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めちゃくちゃ血便が出て、運命を感じた話。

4年前の2019年、私は受験生をやっていた。
受験とは多くの人が必ずぶち当たる、そして乗り越えなければいけない壁のようなもので、私も例に漏れず正面からその壁にぶち当たってしまった。

高校受験を大惨敗していた私はこの大学受験というものにそれはもう大きな恐怖心を抱いていた。恐怖心を抱いておかしくなっていたのだろう。無謀にも私はド文系にも関わらず、理系の学部を志望していた。

参考までに2019年10月頃行われたセンター模試の成績をいうと、英語や国語などの文系科目では8割近くを取り、物理や化学などの理系っぽい科目では2割程度しか取れていなかった。
因みにこの2割は完全にあてずっぽうで当てたものなので自分の学力というよりも、完全に運で勝ち取った2割であった。
つまり自分の学力では0。赤ちゃんと同レベルと言っても過言ではない。
理系ベイビーがこの瞬間、模試会場に現れていた。
泣かなかっただけえらい。

理系ベイビーは語学は堪能だった。


もともと、自分の好きなことを学ぶことは大好きな反面、苦手なことを学ぶのはとことん嫌いだったので、そりゃあもう、とんでもなくでっかいストレスを抱えていた。
しかも私の志望する大学は国立大学(以下○○大学)であったため、7科目(数ⅠA・数ⅡB・国・地理・化学・物理・英)の勉強をしなければならなかった。
7分の4理系じゃん。あまりに文系にやさしくない(まあ私理系クラスだったんだけども)。

もうほとんど記憶がないのが正直なところ。学校が終わったら塾に行って、わかりもしない理系科目に向かいながらうんうん唸って、一問も自力で解けないまま帰宅する。そんな受験生らしさの皮を被った、なんの生産性のない生活を送っていたある日

血便が出た。

赤い(鮮血)もしくは暗赤色の血液が肛門からでることを「血便」と言います。

国立長寿医療研究センターより

赤い血が便器の中の水に溶けて、トイレに血の溜まり池が出来ているのかと思った。
ホラー映画みたいに血がトイレから逆流してくるかと思った。
ホラー映画でしか見たことのない赤だった。

マジでこうなるかと思った

お尻を拭いたらペーパーは真っ赤に染まった。

しかし不思議なものであまり焦りはなかった。というのも最初私は痔を疑ったのである。


なんか痔って軽い印象ありますよね。本当は結構大変な症状なんですけど、このときは軽く捉えていました。
なんなら少し照れくさいような、おいおい痔かよ~^_^といった感じ。
とにかく軽く考えていた。
実際一日の大半は座っていたし、なってもしょうがないかなーって思ってました。
ていうか受験生だし、病院に行く暇もない。まあ痔くらいならなんとかなるんでしょ。
そんなこともあり病院に行かずに受験を乗り越えることを決意しました。

こうしてなんやかんやありつつ、同じような日を繰り返しながら生活お送り、すべての試験を終えました。


結果、大敗


BIG負け

箸にも棒にも掛からず、なんなら滑り止めのように考えていた大学にも落ちまくりました。
それは冬の葉のようにヒラヒラと、さも自然の摂理だというように落ちていきました。

第一志望の○○大の試験の時がすこぶるひどかった。
○○大の試験のとき、私は英、数、物を選んでいた(確か)。
ここまでずっと物理に向き合ってきたつもりだったが、どうやら見当違いな方向を向いていたようだった。

余談だが、私は最初建築家になることを夢見ていた。
建物を見ることが好きだったし、どうやらお金も稼げるらしいという話もどこかで聞いていたので、漠然とあこがれを抱いていた。
忘れもしない高3の1学期の定期テストの返却の際、その夢は諦めた。
その時のテストの点数は8点であった。勿論100点満点である。
このテスト結果を見た私はふと、「こんなに物理が出来ない自分が建てる家に誰が住むんだ」と考えた。

建物は物理の法則に則って出来ている。建築家になるためには、それを理解することは必須条件であると考えていた。

こんな自分が建てる家は確実に事故物件になってしまう。
自殺者や殺人が発生する、という意味ではなく、家が住民を殺しにかかる、モンスターハウスを生み出してしまうと切に思った。

不幸な犠牲者をなくすためにも、この夢をあきらめることにした

余談終わり


ただ夢をあきらめた後にも、未練のようなものがあり物理を選び続けていた。
だが、その想いもむなしく、物理の試験はひどい結果に終わった。
筆記形式の試験が30分かからず終わった。2時間も制限時間があったのにも関わらず、である。

正直問題見た瞬間、「終わった」って思った。
理系ベイビーもこのときばかりは半泣きになっていた。

絵に書いたような半泣き 理系ベイビー、無念の敗北

後悔ばかりが募る中、こんな具合にあっけなく、私の人生一番の勝負は終わってしまった。悔やんでも悔やみきれず、志望の○○大学への想いは高まるばかりだった。終わっているのにね。

後悔はどうしようもないことをこの時学んだ。



なんとなく受けていた、滑り止めの滑り止めのような大学に通い始めたある日、私は病院に行くことを決意した。

なんにも治療をしていなかったので当たり前だが、血は止まっていなかった。まあ受験に失敗したわけだし、このストレスは痔にもこたえるだろうとは思っていた。しかしもう一つ悩みがあった。
下痢しか出なくなったのである。
もうバナナ型うんちなんて長いこと拝んでいなかった。
しまじろうが見たら恐怖で失神するような、形のない汚物がそこにはあった。

便器も足を生やして逃げ出すレベル

そんなこともあり、近くの内科に行くことにした。


やはり一番に痔の可能性を疑われて肛門を触診された。嫌だった。


触診の結果、痔ではないことがわかった。





え?痔じゃないの??????????



痔じゃなかった。

え、じゃあ痔じゃなくて血が出てたの? 
痔以外で血便出るってやばくない???

一気に怖くなった。

後日お尻からカメラを入れ、検査をすることになった。
長細い寄生虫のようなカメラがするすると、体内に侵入してきた。
嫌だった。
30分以上カメラは体内を探検し、先生も懸命にモニターとにらめっこしながら原因を探していた。私は爆睡していた。

検査結果が出た。


わからない、と言われた。




???????

分からないって何~~~~~??????


分からない、が分からなかった。

え、わからないってなに?
わからない、って俺の思っている「わからない」と同じ?

ってことはわからないってこと?

血が出てる原因がわからないってやばくない???

え、わからないわからない


私の中のののかちゃんが歌い終えると同時に、先生は口を開いた。

「大きめの病院を紹介するので、そこで検査してみましょう」

私は大きな病院で検査をすることになった。

医者にきいても わからない

大病院に向かう

翌日、不安な気持ちを抱えたまま、紹介された病院へ向かった。
正直先生に「わからない」と言われた後からの診察中の記憶はない。
原因不明の病、謎の出血、大病の可能性・・・。

不安な気持ちが募っていたため、話を聞く余裕はなかった。
ボーっとしたまま、なにを見ても頭には入らないのに、スマホに目をやっていた。
うつむきながら、母の運転する車に揺られて、病院へ向かった。

「着いたよ」

母の声で到着したことを理解し、車から降りた。
不安な気持ちを抱えながら、入口へと向かう。

先生から「もしかしたら癌の可能性もあるかもしれない」、と言われていたため、とても怖かったことを今でも思い出す。

入口に着く。
ここで私はなんとか自分の気持ちを奮い立たせた。

「こんな弱気になっていてどうする」「こんな弱気だったら病気にも負けてしまうぞ!!」

今思い返すと、空元気だったように思う。
とてもつらい気持ちをなんとかしようと自分の中の防衛本能のようなものが働いたのだろう。

私は覚悟を決めた。

前を向くしかない

すすむしかないんだ

そんなポジティブな考えを無理やり抱くと同時に、私は顔をあげた。


そこには○○大学附属病院と書かれていた。

私は再びうつむいた。


よりにもよって


よりにもよって○○大か~…。いや落ちたとこじゃん…。

受験生あるあるだと思うのだが、落ちた大学にはどんな形であれ、関わりたくないと思うものだと思う。


少なくとも私はそうだった。



しかも受験に落ちた傷は当たり前だがまだ癒えておらず、私としては傷をえぐられるような気持になってしまった。

とりあえず診察を受けなければならない。
私は、また検査を受けた。また肛門を触られた。

しかも今度は女性の先生だった。めっちゃ嫌だった。

結果、カプセル型のカメラを飲み込んで食道から大腸までをモニターにうつしながら検査を行うことになった。

結果からいうとなかなかの大病だった。

クローン病という病気で、いまのところ完治する術はないらしい。

まあとりあえずはまだ初期段階の病状のようで、薬を飲むことで抑え込むことになった。

それからは隔週ペースで通院し、診察を受ける日々が始まった。


何が言いたかったかというと(結論)

コロナ禍のはじまりとともに大学に入学したため、講義は全てPC上で行われていた。

そのため、登校した日数は0であった。

何が言いたかったかというと私はこの瞬間だけ「○○大に通っていた」といってもよいのではないか、ということである。

私が籍を置いている大学への登校日数が0であったのに対し、○○大学(附属病院)には2週に1回のペースで通っていた。多い時には週に2回行っていた。

○○大学附属病院はその名のとおり、学部に附属しており、キャンパスの中に病院があるのである。

このことから私はその瞬間、確かにあのキャンパスに通う大学生だったのである(とあるキャンパスに複数の学部があり、ちょっとはなれたところに病院があるという感じ。)

○○大学生=○○大学のキャンパスに通う大学生、という式が成り立つ場合、○○大学のキャンパスに通う大学生(自分)=○○大学生ということになるのではないか、ということである。

なんなら○○大生よりもキャンパスには行っていたのではないか。

私は運命に導かれ、こうなったのだと悟った。



私は現在も治療のために○○大学附属病院に通っている。

最近少しだけ病状が悪化してしまい、まだまだ○○大学には通う事になりそうだ。




しかしそれって卒業までまだまだ時間があるということではないだろうか。




私の体調は悪化するばかりだが、そんなこと知ったこっちゃない。





あこがれの大学でのあこがれのキャンパスライフ、目いっぱい楽しんでやる。









エッセイだよね?


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#日記  #受験 #クローン病

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