見出し画像

中学校教師 #36 計算力は向上したのか?


4月から中学校で勤務しています。
いずれは小学校に戻ることを考え、この経験を記録に残そうと思います。
異動の経緯や考えは下記参照


計算クエスト

計算力を向上させることの重要さを感じた約3ケ月前。
計算力とは、単純な計算の処理速度を上げつつ、正確さも保つことをいう。

そこで、ChatGPTとCanvaを活用し、「計算クエスト」なる活動を企画、実行した。詳細は以下の記事より…


計3ラウンド終了……結果発表!

1ラウンドは5回(小学校の計算・正負の数・文字式・展開と因数分解・平方根)計3ラウンドが終了しました。
【3年生】
・3学級あり、平均点は23点から25点
・ある学級が、3回連続平均点トップ
(高得点を獲得できる生徒の割合が他のクラスよりやや多い)
・3ラウンドの経過を見たときに、大きな変化はなかった。

【2年生】
・2年生は、展開と因数分解・平方根の問題は対象外(未履修)
・2学級あり、平均点は23点から25点
・平均点トップはラウンドごと変化した。

ラウンドごとミニ賞状を渡して称揚した。
・トップのクラスに大きい賞状(他のクラスにもミニ賞状)
・すべての回で満点だった生徒に最優秀賞の個人賞を授与
・3年生のみ、150点満点中140点以上獲得した生徒にミニ賞状を授与


Canvaで作成 バッチカッコ良い


満点の生徒に個人表彰





計算クエストを実施した際の生徒の声や様子から成果や課題をまとめてみます。


成果


○競争心をくすぐる設定
クラス対抗にすることで、生徒の競争心を引き出すことができました。○組の点数が高いぞ!という反応、特に2年生は3年生相手にも良い勝負ができているという実感、ちょこちょこ平均点を表で示すことで、競争心をくすぐるようにしました。
一人の1点で平均点は変わります。ただのテストだったら振り返るのは自分だけ。そうではなく、クラスの平均点で競うことで、「どうにかして1点でも多く獲得しよう」という意欲を引き出すことができました。

これは、1学年に複数の学級が存在する学校だからこそ可能となった方法です。私が昨年度まで所属していた小学校は単学級だったため、「クラス対抗で競う」ということが久しぶり。適度に競争心を引き出すことができました。


○基礎計算力が重要であると気付く
先日、県の学力調査が実施されました。3年生のあるクラスにテスト監督として向かいました。テスト開始直後、ものすごい速さで計算問題を解く生徒の姿が目に入りました。
テスト後、「方程式や関数、証明の問題に対して時間が足りなかった」という声が挙がっていました。だからこそ、テスト序盤の計算問題でいかに時間を掛けずに解答するかが重要となります。計算力が高まれば、文章問題に対して解答する時間も長く確保することができます。同時に、確実に計算問題で点数を取るためにも計算力が重要です。



課題

▲得点は伸びなかった
1か月に1ラウンドのペースで実施しました。計3ラウンドの平均点は到達率80%前後。ラウンドが経過するたびに平均点が上がるという状況にはなりませんでした。
これは、ラウンド間が短く、計算力を高めるための基本練習を確保する機会が少なかったこと、得点が取れない生徒への個別の支援が不十分だったことが原因として考えられます。
生徒の立場からしても、ラウンドごとに得点が伸びている感覚が持ちづらく、「成長している」という実感を得ることができなかったと思います。
このような活動を企画している以上、クラス対抗で勝ち・負けだけでなく、自分たちのクラスの平均点が伸びたという感覚で活動を終えることができたら良かったと感じています。


▲計算指導の根本にあるもの

計算が苦手な生徒の傾向を把握しました。
①計算のきまりを理解していない
 ・符号のきまり
 ・計算の順序
 ・公式(乗法公式→展開や因数分解)

②暗算できる範囲の狭さ
 九九はもちろんのこと、九九の範囲の少し外側にある2桁と1桁の掛け算や割り算についても暗算でできるようになってほしいと感じています。授業でも、「それ、暗算でいけるでしょ」と思う計算も、筆算を書く生徒が多いと実感しています。

小学校の算数では、足し算・引き算・掛け算については計算カードを用いて反復練習をする指導を行います。(特に低学年)その後は、反復練習をする機会はあまり多くなく、計算処理の速さについてはあまり言及されません。むしろ正確さの方が大事。だからこそ、小学校低学年において、基本的な計算の処理の速度も確保できるような仕掛けが重要です。しかし、これは学校の授業の指導だけでは不十分で、家庭学習による支えが欠かせません。すると、保護者の協力も非常に重要な要素となります。

小学校低学年の算数指導に関係する方がこの記事を読んでくださっているのなら、ぜひ心にとめておいていただきたい。
小学校低学年の計算反復練習は、中学校の数学にまで大きく影響します!


冬休みまであと2週間。
成績処理と3者面談で忙しくなるこの時期。それでも冬休みはゆっくりできるとうきうきしてくる時期でもあります。

油断して生徒の成長を見逃すことのないように気を抜かずに2週間を過ごしたいです。
そろそろ次年度のことも考えなければ…。

やってみたいことが3つほど動き出しそうです。またお話します。




【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】





この記事が参加している募集

#算数がすき

1,089件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?