やすいホストとゆるいストーカー8

猿くんとタイガーちゃん

猿くんに初めて会ったのはたしか4月とか5月だったか。
常にテンションが高く、その時は東京に住んでいるといっていた。
大阪に遊びにきていて、ジゾーくんにもらった服をきてテンションさらにぶちあがっていた。
バイトをしながら音楽をやっていて聞かせてもらったが、ロシア語のラップがテンポが速いしコロコロしてて面白いしエネルギッシュさを感じてかっこよかったし、フリースタイルもやっぱり上手だった。youtubeでもPVをアップしていてそれもまた面白くて、変だった。私にとって「変」は褒め言葉なのだが、猿くんにとってはなんだこの初対面で失礼な女はって感じだっただろう。私は音楽のジャンルに疎いので全くわからないがサイバーパンク系とかが好きとかなんか言ってたかも。
靴紐をふくらはぎまでバレーシューズのように巻きつけるのが彼のスタイルなのか、2回ほどみたことがあってそこらへんもまた変な人だな〜と思った記憶がある。
当初から私のちょっと他の日本人と違うってことを言われて、一番覚えているのが「日本の文化大好きやな」ってことだった。私は嫌いな方だとおもってたけど、そう感じてくれる人がいるのかと驚いた。

その後大阪に引っ越したいとのことで7月ごろ403に2週間ほど滞在しながら
職探しをしていた時にちょうど私もここに居候し始めた。

当時閻魔くんの理解不能な行動に翻弄され且つ私自身の破壊的な行動(私は真面目にやっているのだが周りから見るとそう感じると思う)に寄り結構食らっていた時

客観的な視座で諭してくれ励ましてくれてたことがきっかけで仲良くなった

その時のエピソードはというと、
私がその日赤目四十八滝にまた一人で現実逃避しにいった後、メンタルのブレイクスルーがきて
「みんなでパーティしよう、タコスパーティ!」
とか言って急に思いついて、閻魔くんに電話すると
「しよう!みんなに言っとくから!」
って感じで楽しみにしてくれていた。
私は材料を買って8時頃帰るとジゾーくんと猿くんだけおり、閻魔くんはいなかった。
連絡しても一向に返事がなく、私はタコスを黙々と作り続けて2時間ほどたっただろうか。もうこの部屋の無言の空気に耐え切れなくなり
ジゾーくんに相談。(この頃ジゾーくんとも色々ありずっと話していなかったため、かなり頑張って声をかけた。ていうかもう泣いてた。状況が色々無理すぎて笑)
どよ〜んと「こんな感じのことまたされたらとか思うと信じられない」
などと嘆いていると
猿くんは「ちらっとしか聞いてないからわからないけど、閻魔くんは俺のちょっと前とすごく似てる。自分から興味持たないと動かない。天邪鬼」
と客観的に分析してくれた。
ただワイワイアゲアゲ(死語)なのかと思いきや意外と落ち着いて周りを見れる人なんだなと思った。
その時期の猿くんは職探しに必死であり、1DKのキッチンでパソコンで面接していた。猿くんはロシア人なのだがなるべく丁寧に話してたと思う。しかしまだ面接官と噛み合ってない時があり、面接官の男性が外国人相手と思って横柄な態度をとっていて聞いていてイライラした。
毎日何回も面接して頑張っていた猿くんに対して、毎日酒浸りで真夜中に帰ってきては朝まで飲み明かして人生堕ちるとこまで堕ちていた時期の私たちの対比がすごかった。何も話さないジゾーくんもあわせて、この部屋のバイブスはバラバラだったのでみんなピリピリしていた。さらに猿くん大阪最後の日に、ボルシチパーティしようと言っていたのに閻魔くんに呼び出されてそれも結局すっぽかしてしまい、猿くんに対して本当に雑な扱いをしてしまっていた。なんだかそういういじられキャラになりがちで、そういう人がいると私もついいじってしまうのが悪い癖で、
でも先日しっかり指摘された。

「いつも馬鹿にされているかんじがするからそれは悲しいからやめてほしい」

本当はそんなふうにしたいわけではないのに、なぜか反射でそのような反応をしてしまう。

でもなかなか自分の悪いところをそんなふうにダイレクトに指摘してくれる人は少ないので、自分の無意識を意識することができてありがたい。関西人のノリというか、わたしは三重県人だけどもよくお笑い番組の芸人の真似みたいになるのわかりますか。

ついに職が見つかり東京から彼女のタイガーちゃんをつれてやってきて何度か403で集まっていた。

あの日アメ村で閻魔くんのバイト終わりに三角公園の階段に座った瞬間

左側から急に猿くんが現れ、後ろにはいつもと違い疲れた表情のパジャマを着たタイガーちゃん。

アメ村から本町まで歩きながら初めてタイガーちゃんと1対1で話をした。
タイガーちゃんはふたつのバイトを掛け持ちし20時間ぶっ通しで働いた後爆睡して、猿くんの目覚ましを消してしまい、猿くんを2時間バイトに遅刻させてしまったことで落ち込んでいることを、ジェスチャーや慣れない日本語で話してくれた。

好きでやっているという写真も美しくて、才気に溢れた美しい女の子。かつ無邪気さもあり妹のような、でも優しいお姉さんのような。わたしを年下かなとおもっていたらしい。10歳私より下だけど。

そして私たちを家に誘ってくれた。二人が住んでいたのは西成の2万4千円のワンルーム

しかも閻魔くんのパパのエアビのすぐそばの岸里というところだった。なんだかご縁がある地域なのか、私も初めてくる地域にすっかり魅了され、それから何度も通うことになる。

風呂は共同で、壁は綺麗だけど4畳半くらいのほんとに小さい部屋で
タイガーちゃんはそこを「箱」と表現していた。

壁には二人がラテン系のダンスをしている写真だったり
タイガーちゃんの東京かどこかで活躍していたのか宣材写真も飾ってあったりハートウォーミングな雰囲気だけど、一時的な仮住まいという感じで二人の忙しい
生活に追われながらも夢を追いかける様子がわかるお部屋だった。

タイガーちゃんは「モノポリーやる?これいくらでしょ〜?」と
「1000円くらい?500円とか?」
と聞くと「300円!!」
と嬉しそうに答えた。
私はモノポリーをしたことがなくルールも全くわからなかったので、
英語と日本語のミックスで二人がやり方を教えてくれた。

その間、英語で3人がぺらぺら話している時、一瞬一体何の話か全くわからなくなって何か騙されているのではないかと勘ぐりしてしまったり、

猿くんが急に「金貸して」って言ってきたり。(モノポリーで金の貸し借りとかあるんだね)
なので利子を法外の率にした。笑

そんな中でネゴシエーションの感覚がついてきて
なるほど、こうするのか、みたいなのがわかってきて。笑

こうして、不労所得やお金の扱いについて学んでいくのかもしれない。笑

閻魔くんは「わからないわからない」と騒ぎながらも生き抜こうとする私を見て
「わからなくてもいいよ」とか優しくて、私が猿くんから100ドル取られたら、自分の分をくれたりした。わたしは、最終金を持った方が勝ちなのか、不動産を持った方が勝ちなのか、どこに価値があるのか、勝ちに価値はあるのか
などと話しながらとにかく噛みつかれたら噛みつき返すのを続けて閻魔くんに
「なんのロシアンマフィアとジャパニーズヤクザwww」
などと言い得て妙なことを言われていた。

アメリカとロシアの冷戦に挟まれる日本人の構図

資本主義か社会主義か民主主義?

それぞれの考え方の中にその出身国の社会が入ってきているのをひしひしと感じるのと、それぞれのサヴァイバルの方法論など、なんと表現していいかわからないが(今後さらに読み解く)違いがよく見えてとても面白い。


あと関係はないけど、私たち日本人の見た目はウズベキスタンやカザフスタン?だっけ?(曖昧だからまた今度確認しておきます。)
に似ているらしくて、

コンビニのウズベキスタン人の店員さんに私が本当に日本人かどうか、質問された。
タイガーちゃんが「ほんとだよ!」と言ってたけど、

その店員さんは私のその日履いていた靴がチャイナシューズだったため、指を差してごにょごにょ言っていた。信じていなさそうだった。
タイガーちゃん曰く、そのチャイナシューズのデザインが中東っぽいらしく、
顔の造形も似ているのでもしかしてルーツが一緒なのかなと言っていた。

たしかに、キルギス?のTikTokerで日本人かと思ったことがあったな。
もしかしてどこか見えないトンネルでつながっていて
パラレルワールドみたいになっているのかもしれない。

違う国の出身の人たちが、何を思って日本にきて、
こんな生きづらい世の中で「日本が一番平和でいい国」と
言わしめるのか本当に気になる。

日本のどういうところがいいのか気になる。


猿くんに以前見せられた海外から見た日本人妻のミームが印象的だった。
内容は、旦那が家に帰ってきて「ごはんにする?お風呂にする?それとも、う○こ?」
と聞き、その後もずっと旦那を追いかけては「ちゃんとう○こした?」
などと、旦那の排便の管理さえもしようとする要は面倒見のよい日本人妻を誇張したもの。

私もそういう面倒見が良いを通り越して、世話を焼きすぎる行動をしていることがあるため、猿くんが間接的に示唆してきた。

自分が勝手にやり始めたことなのに、どんどん負担になってきて我慢がたまって爆発する人、私以外にも多いのではないか。

さきほどネットで見た記事にはそれが日本人女性の人気ポイントだそうだけど、
パワハラセクハラモラハラ男性を大量生産してしまいそうなのでしっかりとした自己コントロールが必要と思います。

話を戻すと、猿くんタイガーちゃんの家にお邪魔したら大概このようなモノポリーやトランプのゲームが始まる。基本的にルールがわからないので英語で説明を聞きながら実際に手を動かして覚えていく。

一人の日本語がめちゃくちゃ上手でシャイな男性がきた時も
すごいスピードでゲームが進み、全くついていけなかったが楽しかった。
その人は1回しか会ってないけど、自分のパーソナリティのセッティングを
「毎日働いた後酒飲んで居酒屋行ったりパチンコにいく、疲れたおじさん」に設定しているらしく(自分で言っていたのがおもしろい)
なんとなくダメ人間のフリをしていたのですぐ打ち解けた。砕けた会話もできるのがすごかった。めちゃくちゃ頭がいいが、このマトリックスの中でやっぱり本当に疲れている感じはした。仲良くなろうとしてまた私の悪い癖のきつい言い方をしてしまったからあの後落ち込んでないか気になる。何様なんだ私は一体。

そんなこんなしていると、猿くんとタイガーちゃんはビザの関係で京都に引っ越しさなければならなくなった。
代わりにその西成の2万4千円のアパートに住むという案もあったが、
隣人からの苦情が多いことや風呂は共同であるということに尻込みしてやめた。

そろそろ自分の場所を本気で探さないとしんどくなる。

彼らと疎遠になるのかなと寂しくなっていたのも束の間、
毎日のように電話がかかってきて、京都に今夜来いなど、無理難題を突きつけてきて
やはりロシアンマフィアなのである。
そして私は典型的な従順な日本人妻セッティングのため、いかに操作されないように強気でいけるかのよい練習になる。できなかったらすぐ断る、とかかな、笑知らんけど。でも「友達でしょう?」などと脅してくるので、まあそうだね、といって行ったら行ったでめちゃくちゃもてなしてくれるし、とても楽しいから全然結果オーライなのであった。

ロシアは家にお客さんがきたらとてもよくもてなすんだそうだよ。
日本人もそうだよ〜とか言ったがその時思いついたけど、客間があって、お茶やお菓子が勝手に出てくるのが日本だよなとか思った。

先回りして客がいい気分にさせられるので、交渉ごととかで有利になりやすいのかなとか思いついた。勝手にもてなして、なんか返さなきゃいけないのかなって気分いさせるっていうか。
いや、それは私の観点がねじ曲がりすぎて、本当におもてなし、真心でやるんだろうけど、やりすぎてる人を見るとそう感じてしまう。礼儀とか、作法とか。まだ本質がわかっていない。

ロシアはほんとにアットホームな雰囲気で、みんなで楽しみたいからたくさんご飯を作ってあげたり、欲しいものなんでもあげたいという感じらしい。

今までロシアのことあまり興味を持ったことがなかったけど
どんどん興味が湧いてきた。

0年代にはやった『t.A.T.u.』って二人のロシア人の女の子たち知ってますか?

一番流行った「All The Things She Said」のロシア語バージョンをなぜか覚えていたので歌ってあげたらタイガーちゃんがツボにはいって録音してた。笑
全然違うけど面白かったらしい。
あと、ロシア人が歌っている、「百万本のバラ」という歌もyoutubeで見せてくれた。日本で加藤登紀子がカヴァーしているらしく、聞いたことあるでしょと聞かれたんだが、演歌っぽい雰囲気は分かるけど私は聞いたことがなかった。
こうやってロシアと日本の共通点を見つけては話のネタにするのも楽しい。

この人たちが日本で生き延びるためにとる行動、これからどうなっていくんだろう、そしてどうやって関わっていけるんだろう

そんな今も閻魔くんはバイト2ここなした後終電で猿くんと京都へ行っている。
仲良しのお友達ができてよかったね。
二人で音楽作ってるを見てるのも好き。
なんかお互いに褒めあってるっぽいのも、いつも憎まれ口叩いてるのに
結局愛あるのとかいいなっておもう。

ひとまず彼らとの人間関係の途中経過報告でした。

今回めちゃくちゃ書いたな〜

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