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12/16(木)開催!ディープテックの未来を切り開く、つくば市のスタートアップ戦略とは

はじめに

ディープテック。それは、大学や研究機関で膨大な時間と費用をかけて研究開発された技術を用いて、社会の大きな課題を解決する取り組みである。ディープテックの領域において、日本でもっとも注目を集めているのがつくば市だろう。そんなつくば市の有識者・起業家をお招きし、12月16日(木)に開催するTSUKUBA STARTUP NIGHT。今回は、イベントの立役者であるつくば市スタートアップ推進室長前島氏(写真左上・右)と推進室の屋代氏(写真左上・左)をお呼びし、TSUKUBA CONNÉCT運営 兼 Tsukuba Startup Parkのスタッフも務める岡村(写真右上)、Venture Café Tokyo Program Directorの小村(写真中央)とともに、つくば市の今とTSUKUBA STARTUP NIGHTの魅力を存分に聞き出したい。

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ディープテックとつくば市の今

日本のディープテックを牽引するつくば市ですが、まずは、その特徴や注目を集める理由を教えてください。

前島氏:つくば市は、筑波大学をはじめ、AISTNIMSNAROJAXAなど世界に誇る様々な学術研究所があり、それらの研究シーズを利用したディープテックスタートアップが次々に生まれているというのが特徴だと思います。
次に、注目していただいている理由は、そのポテンシャルの高さにあると思います。事業化に繋がりそうな研究シーズの豊富さがスタートアップや投資家の皆様にとって魅力的に写っているのかなと思いますね。
もう一つは、研究技術を社会実装するのに適したフィールドであること。つくば市は、長年にわたって実証実験に力を入れており、市内の関係者とのネットワークも強固だと思います。さらに、街全体としても新しいことへの受容性が高く、つくば市民は新しいテクノロジーへの理解がある方が多いのも特徴的ですね。そういった、ノウハウやネットワーク、市民の受容性といった要素が繋がり、研究シーズを活かせる街であることが注目を集める要因だと思っています。

岡村:私自身も、2年前につくば市に来ましたが、街全体の新しいことへの受容性の高さを実感しています。街全体として新しいことをやっていこうという雰囲気を強く感じますね。

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TSUKUBA STARTUP NIGHTの見どころ

今回のTSUKUBA STARTUP NIGHTでは、つくば市が牽引するディーブテックの未来に迫るというのが大きなテーマですが、見どころはどんなところでしょうか。

屋代氏:今回でThursday Gatheringとのコラボレーションは3回目になりますが、過去2回はつくば市のスタートアップ推進室が立ち上がったばかりで、これからまさに進めていくぞという勢いやポテンシャルを示すような場でした。
他方、今回のTSUKUBA STARTUP NIGHTでは、ディープテックに強みのあるつくば市ならではのリアルな悩みを、赤裸々に共有するという部分が見どころだと思います。我々自身、スタートアップ政策を3年ほど行うことで、つくば市の持つディープテックの凄さはわかってきたものの、もっと適切な支援がないかと模索していました。そういった中で、今回、デフタパートナーズの原会長や筑波大学の永田学長を始めとする多くの有識者を巻き込んで、つくば市の技術シーズを社会にどう輩出するのか、そのためには何が必要かというところを、会場でリアルタイムにディスカッションするというのは、中々見ることのできないものだと思います。それだけでなく、会場ではつくば市発のスタートアップ10社ほどの機械展示を予定しています。リアルにディープテックを感じてもらえる機会だと思いますね。

小村:あえてこれを東京で行うというところが面白いなと思っています。エコシステムづくりでは開いていくことが大切だと思っています。その上で、東京やその他の地域の方々が参加いただけることはとても意義があると思います。

屋代氏:今回東京で開催するということに関しては、つくば市として視野を広くして頑張っていくということもありますが、研究機関の集結する土地として日本や世界のために技術貢献したいという思いがあるので、今年、スタートアップゲノム社が発表するスタートアップ企業が育ちやすい都市の世界ランキングで9位に選ばれた東京とコラボレーションすることで、つくばの技術と東京の人材をコネクトしていき、日本全体を良くしていきたいと思っています。

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Startup Genome が調査する「Global Startup Ecosystem Report」2021年版

小村:「コモンズ(共有地)の悲劇」という考え方が経済学にはありますが、全体が富まずして個が富むということは無いなと思いますし、そういった観点では、つくば市が持つ希少性の高い魅力やリソースを、あえて日本全体の共有財産としようとする姿勢が素敵だなと感じますね。

コモンズの悲劇:個が自分の利益を最大化するために合理的な策を選んだ結果、全体ひいては個にとって悪影響が及ぶという法則。アメリカの生物学者ギャレット・ハーディンが論文 「コモンズの悲劇」(1968)で提唱した。

つくば市が目指すオープンイノベーション

ここまでお話をお聞きし、シーズ開発に強みを持つつくば市ですが、事業想像についてのこれからの展望をぜひお聞かせください。

前島氏:事業創造に関しては、持続的にスタートアップを創出していくということは、自治体だけではできません。プレイヤーや大学や研究機関、支援者が有機的に繋がっていく事が大変重要だと思っています。

実は、2020年につくばスタートアップコンソーシアムというのを設立しており、小村さんには準備段階から入っていただいています。少しずつ形になる中で、エコシステムの成長を感じていますが、一朝一夕に出来上がることは決して無いと思っているので、20年、30年先を見据えて推進しています。

加えて、Tsukuba Startup Parkという市営インキュベーション施設が2019年10月にオープンしました。この施設がスタートアップの背中を押したり、彼らを繋ぐ場所にしていくことが重要だと思っています。もちろん、研究シーズの事業化は難しい部分もありますが、自分の研究分野で社会を良くしたいという研究者と、それをサポートする支援者や経営人材など熱い思いを持った人との出会いによって実現されていくと思うので、研究シーズをベースとしたスタートアップが続々と生まれていくような場にしていきたいです。

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2019年10月にオープンしたTsukuba Startup Park

屋代氏:研究機関とスタートアップとの共同研究というのもあり得ると思います。TSUKUBA STARTUP NIGHTでも、茨城県の茨城イノベーションアワードで大賞をとった株式会社 Doogがセッションに登場してくれますが、NARO(農研機構)との共同開発で生まれた農場での自動追従ロボットが大きく評価されています。このように、スタートアップと研究機関が協働することでお互いの成長を促進するという面があるので、研究機関から生まれるスタートアップだけでなく、広義でのオープンイノベーションを進めていきたいです。そのために、Venture Café Tokyoを含め、スタートアップサイドの多様なセクターとともに事業化に向けて頑張っていきたいです。

終わりに

最後に、今回TSUKUBA STARTUP NIGHTに参加される皆さんにメッセージをお願いします。

前島氏:つくば市のスタートアップのキープレイヤーが終結する大変ワクワクするイベントになっています。基調講演やトークセッションの中では、つくば市の知見やノウハウを参加者とオープンにシェアして行きたいと思っていますし、他方、失敗談などを共有することにも価値があると思っています。それに対してアドバイスをもらったり、つくば市とコラボしてやっていくきっかけにもなると思っています。ぜひ、参加してくださる方と双方向に作り上げていくイベントとしていきたいです。

岡村:つくば市のことをあまり知らない方や、どんな街なんだろうと思っている方にこそ来ていただきたいです。普段交わることのない方達がTSUKUBA STARTUP NIGHTで出会い、そこからまた新しい事が始まるような機会になるといいと思います。私も2年前つくば市に来たばかりのころに、TSUKUBA STARTUP NIGHTの前身のイベントに来た事がきっかけで今の活動に繋がって、さまざまな事が前に進んでいます。

小村:実は、CICおよびVenture Café Tokyoの出身地であるボストン・ケンブリッジ市と、つくば市は姉妹都市です。そのケンブリッジ市も、MITを中心としてディープテックが盛んな地域です。そこで育ってきたVenture Café Tokyoとつくばエコシステムの相性がいいというのは素直に想像できますよね。

Venture Café Tokyoのミッションは"Connecting innovators to make things happen"ですが、TSUKUBA STARTUP NIGHTはそれを具現化し、実感させてもらった経験だと思っています。2018年、まだVenture Café Tokyoを立ち上げたばかりの頃、TSUKUBA STARTUP NIGHTの前身のイベント「TSUKUBA GLOBAL NIGHT」を開催しましたが、500人近い方に参加いただき、TSUKUBA CONNÉCTをはじめ、そこから今日まで様々なコト起こしに繋がってきました。今回のTSUKUBA STARTUP NIGHTも、つくばに限らず非常に開かれた場なので、ぜひ気軽に参加してください。より良い社会を作るためにコネクトして行きましょう!

12/16開催のTSUKUBA STARTUP NIGHT、ご参加はこちらからお気軽にどうぞ。


お知らせ

Venture Café Tokyoは毎週木曜日16時-21時に「Thursday Gathering(サーズデー・ギャザリング)」をCIC Tokyo(虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー15F )で開催しています。多様なイノベーター達によるセッションやイノベーションを加速させるワークショップ等を通じて、参加者は学びを得ながら、そこで得た共体験を梃子にネットワークを拡げることが出来ます。良きイノベーションの輪を拡げることを通じて、共に世界を変えましょう。


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