見出し画像

【昇格なきB3リーグのクラブ経営者に望む】

 連日の猛暑、如何お過ごしですか?加えて新型コロナウイルスの猛威も治まる気配はなく、経済活動の停滞もさることながら、皆様の健康にも危険な今夏となってしまいました。本当にくれぐれもご自愛下さい。

 プロバスケット業界も、この先の見えないコロナ禍に於いて、開催日程を含む様々なレギュレーション変更等々、例年とは運営方法を大きく変えての取り組みとしながら、何とかスポーツを通じて皆様に少しでも明るく楽しい時を感じて戴けるよう努力を重ねています。

 そうした中でB3だけが昇格がないこと、これはどうにも解せません。「昇格がない=過度な投資を抑え財務基盤安定」というのも確かにそうなんでしょうが…やはり昇格はありの方が無理がないのではと思いますが。とは言え、リーグの決めたことですから、それに従い、その中でベストチョイスをしていくしかないと思っています。

 確かに、私たちの所属するB3レベルともなれば、おおよそのクラブは今回のコロナ禍の影響で大なり小なり財政難に陥る危険をはらんでいることでしょう。そうした点では、過日のコラムで申し上げた通り、なんとしてでも収支を整える取り組みを必死にやらねばなりません。それは並大抵のことではありませんが、それを踏まえた上で敢えて申し上げれば、今シーズンある程度のリスクを背負って少しでも「経営規模拡大に舵を切る」クラブは一気に浮揚するチャンスでもあります。常識的には、収益が落ち込むことを最低限に抑える安定指向とすることが賢明な選択ながら、だからこそ拡大のメッセージをトップが放ち、自らを含め、社全体を奮い立たせることを選択したクラブは、一回り大きく成長出来るチャンスだと私は思います。大きく成長させる前提での市場調査や各カテゴリーで立案された方策は、安定指向のそれとは大きく異なってきます。当然ハードルは高く困難を極めますが、そこを乗り越えてきたクラブは一皮剥けるでしょうし、上のカテゴリーでも戦える地力もつくでしょう。経営者の度量と行動力が試される象徴的なシーズンになるということです。あなたは「打って出るだけの覚悟と才を示せますか」と。

 そして、その先にある目標は「優勝」です。「昇格なき優勝を狙う」ことです。昇格がないのに優勝してどこまで意味があるのかと言う方もいるかもしれません。私は全く違います。昇格がないからこそ、純粋に優勝を目指すべきと考えます。優勝は誰のためにあるのかを考えた時、即座にその答えは出ます。地域の方々のため、皆さんの歓喜のためでしょう。例え昇格が成らなくとも、その歓喜の価値が減じることはありませんし、むしろその地域では後世まで語り継がれるやもしれません。その象徴的な例が1999年元旦天皇杯を制した横浜フリューゲルスです。その決勝戦を最後に消滅したクラブです。私はその2年後にマリノスに行き、元フリューゲルスの方達からその一部始終を生々しく聞いています。本当に軽々に語れないほど、文字になど出来ないほど悩み苦しみながら勝ち抜いていった足跡には、ただただ頭が下がるばかりです。(決勝相手のエスパルスや関係者、応援者の皆さんも、あの異様な雰囲気の中で立派に戦いました!)優勝の先がなくても、ないからこそこのメンバーで1試合でも多く戦っていたい。メンタルはヤバくても戦っていたい…その想いは見る者の心に響き感動を呼んだんです。私はクラブこそ無くなりませんが、選手にしてみれば毎年同じことが起きているんです。「今のメンバーで戦えるのは今シーズンだけ」だと。ならば、昇格云々関係なくこのチームのために優勝しようと思う道理は必ず皆さんの感動につながるはずです。そのための優勝を、昇格なき優勝で歓喜を分かち合いたいと切に願っています。また私が関わっているベルテックス静岡はそういうクラブを目指す宣言をしたということを申し上げておきます。皆さんと味わう優勝が、どのカテゴリーの優勝より尊い価値のあるものだということを是非証明したいですし、皆さんにはその生き証人になっていただければ、これほど嬉しいことはありません。

【執筆後記】
本編は私が運営しているnoteにて執筆している「降格なきリーグのクラブ経営者/唯一昇格なきB3リーグのクラブ経営者に望む」の抜粋版です。全編購読をご希望される方は、以下のURLにてお入り下さい。 
https://note.com/hidari1026

この記事が参加している募集

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?