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5-化学系エンジニアのための半導体入門〜2nm?300mm?何の数字?


今回の記事では日頃のニュースを理解するための簡単な知識をお伝えしたいと思います。

半導体関連のニュースを見ていると2nmの最先端プロセス、300mmライン稼働といった見出しをよく見かけます。
1mmは1nmの100万倍なのでそれぞれ全く違う話をしているということはわかっていただけるでしょうか。
nmについて説明するときに髪の毛の直径の何分の1みたいな話がよくありますが、結局よくわからないといつも感じています。
nmという単位が身近にないので無理にイメージする必要はなく、とにかく目では認識できないほど小さいと思っておけばいいでしょう。

さて、もとの話に戻りますが2nmの最先端プロセスなどnmで表記されているのはプロセスノードというものです。
プロセスノードはかつてはトランジスタのゲート長などを表していました→半導体チップの中のとある部品の長さだと思ってください。
しかし現在ではプロセスノードはこのような部品の長さを意味しておらず、微細化が進んでいることを示す値だと考えられています。

つまりiPhone12よりもiPhone13のほうが性能がいいといったようなものです(iPhoneでは数字が大きいほど最新で後に出たモデルということ)。
半導体ではこのnmの数字が小さいほど最先端の技術が使われていると考えてよいでしょう。
ただこのnmの数字の決め方は会社によって異なっており、TSMC(台湾の会社)の10nmノードとintel(アメリカの会社)の10nmノードでは性能は同じではないということを理解しておいてください。

次にmmで表記されるものについて説明します。
このmmの値は、シリコンウエハーの直径を表しています。
半導体チップはシリコンウエハーの上にいろいろな構造物を作るので、シリコンウエハーは台座のような役割(基板などと呼ばれます)を果たしています。
1枚のシリコンウエハー上にたくさん同じものを作るので、シリコンウエハーの直径が大きいほど一度にたくさんの半導体チップを作ることができるわけです。

日常生活で考えるなら、たこ焼き器をイメージしてください。
たこ焼き器は穴が開いている部分に材料を流し込み焼いていきます。たこ焼き器が大きく、穴がたくさんあると一度にたくさんのたこ焼きを作ることができますね。
シリコンウエハーでも同じことです。シリコンウエハーを大きくすると一枚のウエハーから一度にたくさんの半導体チップを作ることができ、チップ一枚あたりのコストを減らすことができます。

ただし半導体製造装置は特定のウエハーサイズしか使えなかったりするので、サイズが変わると装置自体を買い替えなくてはならなくなります。装置は非常に高額なので、簡単にはサイズを変えられないといった問題も生じてくるわけです。

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