見出し画像

こんな夢を見た。

大人になったら女の子はみんな
峰不二子になると信じていた
時は経ち体は大人になったけど
おっぱいは大きくならなかったし
ハイヒールは履けるようにならなかった

子どものころ絵を描いたら
みんな幸せになると信じていた
ふわりと半径5メートルが変化した
でもそれが幸せかどうかはわからなかった
そのうち歪で大きなタコが指にできた

描くことは苦しかった
息の仕方がこれしかわからなかった
つらくて何度も筆を折った
だけど描かなくても私はしななくて
その事が何より恐ろしかった

息を吸う
何度も何度も
線を引く

空を見る
視線でぐるりと
雲をふちどる

息を吐く
何度も何度も
朝が来る

まっ白い朝に
また
線を引く

まだ
まだまだ
ただ熟すときまで
ぐるぐると

その日がきたら
真っ赤な口紅をひいて
せいいっぱい女になる
それまでの貸し借りを
全てチャラにして
「じゃあね」と手を振る
救い出したお宝を抱き
履き潰したコンバースで
次の街へと向かうのだ

そんな夢を見た。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?