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叱ってくれる店員さん

 10年ほど前ですが、私は店員さんに叱られてしまいました。夏物のジーンズを買いに、某アウトレットモールの紳士服店を訪れました。そこには、初老の店員さんがいて、いでたちや立ち居振る舞いがとてもおしゃれなので、前々から気になっていました。その時は、たまたまその方が接客してくださいました。素材やカラーを選び、気に入った商品があったので、試着したところ、ウエスト部分がややきつめの1本と、ゆったり目の1本が残りました。「脱ぎ着が楽なので、ゆったり目をください」とお願いしたところ、叱られました。「お客さん。おしゃれにガマンは大切ですよ。楽な洋服ばかり着ていると体形も崩れてきます。多少きつくても、我慢して着てこそおしゃれです」と、きっぱり言われてしまいました。
 お客にお世辞を言ったり、お客の言いなりになっている販売員が多い中、初めて叱られました。でも、「確かにおしゃれには覚悟が必要だな」と納得して、きつめの1本を購入、今でもそのジーンズは愛着しています。
 このことがあってい以来、洋服を買うときには、必ずそのお店にうかがい、叱ってくれた店員さんに相談し、お気に入りの1着に出会うことができていました。残念ながら、その後お店はアウトレットモールから退店されてしまいましたが、とても貴重な体験でした。
 「お客様は神様」ではありません。販売のプロとして、自信をもって導いてくれる、骨のある販売員さん、もっと登場してほしいものです。

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