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燕市が帰省を自粛する学生にコシヒカリ5キロ送るニュースから見えてきた地方自治体と実業家の行動指針と、あるべきローカル経済について

新潟県燕市が、帰省を自粛する学生に「コシヒカリ5キロ」と「布マスク1枚」を送ることがYahooニュースになって話題になっている。
とっても気になったので、どういう経緯か、ちょっと調べてみました。

そもそもは、燕市がTwitterで「燕市は規制を自粛する学生の皆さんを応援します!」として、地元産のコシヒカリとマスクを送ることを発表したことから。

Twitter上では、

「燕市すてき、すばらしい。燕市が好きになった。
帰ってくるなと言われたら帰る気がなくても二度と帰るかって思うけど、
応援しますと言われたらじーんとくる。
燕市が誇らしい。。燕市やさしいな。すこし泣いた。
燕市長よくやった。ふるさと納税します。
新潟市見習え。」 ←などいろいろ(爆)

どの自治体も、帰省の自粛を呼びかけるのがやっとの中、
燕市はなぜこういうアイデアに至ったか。
市長メッセージとして自粛のお願いををしたのが4月8日、コシヒカリ送ります宣言は、その2日後の4月10日。
自粛のお願いメッセージを受けて、市民有志から、
「心細く暮らしている地元出身の学生を励ましたい」という声が寄せられたという。

どんな有志かと思ったら、

市内の実業家が知り合いにも声をかけて有志でコメを寄付し、送ってあげたいと燕市に申し出があった。
さらに燕市が布製マスクを調達してコメと一緒に送付することになった。

http://www.kenoh.com/2020/04/10_tsubame.html

ですって。
民間発のアイデアであり、しかもコメを寄付する篤志家が複数だという。
商工会議所とかなら、そう名乗るはずだから、本当に個人の有志ということでしょう。
こういうとき、気持ちのいいお金の使い方をする社長がいるもんですね。

市によると、
「初めてなのでどれくらいの希望者があるかまったく読めないが、ざっくり100人、200人といった規模を予想している。対象者に気軽な応募を呼びかけている」とのこと。

計算してみました。

新潟産コシヒカリ5kg(送るのは燕市産らしいので、魚沼産ではない)をネット検索すると、相場は3000円ぐらい。
3000円×200人として、60万円。
複数らしいので、実業家2人で割ると、1社 30万円。
30万円の投資で、その経済効果たるや。


言いたいことは、ここから。
その受け入れ窓口となったのが、「東京つばめいと」。
この活動拠点が、前々からあった
ことが今回の迅速な動きにつながったのでは。

「東京つばめいと」って何?

http://tsubamate.jp/

燕市と東京の若者をつなぎます。

「東京つばめいと事業」は、
燕市が、主に首都圏在住の燕市出身者に加え、燕市に興味を持っている若者を対象に実施する、様々なイベントや情報提供の事業です。
将来的に燕市で仕事をしたり、燕市との繋がりをもって首都圏で活躍してくれることを継続的に応援していく取り組みです。

東京つばめいと事務局を所管するのは、燕市役所 地域振興課 交流推進係
移住定住促進や空き家バンク事業をになっている。

失礼ながら「東京つばめいと」のTwitterフォロワー数は472人で(4/12現在)、取り立てて目立って人気があるとは言いがたい、いわゆるどの地方自治体にもある移住促進や地方創生事業。
いや、アカウントを持ってることを、まず評価すべきかもしれません。よく見たら、インスタもありました。

大事なのはここからで、
今回のコシヒカリは、学生サイドからの申し込み制で、住所などを記入し、
「東京つばめいと」に登録することが求められます。
これによって、不正は防げるし、燕市側は、首都圏の学生の存在と状況を把握できるという、メリットがあるのです。
今後のUターン・移住促進において、最新の顧客ターゲット情報を得たことになるのです。(そんな目論見でやってるわけではないでしょうが。)
(結果として)長期的に見たらお金を出してでも欲しかった情報を、
お米5キロで得たことになります。

実業家のアイデアと資金力に始まって、
受け入れ窓口となれた自治体の日頃の活動成果。
コメの販路が見つかり生産者も喜びます。
地域にかかわるあらゆる主体が喜ぶ取り組みです。
うまくいけば来年、燕市に本社のある会社へ就職を希望する学生が増えるかもしれません。


都会に出たまま帰ってこない若者に、Uターンや移住を「お願い」するのに、どの自治体も行政も必死ですが、
こういう時こそ、ふるさと、hometownの心意気を見せて、
いつでもお前たちのことを思っていると、帰る場所の存在提示するのが、
親元、ホーム でしょう。
ふるさとから届くコシヒカリの宅急便には、
「お腹すかせてないか、コメ送るから元気でいるんだぞ」という親からの
手紙が込められています。

そんなお米どころ新潟を想像すると、さだまさしさんの「案山子」を思い出します。

元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか
寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る

https://youtu.be/q-YWPosTX1M?t=11

今こそ、都会にいる子どもたちに、田舎の、ふるさとの、大きな懐を見せてあげるときです。
それが、農村が都市にできる最大の寛容ではないでしょうか。


思いついたポイントをまとめます。

全国の実業家へ行動指針を示した
(ほかにも自費で社会貢献、行動したい人がいるはず。Twitterでつぶやいてばかりの実業家の行動変容を期待したい)
②つまり、アイデアも資金も、すべてを自治体(税金)でやる必要はない、むしろ公がやるべきなのは「繋ぐこと」。
③関係人口創出の活動、拠点、発信が既にあったことで早く動けた
④余剰気味の農産物(お米)の販路になり、農家の助けにもなった
⑤SNSの拡散で、当事者以外にも「田舎」の存在意義がアピールできた
⑥地元への再評価、シビックプライド(郷土愛)の喚起・回復
⑦結果的に地元回帰、移住促進、関係人口につながる

民間の発動を、行政(自治体)が受け止め、まとめるのが、あるべき
ローカル経済、地域振興、地域活性化(三方よし)ではないでしょうか。

全国47都道府県に、市町村は1724あります。
いまのこの緊急非常事態の対応を、何もかも政府(中央)に任せても追いつかないのは、想像つきます。
ならば、1724の自治体が、自分の地域と関わる学生や弱者だけでも守る施策を、1724か所、同時に進めれば、
中央に負担をかけなくてすみます。しかも早く決定、行動できる。

なんでも国に決めてもらうことの限界を、みんな感じているのに、
中央集権より地方分権と言いながら結局、地方自身が自立していないと、
こういうとき、待ちの体制になってしまいます。
できる範囲のところから、自分のところだけは守るんだ、と自治体も企業も、あらゆる組織が、積極的な行動を始めれば~~。


それと、ほんとはこういうこと「農協」が担ってほしい~。
余っているお米や食料を、学生や若い人に配る、
和牛や花など高級な農産物は、アイデア募集や小論文や、なにかステップを作って乗り越えた人に配る。
自治体とも連携して。

行政も、自治体も、商工会(会議所)も、農協も、
燕市に習って、あしたすぐ行動してくれますように~。


最後に「東京つばめいと」からのメッセージ(一部)を貼り付けておきます。

https://tsubamate.jp/about

燕市で生まれ都会で生活する若者へ向けた、燕市からの応援の気持ち。
また、燕市に興味を持ってくれている若者への、燕市から応える気持ち。

“東京つばめいと”はこの気持ちを表す事業です。

「東京つばめいと」が大切にしていることは、
人や動きや気持ちが巡回する関係性、『気持ちの交流』。

若者がどこにいても、燕市は、いつでも笑って帰ってこれる元気な燕市でありたい。
その燕市との繋がりを皆さんに届けます。

『君が育った燕市は、今も、君たちを応援している』
“東京つばめいと”は、その気持ちを表し、動きに繋げる事業です。

ちなみに

https://tsubamate.jp/hitoshigotopage

東京でのミーティング会場は、燕市を本社に東京支社を持つ以下の企業が協賛しています。
○ 北越工業株式会社 東京本社(西新宿)
○ ツインバード工業株式会社 日本橋ゲートオフィス(日本橋)
○ 燕物産株式会社 東京支店(外神田)

これらの会社の株価があした上がるといいですね。

以上~きょうのニュースから

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