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同じ穴のむじな

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大学に入学し、アパートに下宿したが、「おんな」に翻弄される毎日。
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#情事

同じ穴のむじな(11)来訪の女②

同じ穴のむじな(11)来訪の女②

「今日はこれつけてくれる?」
明恵の手には避妊具の包みがあった。
やはり、危ない日なのかもしれなかった。
横山尚子が以前に、排卵日のころが危険日だと教えてくれたっけ。
「危ない日なん?」
「うん、たぶん。おとといあたりから体温が高いねん」
「体温でわかるんか?」
「そうよぉ。知らんの?男の子は知らんよねぇ。はい、こっちきて着けたげよ」
おれは、勃起を揺らしながら明恵のほうににじり寄る。
ピッと袋を

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同じ穴のむじな(10)来訪の女①

同じ穴のむじな(10)来訪の女①

つぎの日曜の朝、時計を見ると十時前だった。
「よく、寝たなぁ。あぁ」
おれは万年床で伸びながら、大きくあくびをした。
備え付けの笠の歪んだサークラインが目に入る。
雨漏りだろうか、天井板にアフリカ大陸のような染みが広がっていた。
金属をこするような音を立てて京阪電車が窓の外を通り過ぎて行った。
カーテンが中途半端に開いていた。まだ梅雨が明けていないのでどんよりと曇っている。
もう三日ぐらいカーテン

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同じ穴のむじな(5)おれたちの失敗

同じ穴のむじな(5)おれたちの失敗

言葉にならないような声を発した小西由紀だった。
なぜかというと「玉藻荘」に足を踏み入れた感想が、彼女の脳の理解を超えていたからではなかろうか?
汚いかといえば、さほど不潔というわけではない。
ちゃんと大家の北川さんが、毎朝、掃除に来てくれるからだ。
実は、大家の北川しのと、この玄関側の一室に部屋を借りている山村富士夫という爺さんとは愛人関係にあるらしい。
スナックのホステスをしている斜(はす)向か

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