見出し画像

推し事着だって、ワークウェアです。

私は、ワークウェアという分類のお洋服が好きです。
すみません、『戻る』のボタンを押すのはもう少しだけ待ってください。

多分、このnoteを開いてくれた方は十中八九アイドルというものに触れてきた人達で、そういう話を期待した方々だと思います。
必ず、そういう話に着地しますから。もう少しだけ、服好きの世間話に付き合ってください。

改めまして。
私はワークウェアという分類のお洋服が好きです。

ワークウェアとは言葉の通り、作業着および昨今でいえば作業着をベースとしたお洋服のことを指します。
 一番分かりやすい例で言えば、ジーンズですね。

愛されるワークウェアの代表格

 ジーンズの起源は、19世紀半ばのゴールドラッシュ。私自身詳しくはないので割愛しますが、金の採掘作業者用に作られた超頑丈な洋服、それがジーンズの原型と言われています。他にも、昨今ワークウェアと呼ばれる洋服の種類は多岐に渡り、服好きの中でその立ち位置を確立したカテゴリの一つです。
 と、ここまでつらつらと説明口調の文を書き連ねましたが、要は『ワーク』に適した服なのです。この『ワーク』という言葉、適度に曖昧な表現で年代や対象によって定義付けが変わります。
 となると、私のようなアイドルヲタクにとって『ワーク』とは何か。
 無論、それは推し事です。
 ふと最近、自分の洋服の好みを振り返った時に、ここ一年で大きく変わったな、と自認することが多くなりました。それはきっと、私にとっての『ワーク』が変わりつつあり、それに引きずられるように『ワーク』に適した服も変遷した、のではと。
 
 ここ一年、私は昔よりも格段に『ライブハウス』に行く機会が増えました。すると、今まで履いていた,着ていた服を着る機会が格段に減りました。
 
 元々、私はドレス寄りの格好……革靴だったり、シャツだったり、長丈のコートなどが好きでした。革靴もその全てがドレスに寄ったものではありません。ものによっては、それこそドクターマーチンの8ホールのように、ロックミュージックや音楽と昔から深い結びつきのあるものも存在します。そういう歴史的な背景を踏まえて、そういう類のものを履くのも凄く乙なのですが、これがライブハウスを主戦場とするアイドルヲタクからすると話は全く変わります。
 
 第一に、歩きにくい。
 第二に、長時間立つのに向いてない。やはり、クッション性で言えば、断トツでスニーカーに軍配が上がります。
 第三に、ジャンプしにくい。いや、ジャンプしなきゃいい、という野暮なツッコミは無しでお願いします。
 第四に、踏まれたくない。革という特性上、少し踏まれただけでも革にクセがついてしまいます。ライブハウスのような暗い密集地帯で靴を踏むな!と言うのは、『回遊魚のキャパシティ』でキャパキャパするな、と同義で
す。


『NEO JAPONISM』で横移動するな、と同義です。


『アイドルフィロソフィー』でエブリバディ!するな、と同義です。



『Pinky Bandage』のサビでジャンプするな、と同義です。 



 つまりは、四重苦。
 いや、苦しみを増やそうと思えば、いくらでも思い浮かぶでしょう。今、なお革靴というアイテムは好きです。革靴特有のくびれの美しさだったり、フォーマルな佇まいだったり、革そのものがもつ色気、育てる快感など好きな要素をあげたらキリがありません。それでも、その魅力をひけらかす、外界の自然光というスポットライトを当てる機会はめっきり減りました。

 シャツだって、そうです。ポリエステルやナイロンのような化繊主体のものならまだしも、コットン生地のものなんて皺が入ったらやはりシャツとしての美しさは多少失われてしまいます。皺ぐらい、なんて思うでしょう。そうなのです、服好きってアイドルファンと同等くらいに面倒くさいのです。

あのブランドはあの時代が前衛的で一番良かった、だの。
あのデザイナーが就任してからブランドの価値を落とした、だの

きっと、ブランドとかデザイナーをグループ名とかプロデューサー名に代えれば、アイドルファンとしても親近感を覚えるような話だと思います。そうです、服好きとアイドルファンって意外と親和性あると思っています。実際、アイドル現場に行くと、「お!凄いの着ている人がいる!」なんてことも多々。グループや現場の雰囲気にもよりますが。すみません、凄く脱線していますね。
 
 とにかく、私の中でワークに適した服が変わりつつある、ということを実感する日々が多くなりました。下駄箱の占有率はスニーカーが多くなり、洋服も短丈のアウターや化繊のアノラックパーカーなどがラックを占めるようになりました。いずれも着用回数が多くなった、新しく買うようになったものはパターンや配色などの視覚的な部分は勿論、どう使うか、どう着るかを前提に考えて選んだものばかりです。そういう一種の機能美を追い求めつつ、推しの色や、自分のキャラクター,アイデンティティをどこに組み込むか、それを考えるのが凄く楽しいのです。
 
 それこそ、若干こじつけのような説明になってしまいますが、昔の英国人が狩猟のために使ったハンティングジャケットが凄く近しい事例かなと思います。

狩猟用のジャケットや道具

獲った獲物を一時的に保管するゲームポケット(※ハンティングジャケットの背部に週刊誌が入るほどのサイドポケットがある)然り、寝転んで銃を構えることが多い狩猟に特化したエルボーパッチ(※最も負荷がかかる肘部分が破れないように二重のあて布をした部分のこと)然り。持ち主の個性というか、カスタマイズ部分として、狩猟クラブのワッペンや刺繍が施されていたり。

ゲームポケット。古いものだと、たまに動物の血が糊化したものがポケット内に。
ワッペンは所属や大会を指す。推し文化の始祖と言われてるとか言われてないとか。


勿論、こちら側は作り手ではないし、昔のワークウェアをバックグラウンド込みで想いを馳せる楽しみ方とは少し趣が異なります。でも、今の自分のワークに沿ったアイテムを選ぶ、リアルクローズの延長線上にあるワークウェア、という枠組みでこれからも楽しんでいければいいな、なんて思う次第です。
 
 ちなみに、先日、夏のフェスに向けた準備として、ショートパンツを購入しました。色んなもの(チェキ券とか、ワンドリンクの小銭とか、チェキ券とか)が入るようにポケットの多いものを選んだのですが、一部細長いものが入るポケットが……ペンライトがジャストフィットなのですよね。もしかしたら、数十年後、ヲタクのワークウェアとして古着で発掘され、有名ブランドにサンプリングされる日が来るかもしれません。いや、来ないでくれ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?