるだろうが、恐らくそこに集まる方たちは殆どインストラクターより歳が上だと思う。なので、遅かれ早かれ、集まる人数は減って行って、インストラクターたちもヨガ系とか、ズンバとかいったレッスンにシフトしていかなければならないだろう。

というわけで、スポーツクラブのエアロビクスというレッスンはすでに希少種であり、間もなく絶滅の危機に瀕するだろう!

僕は、現在、週に最大で6レッスンを受講しているが、少ないときは2程度である。欠かせないのは、これは少し分かってもよいので書くと、火曜の夜のM先生と上でも言及している木曜の夕方のO先生で、往年に比べれば、信じられないほどの数である。

しかしながら、すでに前期高齢者仲間入りを果たしてしまい、あと何年エアロビクスのレッスンが楽しめるだろうか。僕ら昔のエアロビクスに熱中した仲間には「プール行き」という言葉がある。スタジオのレッスンに体がついていかなくなったらプールでゆっくりウォーキングでもすることになるということで、僕も間もなくそうなるのかなあと思う。しかし、エアロビクスを楽しんですでに25年以上。正直出会ってよかったし、本当に堪能し、それには感謝している。でも、今50代くらいのエアロビクス好きには、ちょっと可哀そうな状況になってきたなあと、心から同情します。

おまけにコロナの影響で、行動に制約(人が集まるスタジオに出てはダメとか、スポーツクラブ自体が職業柄ダメ)を受けている方(介護とか看護などの職業)も多くいて、スポーツクラブの生き残り合戦も熾烈を極めている。その意味で、いつまでもエアロビクスのレッスンがとこかで残っているように祈念します。

コロナのおかげで、遠隔授業(要するにテレワーク)ばかりで、おまけにスポーツクラブのレッスンもあれこれ制約があったおかげ(マスク着用、時間短縮などなど)この2年半ですっかり丸く(太くか?)なった僕は、先程、このデブのおじさんいつも来ているなあと、周りから思われながら、エアロビクスのレッスンを受講して、帰ってきてからのビール(美味い!)を飲みながら、この原稿を仕上げているところだ!!

(続く)

ソラリアスポーツでお世話になった、故・於保ゆかり先生に捧げます。

追記で、後日過去の思い出(エピソード)を書き足すつもり。

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