接触確認アプリCOCOA、現状のダウンロード数より気になること

中央公論へ寄稿した文章が、Yahoo!ニュースに一部抜粋され、そして謎の冒頭文(未監修)が加わったことで、宮田は”接触確認アプリCOCOAのダウンロード数を気にしている人”という位置づけになっているようです。従ってここに現時点での意見を書いておきます。(相変わらずYahoo!ニュースのコメント欄は...)

結論から申し上げると私は、”接触確認アプリを重要だとは感じていますが、現時点のダウンロード数をそれほど気にしていません”。理由の1つはAppleのFAQにあります。

今後修正されるかもしれないので、念のため該当部分のキャプチャを付けます。

ここに示されているのは、”第2段階ではOSのアップグレード時に同意をとった上で、接触履歴をOSと連動して作動させる。もし陽性者との接触が検知された場合にはアプリ(日本の場合COCOA)のダウンロードを促す”

つまり現時点では足し算式でダウンロード数を伸ばさなければならず、この方法では多くの人が指摘しているように限界があります。しかしながら、ある時点でOSに組み込まれてしまえば、引き残式で一気にシェアが拡大するということです。もちろん、FAQで書かれていることはあくまでも予定なので、この計画が実現されない可能性もあります。ただこの方針からは「各国のアプリの出来に左右されず、重要なことは自分たちで解決する」というApple/Googleの矜持を感じ、実現するのであればリスペクトです。

その中で今、私が気になっているのは何か?

1.利用者にとってより有益な機能を実装すること
接触検知が何れOSレベルで対応できるのであれば、接触確認アプリをダウンロードした利用者のメリットを拡張することが重要です。その中でも有用なのが、接触前から行動変容をサポートする機能です。日々の接触者数(もちろん個人情報を伏せて)を利用者にフィードバックすることで、自分がリスクの高い行動を行っているかそうでないかを把握することができます。こうしたフィードバックで感染リスクを下げるためのサポートを行うことが可能かもしれません。また検査を迅速に受けることができるようなサポートも重要ですね。既に一部の都道府県がCOCOAの接触履歴がある利用者が、より迅速なステップでPCRを受けることができるように支援することを表明しています。

2.現状のスマートフォン利用者以外も包摂すること
残念ながら日本のスマートフォン利用者の割合は、先進国の中でも低いのが現状です。Apple/GoogleがOSレベルで接触確認機能を組み込んだとしても、穴が出来てしまうのです。その時に、3密を避けることができないような劇場や映画館ではスマートフォン以外の利用者も、アナログな手段で登録し、通知できるような工夫が必要です。これは厚労省側のシステムで対応する事項です。また病院や介護施設など、スマートフォンの非保持者も守ることができるように一時的に配布するなどの工夫も必要かもしれません。

アプリの活用はまだはじまったばかりです、上記のような改善を行うことにより、感染拡大を防ぐための1つのアプローチとして効果的に機能すると考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?