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アジアカップ敗退


ワールドカップ優勝への試金石として大事な道程、アジアカップはベスト8敗退となった。

FIFAランク21位のイランに対して日本は17位。

第2次森保ジャパンの親善試合の結果や選手層、選手のクオリティをみても日本有利は揺るがないとサポーターも感じていたが結果は違った。

まず、日本は今大会において敗退するイラン戦までクリーンシートの試合、つまり失点0の試合をつくれなかった。

選手選考の部分ではGK3名の選出の中でA代表の経験豊富なGKの選出はなく、ベテラン枠の精神的支柱になりうるGKの選出もなかった。

またヨーロッパのシーズン中の開催という事もありコンディション不良の選手も沢山いた、三笘・冨安・板倉・久保などだ。

開幕前からコンディションに不安を抱え、GKは経験不足の人選、そこに伊東のスキャンダルも逆風となった。

それでもグループリーグは手堅く、ローテーションで乗り切れるという淡い期待。

しかし、現実の波はしっかりと確実にワールドカップ優勝の夢を簡単に語るなと荒波で押し寄せる。

初戦で勝つも2失点、第2戦は2失点で敗れ、第3戦で勝利しグループを2位で通過。

第2戦以降、怪我から復帰した冨安がディフェンスラインに入る事によりラインコントロールとコーチングで守備が安定。

トーナメント初戦も快勝し良い流れが日本代表を後押しする。

そこに伊東純也のスキャンダル。

掴みかけた流れはスルリと手からこぼれ落ちる。

強固な団結力と、勤勉にして協調性高いサッカー集団、それが日本代表だといつの時代も感じる。
過去も現在もそこは揺るがない。

それでもメンバー1人が途中で離脱すること、しかも事件化する可能性もある事、チームに影響を与えないわけがない。

伊東純也は間違いなく代表のレギュラークラスだ。日本代表の左右の翼は日本代表の強みでもある。

チームへの貢献度も経験値も個人としての打開力も代表では頭一つ抜けている存在だ。

それにして、伊東純也の件に関しては腑に落ちてない。

スキャンダルの内容や真実なんてものはこちらもわからない。

詳細に関しても後から後からいろんな情報があり過ぎてただの意見なのか誰かの憶測なのかよくわからない。

ただ、JFA会長の会見の内容はありえない。

伊東純也は結果的にチームを離脱する事になったが、まだ何もわからない状態において選手を守れない、守ろうとする姿勢を打ち出せない辺りは想像は出来たがリーダーとしての覚悟は感じない。

まずは事を荒だてず穏便にやり過ごす、なるべく内側で解決し自分自身に危害が及ばないような手を打つ。

スポンサーへの配慮は忘れる事はない。

一部報道では伊東純也の人となりを知っている代表のチームメイト等がチームに残すように詰め寄ったらしいが、、

チームのゴタゴタはマイナスに働く、それくらい土台となるメンタルの部分の充実は大切でフィジカルもスキルもその土台があってこそ発揮出来るものと感じる。

第2次森保ジャパンの現在地

イラン戦スタメンは、バーレーン戦からの変更は3人。怪我の旗手に替えて守田、左WGに前田、左SBに伊藤。

キーパーは引き続き鈴木、ディフェンスラインは右から毎熊、板倉、冨安、伊藤、中盤は遠藤、守田、久保、フォワードは右に堂安、左に前田、1トップに上田が入った。

中村、中山に変えて前田、伊藤を起用したのはイランの右サイドからの攻撃の対策と思われる。

中2日でのコンディション面の考慮もあるかもしれないが対人に強い伊藤とプレスを何度もかけれる前田。

まず守備を整えたいというのはノックアウトステージでの強豪イラン戦を考えると特別悪い考えではない。

前半イランはあまり前に出ずミドルゾーンからブロックを敷いて構えた、日本は相手陣に入りやすくディフェンスラインからの縦パスも入りやすい。

守田の得点後から徐々にイランはペースを掴みに行く、しかし前田のプレス、久保のポジショニングで後ろからのボール引き出しイランも手を焼く。

前半は無事日本が1点をリードして折り返す。

後半開始からイランは守備のプランを変更した、負けたら終わりの試合でイランは前がかりになる。

それまでミドルゾーンからの守備だったイランは板倉、冨安に果敢にプレス、サイドバックにも両サイドハーフがプレス。

日本はコントロールを失っていく。

久保による左サイドからのピンポイントクロスを上田綺世がヘッド、ボールがゴールポストを超えた時に試合は決していたのかもしれない。

日本の陣地に高い圧力で前線からプレスにくるイラン、中東開催、前回大会の悔しさ、日本のスタイル、その全てを理解してハーフタイムに修正したイランは疲れなどみせず全員で襲いかかる。

日本代表はビルドアップが出来ない、余っているのはキーパーだけになる。

バックパスして鈴木が蹴る。後半何度も目にした。つまりはイランペース、日本は通常運転ではない。

そして鈴木のキックから奪われ同点弾を許す。

悪い流れを断ち切る為、指揮官は久保と前田を下げ三笘と南野を送り出す。

イランは更にロングボールを多用する、中央付近から日本の右サイドへのロングボール、これは間違いなく狙い通りの攻撃だ。

毎熊は今大会素晴らしい活躍をみせたが守備における高さはない、単純なぶつかり合いでは毎熊に部はない。

板倉は前半からロングボールに対応できてなかった、いや、イランのぶつかり合いに対抗するコンディションになかったと言える。

イランの攻勢は更に続く、深い位置ではロングスローで肉弾戦を挑んだ。

(青森山田高校のロングスローを批判する声が巷であるみたいだが、ロングスローを組み込んでセットプレーとして立ち位置など整えれば立派な得点源になる、相手を押し込める)

日本がボールを持つと4枚で日本の4バックにプレスした、クリアは拾われる、ロングボールを入れられてラインを下げられる。

ラインを上げたいがプレスがかからない、前半から流れを掴む為に猛スピードでプレスをかけた前田は下げてしまった。

ラインを上げる為の時間を作っていた久保もピッチにいない、中2日で挑んだノックアウトステージで日本は強めのジャブをなす術なく打たれ続けた。

アディショナルタイムの劇的な逆転弾でアジアカップは終わりを告げた。

"負けるべくして負けた" その通りだ。
"相手は勝利に値した" まさに。

ここからは私的な見解になるが小さい頃から代表を見続け興奮も感動も絶望も味合わせて頂いたからこそ本質を考えたい。

JFAと監督人事

森保監督は就任5年目。(この方は、私が所属していたクラブの先輩にあたる)

代表監督として歴代最高の勝率を誇るが、よく巷では戦術がないとか、修正力がないとか言われてます。

就任から現在まででの私個人の理解としては森保監督は日本語でコミュニケーションがとれ、協会とも選手とも揉めない人柄で、マネジメント寄りの監督であるということ。

流れとしてはロシアワールドカップ前にハリルホジッチが電撃解任され、本大会直前に西野ジャパンが誕生する。

その現場に入っていたのが森保さん、JFA的には確信犯。西野監督に繋いでもらって森保さんにバトンを渡す。

この流れを汲めば次は名波さんなんて事があり得る(汗)、本気の精査をして頂きたい。

先述したように歴代最高勝率を誇り、決して弱い代表を率いて来たわけでもないが、事ある毎に解任の話や会長も退任を求められる。

主要な大会では前回アジアカップで準優勝、南米選手権は予選敗退、東京五輪4位、E-1選手権優勝、カタールW杯ベスト16の成績を残している。

協会や監督の評価は様々、ファンやマスコミ、有識者の界隈もいつも賛否両論、それはそれでサッカーを観る人達から注目が集まるので賛否は仕方ない。

批判より恐れるべきは無視される事だと思う。

ただ、多角的に現状を捉え未来に繋げなければならない。

同じ失敗を繰り返したりして、建設的でなければチームや集団は停滞し未来に向けて右肩下がりになる。分野問わずそうなってしまう。

なぜ、ネガティブな言葉が周りから上がってくるのか?は、割とやかりやすいと感じる。

それは負け方だ。

未来に繋がるコンセプトのある戦い、進歩を感じさせるチーム、諦めないグループ、選択肢が増えた攻撃、などを積み上げて行く中であれば負けても解任騒動は起こりにくい。

就任から森保監督に欠けている部分を感じている。

私も就任から期待して結果より内容を重視して応援を続けてきたが5年間でのチームの成長は個の部分だけと感じる。

チームのサッカーに対して基礎の部分、土台の部分の落とし込みが出来ていない。枝ではなく幹の部分の話になる。

例えば"良い守備から良い攻撃へ"などの言葉をよく耳にするが、どう守備してどのように攻撃するかは決まらない。
とてもふんわりしている表現。

いい守備とは何なのか?

サッカーは個人とチーム、両方の側面がある。一概に守備と言っても相手ありきが大前提となる。

いい守備はそれらを考慮して行われる、行わられるのだがそこからはチーム内に原則が必要になる。約束事や決め事のような明確なものを徹底しなければならない。

原則によって全員の目線を揃える、それは発足した5年前からスタートするべき事だった。

原則や決め事がある事で間延びを防いだり連動を産み、原則がある事で原則に沿った選手選考にも繋がり、立ち返るものを得れる。

その上で更に細かい枝の部分を詰めて行く、そこで初めて戦術的な守備がチームで行えるようになる。

徹底すれば優秀な選手達だから時間は意外とかからないと私はふんでいる。

いつも代表チームは時間がないと言うが最初から取り組んでいれば落とし込める。

いつの時代も代表チームには中心選手は存在する、森保監督もかなりの序列思考だ。原則の落とし込みは出来たはずだ。

中心選手から新加入選手に伝え目線を揃える事は学生でもユースチームでもやっている。

イラン戦のようなロングボールを多用してくる相手や、セットプレーの守備に対しても様々な大会を通じて守備の原則は徹底しておく必要はあった。

サッカーは選手同士で補完し合える部分もかなり大きい。

守備の徹底は攻撃よりわかりやすい、そこを個人の判断やアイデアだけに頼る事は今大会で2敗した事により限界だと言わざるを得ない。

一方でビルドアップで言うと、三笘がわかりやすい。日本のやり方では三笘になかなかボールが入らない。

カウンター時には三笘はいきいきと前向きにドリブルを開始出来る。

カウンター時には膨大なスペースと相手守備陣形の薄さがある。

では遅攻時にはどう攻めるのか?
左右の日本の武器をどう機能させるか?
は現状個人の質に委ねられている。

例えば毎熊と菅原のビルドアップ時のポジショニングは違う。

原則がある上で選手に任されてるのか?

観る限り答えはノーだ。

左の中山と伊藤も然り。選手の各々の経験則に任されている。

いい言い方をすればチームコンセプトはしっかりとあり、大枠の部分はチームとして持っていて、細かい部分は選手で判断し話し合い解決していくチーム、となる。

大会敗退後や試合に負けたりすると
"選手はクラブに戻り更に成長を続けてほしい"

よく森保監督の口から出る言葉。

細かい決め事やディテールを詰めるよりも個の成長を促し、個での解決を促す。

グループやユニットでの約束事より選手の話し合いにより解決に導く。

個で解決!各々の決断で技術やフィジカルで何とかする。

では、イラン戦のように後半開始以降に相手がやり方を変えた時にどうするのか?

カタールW杯のドイツ戦前半も同じだった。
相手は戦前から左肩上がりでラウムを上がらせて攻めてくる。
ミュラーは捕まえにくいポジショニングで掻き回しムシアラとザネは違いをうみだす事はわかっていた。

前半で試合が決まってしまう展開。
防戦一方だったが権田や守備陣の粘りで乗り切った。

何とかPKによる失点だけに抑えたが、前半のうちにベンチからの指示により変化をくわえる事はなかった。

結果が良かった為にこの辺りの事は語られる事はないが、前半で試合を決められ初戦を落としていれば問題提起されていたと思う。

つまり、今大会初めてみえた部分ではなく、以前からあった問題である。

日本対策であったり相手チームのプラン変更があった場合に対策の対策を用意しておく必要がある。

場当たり的な采配、基盤のないチームビルディングと言われても言い訳は出来ない。

では、そんな監督をJFA会長は解任するのか?

それも答えはノーだ。

ハリルからの流れで厄介者は去り協会や選手と揉めない森保監督は会長からすれば非常に扱いやすく給料も高くない。

それに勝率は高くドイツ・スペインを破った。

解任する材料などない、間違いなく次のW杯終了まで行く。

日本サッカーの為に機能している組織ではない、綺麗事なしに日本サッカーに必要なのはお金だと思う。

スポンサーに忖度するのは財布の紐を握られてるからだと思う、選手を守らずスポンサーに忖度する辺りは現会長ならば頷ける。

新しい会長には元代表の宮本恒靖が就任する、現会長のお墨付きだ。

組織の改革は簡単ではない、宮本恒靖からも日本サッカーや協会をどのようにしていくのか?のビジョンは示されてない、彼が適任かは今のところはわからない。

ただわかっている事は彼がビジネスで結果を残しているわけでも、監督として結果を残しているわけでもないと言う事。

閉鎖的な村社会の中で神輿を担がれた感は否めない。

不透明なだけに不安は大きい。


長々と長文を申し訳ないですが、私的には悔しくて悔しくてたまらない大会でした。

外野からは、もそもそもアジアを舐めてるとか
選手からも、熱量が足りなかったとか。

コメントが出ていますが、今大会の敗退がいい薬になった。などと私は思えない。

今大会はアジアカップに挑む手前の部分で監督・コーチ陣はもっとハングリーさを選手に求めなければならなかったし冨安、遠藤を中心にもっと勝利に貪欲にならなければならなかった。

もはや、監督・コーチ陣にトップダウンのガツンと選手に言える状態、聞ける状態ではないのかもしれない。

伊東純也の件でマイナスの力がチームに加わっても勝てるチームでいて貰いたかった。

選手はどこまでいっても選手、5年前と比べても選手の成長曲線は右肩上がりだ。

日本サッカーの未来の為にはやはり監督・コーチ陣の成長、サッカー協会の体質改善が必須になる。

そうなると、本田圭佑氏が言われたような指導者ライセンス制度の問題と向き合う事、より専門性に特化した協会の改善が重要になる。

サッカー普及の為、お金を調達する為、代表を分析する為の専門性が必要になる。

身内だけの会長選挙をしている場合てはない。







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