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甘い香りをお守りに

人類モテと噂のボディークリームがあるらしい。
私がその存在を知ったのは、似たような匂いのボディークリームを店員さんに勧められている時だった。

「このバニラの香り、あの有名なローラメルシエのボディークリームとすごく似てるのに価格は抑えめなのですごくおすすめですよ」
と少量のクリームを手に乗せてくれた。
顔を近づけてみるとふわっと甘い香りが鼻にぬける。
これはこれは。

本家を知らないので、これが人類モテの香りと似ているのかどうかはわからない。けれど程よく甘くて決して甘ったるすぎないこのクリームが優秀なことはよく分かる。

こんなに可愛らしく女性らしい香りを私が身に纏ってよいものか、気後れしながらそう伝えると抜群の笑みで私のイメージにぴったりだと返された。
それがリップサービスなことくらい鈍い私でも分かるが、嬉しかったのでお迎えすることにした。慣れない香りを纏わせることになんだかドキドキしてしまう。

毎日使うのは憚られるので時々。さらに全身につけると流石に甘すぎるので腕や足の一部だけ。そっとつけるとふわぁっと甘い香りに包まれる。不思議なもので、この香りに似合う人でいようという意識が働くのかいつもより所作も丁寧になる気がする。もしかすると、可愛らしい格好が似合うからその格好をするのではなく、可愛らしい格好が人を可愛らしくさせるのかもしれない。

時々バニラの香りを纏いはじめて1ヶ月くらい経っただろうか。今日の電車はいつもより人が多く、密な状態だった。昼間暖かくて上着入らずなほどだったので乗り込む瞬間に、汗臭くないだろうかという不安が過ぎる。

そういえば、昨晩もあのクリームをつけていた。あの香りがあるならきっと大丈夫だ。
そう思うと安心してぎゅうぎゅうの車内に乗り込むことができた。甘い香りは今や私を安心させるお守りだ。

このクリームのおかげで、バニラの香り自体も好きになったのでハンドクリームもバニラのものにした。お気に入りの香りがすると気分もはずむ。
願わくばこの香りがもっと似合う人になれるよう、可愛らしさを身につけていきたい。

そのお気持ちだけで十分です…と言いたいところですが、ありがたく受け取らせていただいた暁にはnoteの記事に反映させられるような使い方をしたいと思います。