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どたばた引っ越し物語 その⑤ 家電と引っ越しとわたし

2拠点生活をするにあたり、買わなければいけないものが多々あった。なるべく物を持たずに暮らしたいとは思うけど、やっぱりね、難しい。

ぜったいに無いと困るものは冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電。住処が増える分、一つずつ買わなければいけない。

ヨドバシカメラで一気に見て回った。家電って、壊れるまで売り場に行かないので、自分が知っているのはだいたい10年前の流行り。
そのころは掃除機も、炊飯器も、なんたらライダーのヘルメットみたいなメタリックなごついのが流行っていた気がするが、今はモノクロでシンプルな形のものが多い。掃除機なんて、ヘルメット部分がないものがほとんど。

時代の変化と値段の上がりっぷりをひしひしと感じた。形はスマートでかっこよくなったけど、容赦なく高いな。

わたしは、基本の働きさえあればいいので、洗濯機や冷蔵庫がスマホと連動しなくても一向にかまわない。
洗濯乾燥機は乾燥がしっかりされるもの、冷蔵庫はドアが一つでお鍋がそのまま入るもの、オーブンレンジはトーストも焼けるものなど、自分のこだわる最低限のリクエストを告げて店員さんにほぼ丸投げ。あとは見た目の好みで決定。
家電を一式揃えるなんて新婚さんのようだなあと遠い目をしながら。

案の定、気分良く買った後の請求金額はドン引きするほどだったが、新しいものは嬉しい。
うきうきしながら、到着を待った。

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洗濯乾燥機


乾燥までばっちりできるということを基準に選んだ洗濯乾燥機は、東京のマンションに運んだ。
古いマンションなので、蛇口の位置が低かったり、そもそも置き場が狭かったりと今時のマンションとは規格が全然違っていて、運んできてくれたお兄さんにかなり余計な苦労をかけたが、なんとか設置してもらえた。

わたしにとっては初めての洗濯乾燥機。マニュアルを読まずにとりあえずスイッチをオンしがちなわたしであるが、さすがに読んでから洗濯に挑む。
マニュアルによると、洗剤と柔軟剤はセットしておけるとのこと。すごい~!と思いながら、わたしは液体洗剤をタンクに注ぎこんだ。

ボトルの半分くらいまで注いだところで、投入している注ぎ口の上にも、タンクがあることに気づいたわたしの気持ちを10文字で表すと。
え?もしかしてこっち?

ええ、わたしが注いでいたところは、間違っておりましたの。都度、洗剤を入れる人のための1回分用の洗剤を入れる場所。そこにボトル半分を投入しちゃって、ああ…。
わたしの脳裏には、Twitterで見かけた、洗濯機前の床まで泡だらけになっている画像が浮かんだ。引っ越ししたてでご近所に迷惑をかける状況は避けたい。

そこから、対処の仕方を検索するまでの道がまた遠かった。マニュアルは、そんなヘマをする人を想定していないのだった。

結局、ようやく対処方法が出ているページに辿りついて、空っぽのまますすぎ→乾燥を4回繰り返すという無駄な行為を経てようやく本来の洗濯乾燥機としての働きをしてくれることになったのだ。

それにしても乾燥機、素晴らしい。洗濯ものがホカホカのフカフカででてくるのはなんとも嬉しく、文明の利器には素直に感謝だ。

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エアコン


エアコンは今まで住んでいたマンションで使っていたものの1台を、東京のマンションの寝室に移動させることにした。

「賃貸だけど、つけられますか?」
ちゃんと管理会社に確認してOKをもらったので、運んでもらうことにしたのだ。
きちんとクリーニングまで頼んだ。というか、外した時に「この黒いの、全部カビですよ」と中を見ながら言われたら、頼まないわけにはいかない。

引っ越し業者さんが、室外機を運んできたときに、ん?ここでいいんですか?と怪訝な顔をしたので一気に不安になる。
「この部屋につけられますよね?」
「うーん。業者さんがなんとかしてくれるんじゃないですかねえ」
不安倍増。
実は、壁のそれらしい場所にはエアコン用の穴がないのだった。床に近い場所に穴があるだけ。

後日、不安的中。エアコン設置の業者さんは、首をひねった。相談が始まった。
そして、業者さん会議の結果を聞いたわたしの出した結論。

「設置はあきらめます。」

壁に新たな穴を開けるか、空いている小さな穴を活かして、ホースを這わせまくるか、どうあがいてもスムーズにいく方法はなさそうだった。

幸い、2拠点目の家には、エアコンをつけたい部屋がある。そちらでエアコンには活躍してもらおう。移送費用はプラス7,000円。引っ越しの時に気づきたかった。

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ところでこの古いマンション、お風呂も不思議で、給湯のボタンのところに追い炊きのボタンもついているのだが、浴槽には穴がないのだ。
そもそも給湯も、蛇口からお湯を出すタイプ。怖くてボタンを押せないのだが、押したらどうなるのだろう…。

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冷蔵庫


冷蔵庫を選ぶときにわたしがこだわった点は、ドアが片開きということ。今は、観音開きの冷蔵庫が多いけど、観音開きって、ドアの幅に対して厚みがありすぎて、バランスが悪いなあと思っちゃうのだ。
開ける部分が少ない方がエコとかいうけど、どうせ大きなお皿やお鍋を入れる時には、両方開けなきゃいけないし。どこに入れたか覚えてないタチなので、あちこち開けるだろうし。

ところで、今時の冷蔵庫がどれくらい重たいかご存じですか?
100kg以上あるんですよ!

わたしが選んだ素敵な片開きの冷蔵庫は、2拠点目の熱海の家に運ばれてきたのだが、これがまた業者さん泣かせだった。

トラックを止められたのはちょっと離れた場所、そこから坂を上がり、さらに階段を上る。しかも、日が暮れて足元が見えにくい時間。階段がまた、幅がまちまちで、石でごつごつ。歩きづらいこと、敵を寄せ付けない城のごとし。

ベテランと思しきおじさんにあれこれアドバイスを受けながら一緒に運んでいる若い子は、離れたところにいるわたしにも聞こえるくらいハアハア言って肩で息をしている。
ありがとうとかすみませんとか、声をかけるのもはばかられるくらいの消耗加減。
彼があの日で仕事を辞めていないことを祈っている、本当に。ベテランおじさんの彼に対するアドバイスの口調の強さと、わたしたちに向ける笑顔のギャップにはドキリとするものがあった。

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掃除機


家電ながら、思わず名前をつけてかわいがりたくなるというルンバが2拠点目の家にやってきた。
いや、すでに家にはあったのだが、残念ながらルンちゃんが動き回れるスペースはおろか、コンセント周りに何もない壁もなかったので、充電すらできずに飼い殺しだったのだ。

ようやくルンちゃんが運動不足にならずに済む。
わたしはインスタの「これをやってよかった!家づくり・リフォーム」といったキラキラした投稿によくでてくる、「クローゼットに掃除機置き場を作り、充電もそこでできるようにする」というアイデアにすごく惹かれて、家にも作ってもらったので、ルンちゃんの餌やり場もばっちりだ。
途中で言いだしたので、キッチンに近かったり狭かったり若干仕上がりが雑だったりするけど、ルンちゃんの飼育に問題はない。

寒く暗い夫もいない夜、テレビもねえ、ラジオも(入ら)ねえ、WIFI工事終わってねえ、のエンタメ環境未整備の我が家で、唯一の動きのある存在はルンちゃんだけで、わたしは心細くなるとルンちゃんを動かし、行く手の障害物をどかしながら動き回ることで淋しくない時間を過ごした。
まったくありがたい存在である。早くしゃべれるようになって欲しいものだ。
ちなみに、うちのルンちゃん、あまり期待してなかったのだけど、ちゃんと床のゴミの掃除もしてくれている。いい子だ。


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ところで、WIFIの工事は、想像よりも大変だった。工事の人が。風でクレーンのゴンドラが揺れる中での作業を覗き見ては、はらはらした。マンションじゃないと諸々大がかりなのだな。
しかし、元々テレワークありきの2拠点生活なので、省くわけにはいかない。せっかくの田舎暮らしだから、ネットも断ち切りましょうなんて本末転倒なことを口走りそうなくらい自然豊かだけども。

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他にも購入した電化製品はたくさんあるし、これから買う予定のものもまだ残っているので、電気屋さん通いはまだ終わりそうにないけれど、引っ越し絡みの話はここまで。

長々とお付き合いありがとうございました。

今年も良い年になりますように!

おしまい














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