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割れなかった氷

8月の目標

 8月の夏休みを有意義にしようと毎年思って失敗します。今年こそはと発起して、ちょっと始めてみました。目標は10冊の本。勉学にかんすることだから、人によっては味気ないと思うし、実際そんな感じのことを飲み会で言われた記憶があります。ちょっと刺さりはしたけど、幸いにして私はあのときを全部忘れました。不幸にして目標を遂行することを忘れていました。なんだかうまくいかないものですね。
 レポートの締切からはや数週、9月はどの学生も成績開示があるんじゃないでしょうか。私は耐えました。やればできるじゃん。8月冒頭の忙殺はなかなか有意義だったと思われます。問題はそれからで、レポートを書いていた時間を何に充てるか、より正確に言えば、その時間を何の勉強にどう配分するか。振り返ってみると、したことは言語に専門科目と非専門の分野。
 専門科目についてはレポート作成のときにお腹いっぱいになったせいであまり乗り気になれなかった。そもそもお題と興味がかみ合ってなかったし。こんな日記を読むもの好きなあなたにむけて、現時点での私の関心はフッサールの現象学とそれに連なる諸哲学者(ハイデガーやメルロ・ポンティ)かなと感じています。『現象学入門』とか『フッサールの現象学』とかおすすめです。
 言語は勉強しやすくて、YouTubeに学習用の動画が山ほど上げられているから、起床と掃除のときに聞いていました。文系はどこも第二外国語を履修させられるのですが、私はそれは独語にしました。(もともとドイツの哲学者に関心があったから丁度よかった。)英語はもちろんなので、朝は英語と独語の動画をときどき見てました。他にも今期以外も含めると仏語とか中国語とかサンスクリットとか修めました。全部おもしろかったからひょっとすると言語的な頭なのかもしれないですね。
 結局本を10冊という目標は達成し損ねたけど、10冊は借りました。15冊も買いました。5冊くらい読みました。レポート書いたときに一章だけ読んだ本とか含めたらもう少しありますけど、見得を張らずに。かなりおもしろかった本は『芭蕉のあそび』(岩波新書)です。興味あればぜひ。

言葉の力

 今までいろんな本を読んで、小説から論文まですべての文字には力があるのだと悟りました。『斜陽』を読んで涙を流すのも、芭蕉の俳諧におかしさを見つけるのも、ブッダの説法に納得するのも、文字に力があるからなんだなおそらく。この力とかを哲学的に考え始めるとよくないから、まあ大雑把に理解しましょう。哲学の分野ではよく〈力〉とかいって〈 〉で囲うんですが変換めんどくさくないですか。さすがに〈私〉だけは辞書登録しました。
 とにかく力を持つ文字というものを、私たちがくちを通して表現すると、言葉になるのでしょう。だから言葉には力がある。どうやら私の言葉にも力があるらしくて、時に傷つけたり癒したり、油断させたり興奮させたりできる。この当たり前のことに私は最近まで気づきませんでした。この発想が生まれたのは、『あなたの小説にはたくらみがない』(新潮新書)という本を読んだからなんじゃないかなとおもってます。

漢詩

 本当は前の記事でこの辺りのことを書きたかったのに、七言絶句にやられました。急に思いついたのだからしかたない。とはいえ一通りの規則を遵守したうえでつくっています。そのあたり知りたい人は『漢詩を作る』(あじあブックス)とか読むといいんでないでしょうか。七言絶句は漢詩の中でも比較的作りやすく、漢字辞典とにらめっこしながら漢字の趣にひたるのもわるくないですよ。

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