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国鉄分割民営化は1度にあらず。2回以上の分裂を繰り返す?

◆今日の要点

・国鉄分割民営化は、1回の分割ではない。
・鉄道のほかに、バスも運営。
・JRグループのバス会社は全国に8社。

JRバス会社の誕生までの経緯

前回、昭和62年(1987年)に、国鉄が「分割民営化」となり、国営企業から7社で構成されるJRグループに移行したと書きましたが、実際には、一度で分割が完了したわけでないありません

鉄道ファンの方は、何を変なことを言っていると思っていかもしれませんが、そもそも国鉄の事業は「鉄道」だけではありませんでした。交通機関・貨物輸送機関だけでも、「バス」事業と「船」事業があり、こちらについてもは翌年以降に再分割しています。

今回は、バスについて触れてみようと思います。

昭和62年(1987年)当時、国鉄では鉄道では行くことできず、他の民間資本のバス路線が無い場所などに路線バスを展開していました。鉄道を補助する役割を担っていたのです。国鉄バスの路線展開については、決まり事として「5原則」というものが存在しましたが、そのことについては後日、説明します。

また、当時は拡大する高速道路網の進展とともに、高速バスが拡大しつつありました。

国鉄では、日本で最初に開通して高速道路である名神高速道路が開通した初期段階から、高速バスの運行を行なっていました。

これらの国鉄の路線バスと高速バスを引き継いだのが、JRのバス路線の始まりです。

当初、JRのバス事業は、鉄道会社と同じくJR旅客会社6社による直営でした。しかし、分割民営化の翌年・昭和63年(1988年)から平成16年(2004年)にかけて、JR旅客会社各社は、バス事業の分社化および子会社化を推進し、JR本体からは切り離されました。さらに、JR東日本とJR西日本では、引き継いだ管内のJRバスをそれぞれ2つの会社に分割させています。こうして、JRグループのバス会社は、全部で8社となっています。

JRグループのバス会社は以下の通りとなります。なお、略称として各社「JR+バス」を使用しますが、JRの位置がバラバラなのが注意です。(JRバス〇〇、〇〇JRバス、JR〇〇バスのいずれかとなります。)

JRグループのバス会社

●ジェイ・アール北海道バス(JR北海道から2000年分社化)
営業範囲:北海道地方
https://www.jrhokkaidobus.com/

●ジェイアールバス東北(JR東日本から1988年分社化)
営業範囲:福島県を除く東北地方発着高速バスと
福島県の福島市近郊の路線バス
https://www.jrbustohoku.co.jp/

●ジェイアールバス関東(JR東日本から1988年分社化)
営業範囲:関東地方、福島県、山梨県、長野県を発着の高速バス、
関東地方と福島県の福島市近郊を除く全域の路線バス
http://www.jrbuskanto.co.jp/

●ジェイアールバス東海バス(JR東海から1988年分社化)
営業範囲:東海地方
http://www.jrtbinm.co.jp/

●西日本ジェイアールバス(JR西日本から1988年分社化)
営業範囲:北陸地方、関西地方
https://www.nishinihonjrbus.co.jp/

●中国ジェイアールバス(JR西日本から1988年分社化)
営業範囲:中国地方
http://www.chugoku-jrbus.co.jp/index.html

●ジェイアール四国バス(JR四国から2004年分社化)
営業範囲:四国地方
https://www.jr-shikokubus.co.jp/

●JR九州バス(JR九州から2001年分社化/2012年社名変更)
営業範囲:九州地方
https://www.jrkbus.co.jp/

東日本大震災後の鉄道代行バス(BRT)

最後に忘れてはいけない路線が、気仙沼線BRTと大船渡線BRTです。この路線は、通常のバスの車両を使いつつも、一般道ともにバス専用に作られた道路を走る特別な形態のバス路線です。バス・ラピッド・トランジット(英語ではbus rapid transit)と呼び、頭文字を取って「BRT」と言います。

宮城県と岩手県の太平洋沿岸を走る気仙沼線と大船渡線は、全線が鉄道路線として営業していましたが、平成23年(2011年)に発生した東日本大震災による津波の影響で、線路や駅に壊滅的な被害を受け、全線が運転見合わせとなりました。その後、平成24年(2012年)に気仙沼線、平成25年(2013年)に大船渡線の一部区間の線路が、バス専用道に生まれ変わり、BRT(バス)による仮復旧しています。

バスによる運営に変わったことにより、小回りが利く運行ダイヤや、復興が進む町の実情に合わせ、役場・病院・商店・学校などが再開するごとに、一般道も走行可能なバスを使った長所を生かし、そうした施設のすぐ近くまで柔軟に行けることが利点として評価されています。また、鉄道で復活させた場合に掛かる再建費用や経費などが議論され、令和元年(2019年)にBRT(バス)路線として存続することになりました。一方で鉄道路線としては、令和2年(2020年)、正式に廃止となっています。

現在のBRT(バス)の運行区間は、気仙沼線BRTが前谷地駅~気仙沼駅間(前谷地駅~柳津駅間は鉄道と併存)、大船渡線BRTが気仙沼駅~盛駅間です。どちらの路線も、複数の経由便や支線系統が存在します。また、復興する町の施設や、道路、護岸の工事などに伴い、経由地を変更されることもあります。

JR東日本ロゴ

気仙沼線BRTで使用されるバス

この、気仙沼線BRTと大船渡線BRTについては、子会社のJRバスの会社ではなく、JR東日本が直接、管理しています。ただし、実際の運行については、地元の民間バス会社のミヤコーバスと岩手県交通に委託されています。

BRTロゴ

バス車体のロゴマーク

しっかりとJR東日本の英語表記「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」の文字が入る。



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