不適合者

白菫

私にはもうわからなくなった
誰の気持ちも
自分自身の気持ちさえも
それでいて生きていてどうすることもできなくて
私には何が正しくて何が間違っているのかもわからない
ただ社会が善と悪、正と誤でありもしない正義を掲げているからみんなそれにならっちゃって、世論として、一般的だとして、普通だとして物事を決定づける。それが私には理解できなくてどうしてと問うけれど、それは私一人の言葉で、他のものが変わることなんてなくて、どうしても私のやり方は間違っているという方向になる。私が間違っているのなら、あなたはどうやって正解に辿り着けて、どうやって正解がそれだと言い切っているのか私を納得させてみせてほしい。間違っている私にもわかるように、普通でない私にも理解できるように。そんなこともできないあなたは私に間違っていると言えるの？私にはそれすらもわからない。
こんな私は社会のハズレもの
こんな私は社会のハグれもの
こんな私は社会には不適合ね
でも
私にどうしろというのでしょう
あなたは私にどうしろというのでしょう

これまでの人生を否定して自分じゃないとして楽になろうとする私自身も嫌いだけれど、これまでの人生を否定して自分じゃないとして楽になろうとさせた周りの人も嫌い。
私だって
これまでの人生を肯定して自分だとして楽になろうとしたいの
私だって
私を私と認めていたいの
誰も助けてくれない世界で私はどれほどの人を救えるのかな
貧困や環境の問題なんて自分の世界から遠すぎて想像もできないけれど、この平凡で平和な私の世界でも何かに苦しんで何かに怯えている人がいる。
そんな人の支えになりたい。
私が苦しんでいる時に
私が怯えている時に
誰も救ってはくれなかったから
誰も傍にはいてくれなかったから
だから
私を呼んで
私があなたのそばにいられるように
私があなたに寄り添えるように

誰も私なんか頼りにしていないことはわかっている。
誰も私なんか助けてくれないことはわかっている。
それでも
私は待ち続ける
それでも
私は呼び続ける

誰かに私の存在価値を知ってほしいから
誰かに私の存在意義を説いてほしいから

私は今何がしたくて何を求めているのかわからない。
私が求めているものは
ただ私に優しくて
ただ私を愛してくれて
ただ私を認めてくれて
ただ私に耳を傾けてくれて
ただ私を包み込んでくれて
そんな人
妥協なんてしたくない
だけど
妥協しないと私を愛してくれる人に出会えない
私が本当に大切にしたいことは何なのかわからなくなるから
もう誰も私のことを騙さないで、
もう私のことを愛さないで、
もう私のことを惑わさないで、
もう私のことを受け入れないで、
もう私を騙して、
もう私を愛して、
もう私を惑わして、
もう私を受け入れて、