見出し画像

脳卒中リスクが増す殿様枕症候群とは?


あなたは、「殿様(とのさま)枕(まくら)症候群(しょうこうぐん)」という言葉をご存じでしょうか。

「殿様枕症候群」とは高い枕を使用していると、脳卒中リスクが増すということが国立循環器病研究センターによって提唱されております。
 
今回は、脳卒中リスクが増すといわれている「殿様枕症候群」についてご紹介します。
 


殿様枕とは


箱枕


「殿様枕」とは時代劇に出てくる昔の侍が寝ているときに使っている、あの高い枕のことです。
  
江戸時代の初期は、現代に近い「括り枕(くくりまくら)」と呼ばれる長方形の袋の中に綿、ちゃがら、そば殻(がら)などを入れてつくる円筒形の枕が使用されていました。

江戸時代の中期になると男女とも髷(まげ)に凝りはじめ、低い枕では髪型を崩してしまうため、男女とも高い枕を必要とするようになりました。
 
その需要のために「箱(はこ)枕(まくら)」と呼ばれる高い枕が産まれました。
 
「箱枕」は、箱型の木枕の上に括り枕を乗せたものです。
 
そのままでは括り枕がずれ落ちますので、ひもで木枕と括り枕を結び付けてました。
 
「箱枕」は江戸時代に寝やすさよりもヘアスタイルを優先にした産物と言えます。

殿様枕症候群とは


血管


国立循環器病研究センターの研究チームは「高い枕を使っていることが脳卒中の一因である『特発性椎骨動脈解離』の発症リスクになっている」
と発表してその論文が国際学術誌に掲載されました。

チームは高い枕が首への負担がリスクと考えられることから「殿様枕症候群」と名付けて注意を呼び掛けています。

特発性(とくはつせい)椎(つい)骨(こつ)動脈(どうみゃく)解離(かいり)とは



 特発性椎骨動脈解離とは、首の後ろの椎骨動脈が裂けてしまう病気のうち原因不明のタイプを指します。
 
15~45歳の若い世代では脳卒中の8~10%の原因とされています。
 
チームは、この病気の患者で極端に高い枕を使っている場合が際立っていることに着目して、同センターで2018年~2023年に

この病気と診断された53人(26~79歳)
と、同時期に同センターに

入院した年齢と性別が同じ比較対照の53人
について、枕の高さや硬さを調査しました。

調査にあたって、枕の高さの定義として頭をのせないときで
・12センチ以上を「高い」
・15センチ以上を「極端に高い」
としました。
 その結果、特発性椎骨動脈解離患者と対照患者を比較すると、
 
・高い枕の使用率は「34%(18人)対15%(8人)」で約2倍
・極端に高い枕では「17%(9人)対2%(1人)」で約9倍
 
の差があることが分かりました。
 
傾向として、発症割合は枕が高いほど高く、更に枕が硬いほど発症との関連性が強くなる傾向もあることが分かりました。
 
患者さんの中にはスマホを見るために枕を複数重ねたり、巻いた布団で代用して極端に高い枕として使用したケースもあったということです。 
 
特に、「特発性椎骨動脈解離」の患者さんの9割が、高さが15cm以上の枕を使用していた方だったそうです。
 
枕が高いと首の屈曲が大きくなります。

また、睡眠中の寝返りで首にかかる負担が増して血管が傷つく可能性があると指摘しています。

         

参照:2024年1月30日
         国立研究開発法人国立循環器病研究センター広報文


高枕

枕の固さによる発症リスク


頸動脈


チームは、首の屈曲の有無が特発性椎骨動脈解離のリスク要因であることから、枕の高さだけでなく硬さについても調べた結果明らかになったことは、

・硬い枕の場合は発症との関連が強く

・柔らかい枕ではリスクが緩和される
 
ことでした。
 
脳卒中のリスクを減らすためには、「首」に体圧が集中するような形状の枕、「高すぎる枕」、「固すぎる枕」を避けることです。
 

これらのことから、枕を選ぶ場合は、
 
・低めの枕

・柔らかめの枕

・「首」に負担がかからない形状の枕
 
を選んで使用することが、脳卒中のリスクを軽減できると言えます。
 
 
理想の枕の高さについて、国立循環器病研究センターでは、

「真っすぐ立っているポジションに近いような形で寝られるような枕を選ぶのが良いのでは」

と言っています。


https://amzn.to/48rwPMn




この記事が参加している募集

スキしてみて

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!