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損得・効率・世間体!? より 安らぎ・愉しみ・心地いい♪

 「半沢直樹シリーズ」や「下町ロケット」などで知られる小説家、池井戸潤さんの「最終退行」を読みました。
 平成不況下にあって、「護送船団方式」と呼ばれた戦後金融行政が大転換され、日本型金融システムが崩壊する中で、「負け組」となった都市銀行を舞台に、弱者への締め付けを図る本部エリート集団と、取引先の中小企業や現場行員との板挟みにあう中間管理職の葛藤と闘いを描いた、エンターテインメント・ミステリーです。

 在籍する銀行に愛着を抱きながらも、本部による大掛かりな不正をかぎつけて、ついに反旗を翻す主人公が、元同僚に「(不正を)暴いたところで何の得がある」と揶揄する言葉をかけられたのに対して返す言葉が、強く印象に残りました。

 それはこうです。

「損得じゃない。これは魂の問題だ」

 私の座右の銘の一つ「損得・効率・世間体より 安らぎ・愉しみ・心地いい」を思い浮かべながら読みました。
 わたし自身の社会人としての歩みも振り返る機会になる読書でした。体調を崩したため、数年前に、50歳を前にして早期退職したのですが、魂の健康のため、その選択は間違ってなかったと、改めて思います。

 そういえば、以前、心理学者の河合隼雄さんが「援助交際や売春は何故いけないのか」という問いに対し「魂に悪いから」と答えていましたね。
 魂 を安易に持ち出すと、怪しい新興宗教みたいになりかねませんが、「魂に悪い」ことかどうかという行動基準は、結構有効なのではないかと思っています。


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