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光あれ ~『テート美術館展』と小説『神の棘』~

「光あれ」と神は言われた。すると光があった。

旧約聖書、創世記の有名な一節です(語順をちょっと入れ替えました)。

今日は「光」についての話題を二つ。

まずは国立新美術館で開催中の『テート美術館展 光』の鑑賞記録です。
「ターナー、印象派から現代へ」という副題の通り、光というキーワードのもと、18世紀から2000年代までの幅広い作品が来日しています。

もともと私の好みは、大体古典から印象派までなのですが、とっつきやすい『光』という主題に導かれて、現代アートを含め全体を楽しめました。
撮影不可と明記されているもの以外はカメラOKでしたので、気に入った作品を展示順にご紹介します。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
陽光の中に立つ天使

ターナー作品は、色合いと湿潤な空気感が好きです。


ジョン・コンスタブル
ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に腰掛ける少年

イギリスらしい題材も印象的ですが、額縁が立派で目を惹きました。


ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー 
ペールオレンジと緑の黄昏-バルパライソ

ホイッスラーは静謐な画風が独特ですね。

アルフレッド・シスレー ビィの古い船着き場へ至る小道

シスレーは、印象派の中でも特に好きな画家の一人です。


現代アートから2点。

ペー・ホワイト ぶら下がったかけら

カラフルなピースと床に落ちる黒い影の対比も面白いです。


オラファー・エリアソン 星くずの素粒子

展覧会場の最後を締めくくる華やかな大型作品。こちらも影が効果的です。


さて、今日の「美味しいもの」は、美術館2階のカフェで提供されている、テート美術館展コラボメニューです。
期間限定ウェッジウッド・カフェ
『ウェッジウッド サマーアフタヌーンティー at サロン・ド・テ ロンド』

ウェッジウッド サマーアフタヌーンティー

コースターまでウェッジウッド仕様なのにまず感激。
プチガトーと紅茶がウェッジウッドの食器で運ばれて、テンションアップ!
セイロンティーにちゃんとコクがあり、青をポイントに効かせたプチガトーも一つ一つが美味しくて、さらにご機嫌に♪

数か月ぶりに会う友人と、楽しいひと時を過しました。
Eちゃん、付き合ってくれて、ありがとう!


「光」を巡る話題、二つ目は
須賀しのぶの小説『神の棘』
第2次世界大戦中のドイツを主な舞台とする、ミステリー要素も幾分絡めた歴史小説です。
片やナチス親衛隊員、片やカトリック教会修道士、道をわかつことになった旧友の二人が、数奇な運命によって幾度にもわたり邂逅。
単純な勧善懲悪では到底割り切れない複雑な状況の中、友愛と裏切り、神への祈りと懐疑が交錯した末、透徹のラストを迎えます。

「絶対的な罪とは決断を自分以外のものに委ねること」

この言葉をかみしめながら、上下二巻の厚い本を閉じました。
ずっしりと重い読後感の残る小説でした。

ナチスの蛮行の幅広さと縦割りの実態にも驚きましたが、カトリック教会、特にヴァチカンの抱える「闇」は知らないことが多く、衝撃的です。
キリスト教やイスラム教など一神教の社会と、日本のように宗教に大らかな社会では、道徳観念、恥の概念など、色々違いがあるよなと比較文明論的なことにも、改めて想いが広がりました。
読書は奥が深いです。


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