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"The woman"

舞台の話です

ほんとだったら今日が舞台HOLMESの初日でした。Team空想笑年さん本公演の。今年入ってからオファーいただいて、藤尾名義になって初の舞台だわーい!前に共演した方とか共演し損ねた方とかいるぞわーい!空想さんは随分前に観に行ったことがあってすごく楽しかったから今回出られるの嬉しいぞわーい!しかもシャーロックホームズだうわーーーいわたしホームズ大好きやったーーー!!!!しかし世界的に蔓延したCovid-19の感染拡大阻止のため公演は延期になりました。10月に。

ホームズとアドラーを思う

シャーロックホームズというとなにを思い浮かべるだろう。わたしはホームズの奇行が浮かぶ。奇行というか、構ってちゃんと言うか、自由さというか、誰かに諫められることと誰かに称賛されることをどこかで強く求めていそうな一面がパッと浮かぶ。彼はなんでも知るのが好きだ。新聞記事になったロンドン市民の情報を片っ端からスクラップしているし、なんでもかんでも研究するし、なんでも自分で実験する。そしてどこへでもワトソン博士を連れて行くか、なんでもワトソン博士に話してしまう。とっても子供っぽい。10歳くらいの男の子はこんな感じなんじゃないだろうか。なんでも試してみてやってみて怪我したり成功したりして、それを全部お母さんに話して、褒められたりたまに怒られたりでもそれが嬉しかったり。ジュブナイル的な。

10歳くらいの少年にとって女性って敵でしかないとわたしは思うのです。10歳くらいの少女にとっても同じ。お互いがお互いを理解し得ないと思ってるからすごく溝が出来てすごく争いが生まれがち。ホームズもそうです。基本的には女性というものを、蔑視とまではいかなくても、ロマンの分からない生き物、冒険を知らない生き物、感情的で浅知恵な生き物というふうに思って生きてきたのです。
しかしある日ボヘミア王の依頼で追っていたアイリーンアドラーという歌手にやられてしまったんですね。彼女の方が一枚上手だったんです。ホームズは生まれて初めて女性に出し抜かれた。これは屈辱ですよ。ぶちのめしてやる。あの女許さん。そう思ったでしょう。けれど彼は英国紳士です。どんな報復をしてやろうかなんて思っても口にしないのです。だからホームズはアイリーンアドラーを"The woman"、あの人、と呼びます。この、あの人、という訳、わたしはずっとずーっと気になってるんです。なんですかあの人って。ザウーマンですよ。あの女でしょう。ホームズは何かにつけて「あの女」って言ってるんじゃーないのか。
でもね彼は英国紳士なんです。あの女なんて言わないんです。あの女っていう気持ちを込めてあの人と呼んでいる、それが"The woman"。特別な響きです。アイリーンアドラーが登場したボヘミアの醜聞のラストで、ホームズは依頼人のボヘミア王から依頼料代わりにアイリーンのブロマイドを頂戴してるのですが、もうとってもイイですね。ホームズはそのブロマイドを見るたびどんな思いでいるのでしょう。苦々しげに"The woman"と吐いてて欲しいです。

ホームズとアイリーンが恋仲、みたいな解釈が散見されがちですがなぜなんですかね。ホームズが唯一惚れた女性みたいな描き方されがちですけどそんなことないんですけどね。ホームズを唯一出し抜いた女性ってだけで別に色っぽい関係はないのになんでなんだろう。同人家が陥りがちな公式か妄想かわかんかくなる現象ってやつですかね。


そして舞台を思う

ほんとだったら今日4月29日日暮里d倉庫っていう劇場でわたしは"The woman"になってたはずなんです。未練がましいですね。そりゃ未練がましくもなるわ。わたしシャーロックホームズ本当に好きなんですよ。アイリーンアドラーを演じるって名誉ですよ。それがハ〜〜〜。延期に。でも延期でよかったです。中止じゃなくて。
空想さんが10月に劇場を既に抑えていたそうで。今最終調整だそうです。演じたいですね。アイリーンになりたい。ホームズはどんな目でわたしを見るんでしょうかね。わたし達はどんな冒険の世界を描くんだろう。
楽しみです。ハァ。今日だった。先々の楽しみにとっときましょう。楽しいことはなくならないのですから。楽しいことはこれからもずっとここにあり続ける。

ここにあり続ける限り、あり続けるのです。
進次郎構文。

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