私はもう大丈夫、って思ってたんだけどな
休学まで
2023年6月 大学3年生
抑うつがひどく、大学の授業を休みがちになった。
そのうちベッドから動けなくなって、昼夜もなく真っ暗な部屋で死ぬことばかり考えた。
死のうとした。あとは足場にしたローテーブルから足を離すだけだった。
深夜だった。
「死んだら悲しい?」
”手のかからない子” ”真面目でいい子” の、精一杯の不器用なSOS。
母は、片道4時間の道のりを迎えに来てくれた。
年度末までの休学を決めて実家へ帰り、あとは2ヶ月間ひたすら寝た。
休学中
休学中は、思いもよらない出会いがあった。
精神科で処方された薬のおかげか、はたまた寝ていることにも飽きたのか、9月ごろ急に元気が出てきて、えいや、と応募したアルバイトは小さなカフェ。出会う人出会う人あたたかい方ばかりで、そう慌ただしいお店でもなかったため、毎日が穏やかで楽しかった。
冬には2号店のオープニングスタッフとして中心的に動き、地元大学の子たちや新しく入ったパートさんに慕われ頼られるのが嬉しくて、周りに心配されるほど働いた。
23時を過ぎて帰った日、父には少し怒られた。
「体調を整えるために学校を休んでいることわかっているか?」と。
至極真っ当だし、自分のことを想ってくれているのは十分理解している反面、
”毎日ベッドではなく外で、1人ではなく人と関わって、それでいてハイパー元気に過ごせている夢のような日々”に水を差されたようにも感じた。
「私はもう大丈夫」
そう信じたかったのだと思う。
休学明けから
「大丈夫」になってからは、その「大丈夫」を維持するために、とにかく淡々と日々を過ごすことが目下わたしのすべきこととなった。
大学に戻ってからはアルバイトをせず、大学の授業にきっちり出て、たまにサークルに顔を出し、生活を立て直した春学期。
期末試験・レポートを早々に終わらせるや否や引越しレベルの荷物を持って実家に長期帰省し、犬と戯れながらひたすら資格の勉強と例のカフェバイトに明け暮れた夏休み。
余計なことはしない。無理もしない。
ただ目の前のことを淡々とやっていれば大崩れすることはないのだ。
23時には布団に入り、6時台に起きる。3食しっかり食べる。素晴らしい生活!
そして先週。
大学で過呼吸を起こした。
誰にも知られたくなくて、トイレの個室で無理やり耐えた。
不安になった理由はわかっている。でも私にとって問題はそこじゃなかった。
「あれ、私、大丈夫だと思ってたんだけどな。」
ショックで、悔しくて、怖くて、泣いた。
ちょっと不安が強くなっただけ。たった1回、過呼吸になっただけ。なのに。
休学を通して引っ張り上げた私の心を、希死念慮がまた引きずり下ろす。
心の落ち込みに比例して部屋が荒れる、時間をかけて整えた生活が荒れる。
大学のカウンセリングで、精神科の受診や服薬を勧められた。
親からの連絡を放置してしまい、たまに心配の電話がかかってくるようになった。
あぁ、また逆戻り。
私はいつまで”こう”なの?
今は少し落ち着いているけど、どうせまた来るんだろ、とやさぐれてしまう。
私はもう大丈夫、って思ってたんだけどな。