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怪談28「こんにちわ」

 これは、数年前のお話です。
 その頃、私の仕事場は新たな店舗を作りました。
 そこは、和風料理のお店だったものを、そのまま利用して商品販売を行うお店です。

 私はその新店舗の管理に入りました。
 外見は古民家調、中身は和風のデザインです。
 入ったころから、ちょっとした影などを霊感0の社長などが目撃する店舗だったのですが、新店舗1年目のお盆のころから、あることが起き始めました。
 特に怖いわけではないのですが、夕方15:00になると女性の声で「こんにちは」と声が聞こえます。
 お客様と思って「いらっしゃいませ~」と言って、入口に向かうと誰もいない・・・。

 そんなことが毎日起こるようになりました。
 聞こえるのが私だけなら問題ありませんが、たまに来る社長や他の店員にもそれが聞こえ、入口に向かうと誰もいない。

 そういったことが毎日起こったんですね。
 とはいえ、本当にそれだけなので、特に怖いという事もないわけですが、これが本当に毎日続くわけです。

 ただそれだけだったんですが、その数か月後、ある日、私は田舎にある実家に帰ったんです。
 なお、私の実家の隣には、当時、姉が住んでいました。

 実家に顔出し、お土産などを渡したあと、隣の姉と甥っ子の顔見に行きました。
 そしてそこで談笑していると、急に姉が「!は~い!」と言って玄関に向かう。

 そしてしばらくして戻ってきて「誰か来たと思ったんだけどなぁ」と言う。

 ふと時間を見ると15:00付近。
 私は「あ・・・憑いてきたのか・・・」と思いましたが、特に姉には告げずに過ごし、その日の夜に自宅に帰りました。

 で・・・見事、店舗ではそれ以来、「こんにちは」という声は聞こえなくなりました。

 あ~やっぱりついてきたんだなぁ・・・と思ってましたが、しばらく経った頃に姉が電話で言ってました。

 「なんかさぁ、夕方に「こんにちは」って女の人の声が聞こえるようになったんよ。あんた心当たりないよね?」と・・・・。

 なので「さあ?なにそれ?」とごまかしておきました(笑)。

 結局、その後姉はとある事情でそこから引っ越し(その件が問題ではない)したので、その後どうなったかわかりません。

 ああ、後になってなぜ「こんにちは」と女性が来るようになったか?という事を仕事場で話していたわけですが、可能性としては和風料理のお店時代に「法事の場所としても使っていた」そうです。

 実際、店舗を軽く改装する際に法事などでお坊さんが座る座布団なんかがそのまま放置されてました。

 まあ、それが絶対に「こんにちは」と女性が訪れる理由にはなりませんが・・・・。

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