怪談30「恨んでいる女の子」
少し短い話ですが、これは怪談1や怪談2の大きな猫の目の話にて出てくる先輩Sとレストランに行った時の話。
(気が向いたら怪談1と2も読んでみてください)。
ある日、Sが突然「中古ゲーム探しにいこうぜ!」と言い出しました。
要は、暇だからゲーム買いたいけど、高いのは嫌!というわけです。
その当時はSとよく遊んでいたので「いいですよ~」と車を出す。
いくつかゲーム屋をまわり、当時、開発が進みだした地域のほうに行きました。
するとSが「おお、ここか。ここ夜、上を見るとよく見えるんだよね~」と言う。
私が「星空ですか?」と答えると、Sは「何?ロマンチスト?バカめが!幽霊だよ幽霊」と言いました。
いや、いきなり幽霊がというほうがバカな気がするんですけどと言い返しながら聞いてると、S曰く「この付近さ、昔からなんだけど、上のほうにかなりの数、幽霊が浮いてるんよね。気持ちわりー、どっかから集まってきてるんだろうな」と言っていました。
まあ、噂ではそのあたり一帯は「首切り場だった」という話がはありますが・・・。
はいはいなんて言いながらゲーム屋に行き、そこで欲しいゲームの中古を見つけて喜ぶS。
ゲーム屋から出たら「なあ、飯食い行こうぜ」と言うので、近くのレストランにはいりました。
そしてレストランに入り、案内されたテーブルに座ります。
が、ここから私に異変が起こりました。
めちゃくちゃ寒いんです。
席に座ると同時ぐらいに、とても寒くなりました。
夏だったので、いくらエアコンが入っているといっても、これは寒すぎじゃ?というくらい寒い。
そのうち、手は冷たくなり痛い、足先も妙に冷える。
わけがわからず、夏にも関わらずホットコーヒーを取りに行く。
それを見ていたSが「なんだよ、暑いのにホットかよ。ジジイかお前は!」と笑いながら言っていましたが、そんなのどうでもよいぐらい寒い。
なんとか注文し、ごはんを食べるも、その間もどんどん寒くなり、最後はガタガタと震えるぐらい寒くなりました。
でもSはいつもと変わらない状態で、ゲームの話などをする。
さすがに私はたまらずSに「なんかここ寒くないですか?座ってからずっと寒いんですよ。飲み物取りに行く間はそこまでないのに」と言うと、急にSが真顔になり「あ~ね」と言う。
そしてSが「後ろ」とアゴをしゃくって私の後ろを見ろと合図しました。
私は言われるがまま、Sが言う後ろを見ると、ちょうど後ろの座席に座っている20代ぐらいの女性と目が合いました。
でもこの女性の目が・・・なんというかものすごい、いつも人を睨んでるんじゃないか?というような感じの目つきだったんですね。
小柄で色白ですが、ギャル風メイクしてて、見た目は悪くないのですが、目つきがとにかく悪い・・・なんというか「私がなにかしましたか?」と言いたくなるような目つき。
私がSのほうを見ると、Sが「見た?あれが原因」って言いました。
私が?となっていると「あの女がさっきからずっと友達と話ししながらお前の背中ばかり見てるから。だから」と言う。
・・・・意味がわかりませんよね?
「あの女の子、霊ってわけじゃないですよね?」と聞くと「バカか?霊と実物ぐらい見分けつけ」と言われる。
「じゃあなんなんですか」とSに説明を求めると、Sは真顔でこう言いました」
「あの女、なんでもかんでも人のせいなんよ。失敗も失恋も全部人のせい。そして「なんで私ばっかりこんな目に」って常に常に強く思ってる奴なんよ。で、今、ああやって友達と話しているけど、その話しながらもそんな恨みごとばかり考えてぼーっとお前の背中見ながら考えてるんよ。だからその恨みのエネルギーみたいなのが、なんも関係ないお前に来てるわけ」と言う。
そして真顔からいつものふざけた笑い顔になり「お前、相性いいんじゃね?ナンパしてこいよ。俺、もう一人の女のほうでいいし~♪」と言い出す。
「マジで一度○んでください。そんなことするわけないでしょ」と答えると「まあ、その席から離れてしまえばもとに戻るよ」とSは言いました。
あまりの寒さと悪寒に私はたまらず会計を済ませ、店から出ました。
すると本当にあれだけの悪寒と寒さが一気に無くなりました。
「な?治ったろ?じゃあこれからゲーセンいこーぜ~♪」とのんきなS。
私はそれを見ながら、こいつ一度殴ってやろうか?と思ったのです。
しかし、本当にSの言うとおりだったとして、そこまで人に影響を与えるぐらい歪んでしまった人って、その後の人生、どう思って生きていくんでしょうね?
と考える今日この頃です。
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