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なぜ、ここに。なぜ、この時間に。時がスローモーションのように流れた

ランチ時、仕事先に向かうため、渋谷駅を歩いていた。

目の前を妻とよく似た女性が横切った。

なぜ、ここに。

なぜ、この時間に。

何かの間違いだ。

確認するため、後ろから、こっそりつけた。

よく見たら、やはり妻だった。

家にいる時とは別人の表情だ。

生き生きして楽しそうに見える。

まさか、街中で妻を見かけることになるとは。

ドラマのようなことが本当にあるのだとビックリした。

時がスローモーションのように流れる。

SHIBUYA109の前。

誰かと待ち合わせをしているらしい。

知らない男が現れた。

妻がすっと腕を組む。

まるでカップルのようだ。

2人はそのまま道玄坂を上がっていく。

細い路地に入った。

心臓がバクバクする。

2人がホテルに入った。

頭が真っ白になった。

気が付くと、その場から逃げ出していた。

あまりの衝撃で、怖くなったからだ。

嘘だと思いたい。

試しに、妻の携帯に電話をかけてみる。

呼び出し音がなるだけだ。

心がポキンと折れた瞬間だった。

もう、一緒にやっていくことはできない。

その夜に離婚を切り出すことを決めた。

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