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あの緑のスローガンと、赤の人

「努力は人を裏切らない」

嘘つけ。

そう思ったのは中学3年の3月、
私が高校受験に落ちた日だ。


がむしゃらに勉強した日々と
将来なりたい自分になるための第一歩は
あっけなく「不合格」の文字に召喚された。

どんなに人に慰められても
どんなに素敵な私立高校の制服に袖を通しても
見返したくて高校でどんなに勉強しようが

街中で嫌でも見かける緑色のネオン
あのスローガンを見るたび、私は下を向いてしまう。

努力しても努力したくとも
「どうせ裏切られる」
その思考がトラウマとしてこびりついて離れなくなった

あれから10年経とうが、あの日を思い出すと泣いてしまうくらい
私の心の大きな傷はなかなか癒えてくれなかった。



2024年5月6日

マリカにじさんじ杯、三枝明那さん視点

「努力は報われるとは限らないけど、裏切らないよね」

努力し続けた後輩に向けて言った言葉。
ずっと温めた言葉を、ここぞと言ったわけではなく
本当にサラッと言ってしまうものだから驚いた

この人はこうやって言葉について向き合ってきた人なのだと思った

確かに私の努力は報われなかった、
でも努力は裏切らなかった。

あの経験があったからこそ辿り着いた仕事があった

あの努力しかなかった勉強の日々に救われる日が何度もあった

「努力は必ず報われる」と
「努力は人を裏切らない」は別物だったと
恥ずかしながら初めて理解した

私も正しく、優しく、言葉を受け取ったり
渡したりできる人間になりたいなと思う


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