備忘録〜祖父の年賀状〜
忘れたくないのでここに書くことにする。
それは亡くなった祖父のお正月の風景。
祖父は寝たきりになる前、
毎年年賀状を一枚一枚丁寧に作っていた。
ゆっくり墨を磨って墨液をつくり、
丁寧に筆を動かして、それぞれに新年の挨拶を書き記し、そして最後にその年の干支のスタンプを一つ押して、完成。
姉と眺めたり、遊びから帰って見かけたり。
思い出すだけでも、
その時間はゆっくりと、ゆったりとしてた感覚がある。
祖父は90歳まで空手に勤しんでおり、
県だか、国だかの協会の役員や審査員をしていたらしい。どうやらパリ万博にも出たことがあるとかないとか、、、
生前は空手の先生をしているということしか知らず、亡くなってから段やどこでなにをしていたかを詳しく知った。
空手雑誌の一冊に祖父のことが特集してあるページがある。どんな想いで、なにをしていたか。いつもニコニコしてほとんど無口な祖父のことが知れる大切な一冊だ。
その中に空手の技についての記載もあり、そのページの中に祖父が書いた絵や図が載っている。手や腕の絵なのだが、ものすごく綺麗で丁寧なタッチなことが伝わる。一言で言うとすごく上手い。
年賀状の文字もとても綺麗なのだ。
字の大きさやバランスが整っていて、とても味わい深い。まるで印刷したような文字(いい意味で)
ここにきて陳腐な言葉を使ってしまうが、すごいギャップだ。いや全体的に無口でおったりしているからギャップではないのか?
どちらにしろ、一枚一枚、丁寧に、美しい文字を書きつらねている姿は今後も忘れたくない。
そして自分も一つ一つ心を込めて、丁寧な動きをする、できる人間でありたい。
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