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ハンコ自動化を阻む壁にぶち当たり。それでもできることは進めよう!IT初心者の事務員が取り組むルーチンワーク自動化のための計画書

こんにちは、むらかにです。
私は食品検査会社で働く事務員で、デジタル技術を活用した業務改善活動に取り組んでいます(IT初心者のため、プログラムが書けない人でも扱えるローコード・ノーコードツールを主に使用しています)。

現在自動化したいと思っているターゲットは、「報告書への社印の押印作業」。前回の記事で職場の皆さんにインタビューを行い、私の所属する部全体でも自動化への要望が大きいことがわかりました。そして、今回、これを実現するためにさらに社内のキーパーソンに話を聞きに行き(ステークホルダーインタビュー)、実行までの計画を立てましたのでご紹介いたします!

社印の押印作業についての課題(5W1H)


弊社の社印の押印作業についての課題を5W1Hでまとめた表は下記のとおりです。

面倒な社印の押印作業について、無料のPower Automate Desktop(以下、PADとします)を使って自動化システムを作ってやっつけよう!という作戦です(弊社の古い社内システムにはAPIはついていないので、PADのRPA機能でなんとか連携してみようとの目論見です)。

ステークホルダーインタビュー:情報システム部に相談して発覚した残念な事実

まず、自動ハンコ押しシステムを作るために誰に話を持っていけば良いのかを上司に尋ねたところ、情報システム部の部長とのこと。メールでアポ取りした結果、下記の内容の返信が。

「電子社印について、いまのツールは近々廃止予定です。他のWebワークフローに変更予定です。なので作成いただいても、今年中に使えなくなると思います。詳細は〇〇さん(情報システム部のリーダー)に聞いてください。」

最初から雲行きが怪しくなってきましたが、部長さんに紹介してもらった情報システム部のリーダーさんにアポを取り、詳細が聞けました

曰く、

  • 現在、社内で部分的に導入されている電子押印ツール(各自のPCへインストールして使うタイプ)から別のWebツール(ブラウザでファイルをアップロードして使うタイプ)へ今年の9月に切り替え予定(もし、私が今、押印の自動化システムを作成しても1~2ヶ月の寿命になる

  • 新しいWebツールに切り替えになっても、報告書のPDF化などの一部の作業は現在と同じく存在する

  • そもそも押印作業の自動化は、社内ルールである「押印管理規程」に抵触するので、技術として自動化できるかを試すのはかまわないが、"実際の業務では使えない"

めちゃめちゃ重要なことが発覚!まぁ1~2ヶ月でも使えればいいか~と思っていましたが、そもそも押印の自動化はダメってこと?!いや、なんか、嫌な予感はしていたんですよね。弊社、押印管理が厳しいから。頑張って作った後に発覚するよりは全然マシだったので、何かしらの作成前には関係者へのヒアリングが重要であることを身をもって学びました。先走らなくて良かった。しかし、自動化を阻むのは自分の技術力が低いとかではなく、社内のこういうルールなんだなぁ…

また、教えてもらった新しい押印WebツールのFAQを見たところ、「複数ファイルの同じ位置にまとめて押印する」という機能は無いらしく、1枚1枚手作業での押印位置調整が発生することがわかったため、押印管理規程を改定して自動化OKにする方法はないのか食い下がって聞いたところ、

新しいWebツール自体も一時的なもので、最終的には社内システムから押印済みの報告書が出力できるように改修したいと思っている(1~2年くらい先の話)」

という回答を得ました。このため、押印については社内システムの改修を待つことになりました。

また、情報システム部のリーダーさんからは社内のRPAツールの使用状況の話も聞け、参考になりました。

  • 社内でのRPAツールの使用状況としては、メール配信や、社内システムへの顧客情報の登録、WEBサイトを巡回しての情報収集などに使っている部署がある。しかし、これは業者にお金を払って自動化フローを作ってもらっており、自作している部署は無い(使用ツールはPADじゃなくて、UiPathらしい)。

  • RPAツールでは複雑なフローは止まりやすいので、複雑なフローを作らず、シンプルで単純なものを作ったほうがいいと思う。OSのアップデート等で今まで使えていたものが使えなくなることがある。

どうやら、弊社ではPADをばりばり使っている人はいなさそうです。もし、自分たちでRPAツールのフローが作れるようになれば、プロが作ったものよりは動作が不安定でしょうが、アップデート等による急な動作停止でもなんとかできる小回りのきく運用はできそうです

報告書発行に関わる作業の押印以外の部分を自動化しよう!


インタビューの結果、今回のメインディッシュである報告書への押印作業の自動化についてNGが出てしまい、途方に暮れました。しかし、報告書の押印作業のみにクローズアップするのではなく、下記のような一連の報告書の発行手順を考えた場合、自動化不可である押印作業の前後にも手作業のルーチンワークが存在します。そこで、押印部分の自動化は諦めますが、その前後(下記の①②③、余力があれば④も追加)についてそれぞれ自動化フローを作ることにしました


①編集した報告書を社内システムへアップロードして、承認依頼のボタンを押す
②承認済みの報告書を社内システムからダウンロードして、報告書のエクセルファイルをPDFファイルに変換し、適切な名前をつけて保存する
③押印管理表のファイルを開き、日付と報告書番号を入力して保存して閉じる
④押印済みの報告書ファイルを添付したメールの下書きを作成する

実装までの計画(制作スケジュール)


実装はこの3週間で行いたいと思っています。

6/22~6/27:開発着手
・PADで社内システムが操作できるのかを確認
・①②③の自動化フローを作成する
・次週の検証に向けてPCにPADをインストールしてもらえるよう、職場の人に話をしておく

6/28~7/5:プロトタイプ検証
・使い勝手がどうか職場の人にインタビューを行い、フィードバックを集める
・前週の作成が遅れていた場合は引き続き自動化フロー①②③を作成
(余力があれば自動化フロー④を作成する)

7/6~7/12:改良着手
・前週のフィードバックを元に改良する

まとめ


面倒な押印作業を自動化したい!という気持ちでこれまで計画を立ててきたので、今回、社内ルールの壁に阻まれ押印作業部分の自動化を諦めることになり、かなり悔しいところではあります。しかし、逆に押印作業以外の部分は自動化できる!と前向きに考え、できるところからコツコツと進めていきたいと思います。また、作業を細かく分解して部品としての自動化フローをたくさん作ることで、他の作業の自動化にも応用できるのではないかと期待しています。今回、RPAツールは外部環境の変化によって止まりやすいという話も聞けたので、実際に運用していく中で、自作のRPAでなんとかできる部分と社内システムの改修を依頼する部分とを見極めていけると良いかなと思っています。

以上、御覧いただきまして誠にありがとうございました。

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