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こうべの街~山まで市内の現場を巡る見学会の開催!

令和6年2月5日に、プラットフォーム参画者を対象に、神戸市内産材の活用事例、ストックヤードを巡る、市内見学会を開催しました。その様子をご紹介します。約30名の方にご参加いただきました。


須磨海浜公園(パークコンシェジュル棟ほか)

材の活用経緯~概要

水族館を再整備するにあたり、海浜公園の松林をどうするのかという議論が計画当初からあり、立木段階から、製材所((株)三栄)さんにご相談しながら、活用は進められました。
松林の3割程度が影響を受けることとなり、旧須磨水族館からの西側のエリアで、222本のクロマツが伐採されました(527本は保全されています)。そのうち、材の活用に向けて、製材されたのは、27本とのことです。
伐採したマツ約100本の年輪を調査したところ、1951年の公園化後に植栽されたマツが大半であることが分かりました。戦前から残るマツは6%程度であり、西側のエリアに比較的古い樹木が多く、西風の影響があり、傾いた樹木が多かったとのことです。そのうち形状の良いマツの一部が製材されました。(西側エリアに旧住友別邸があり、戦災で焼失、この区域を中心に海浜公園が整備されました)。

コンシェルジュ棟内の歴史ギャラリーに、壁面および床にマツ材を使用されています。また、チラシ置き場や部屋のサインプレートなどにも使用されています。また、マツは、高級材ですが、樹脂が出ることから日常の管理が難しいと聞いていたこともあり、試行的に活用することとされたそうです。

オープン後、来訪者からの評判も良いということが、施設管理者の方から説明いただきました。製材したマツのうち、一部は、まだ、しあわせの村のストックされています。

施設管理者からの説明の様子
歴史ギャラリー
伐採されたマツが利用された床材
伐採された材を活用
伐採された材を活用

製材:(株)三栄さんからの説明

(株)三栄さんからの説明

また、実際に立木段階から参画され、製材された(株)三栄さんからも当日の様子を解説いただきました。

  • 傾いている樹木が多く、直幹材が少なかった。斜めになっていても、曲がりが少なくまっすぐな材が3mほどとれるものを選び伐採および製材をした。マツ材なので樹脂が大丈夫かと心配されたが、自社で長期間、天然乾燥をしたのち、奈良の加工業者で人工乾燥を実施。

  • 担当をしたのは、伐採された樹木をしあわせの村のストックヤードに搬入、持ち帰り製材、ストックヤードに再搬入まで。その後は、施工業者へ引き渡しを行った。

  • 神戸市内で出てくる丸太の品質としては、非常に上級な部類で、あらかじめ選木をしたものではあるが、径が平均で30~40cm、大きいもので90cmあり、3mがほぼ直幹でとれており節が少ないもの。さらに製材の段階でいいとこ取りをしているので無節無欠点でできている。

  • 節があるような側材で桟材をとった。白太はほとんど取り除いている。板目・柾目込みで製材をしている。

  • 厚み20mmで製材して、仕上げ15mm。

松林の見学

戦前からのクロマツが多い西側のエリアでは、マツクイムシ対策の樹幹注入を実施した。注入が行われた個体も製材したが、材質に影響は確認されなかったことが紹介されました。

園内の松林の見学

ストックヤード(しあわせの村)

続いて、山に遡っていきました。
神戸市では、森林から搬出された材を活用しやすくする仕組みとして、ストックヤードを運営しています。現在の状況について、事務局より解説を行いました。

ストックヤードでの説明の様子

現在、民間からの材を受け入れているのではなく、神戸市の事業やそれに関連する事業で伐採された木材がストックされています。具体的には、六甲山材や、試行的に街路樹の更新により伐採された木材を保管しています。
また、砂防事業等で伐採された材も、今後の活用を模索できないか、試験的に、持ち込まれた材などもあります。

最終的には、薪やチップ化という手段もありますが、別の付加価値を与えたいと想い、試行を行っています。プラットフォームの中で情報を提供することで活用につなげられないかと試行していることが説明されました。

海浜公園で伐採され、一次製材されストックされているクロマツ
一次製材してストックされている材
街路樹の伐採材

森林植物園(伐採した材の活用)

森林展示館での材利用

最後の、見学先は、森林植物園です。2020年度から、森林植物園展示館の改修が行われています(2020年度から4年間、2020年度は製材まで)。
展示館1階の床材に、園内のコウヨウザンやコナラが活用されています。コナラはカシノナガキクイムシに穿孔された材も使用されました。壁材は園内の多様な樹種が使用されており、樹種毎の違いを見ることができます。
1年目は製材まで。2年目にフローリング、3年目に壁板が施工されました。コウヨウザンは展示されていた樹木、コナラは園内に生えていたものです。コウヨウザンは径があり直材で長さも十分にあったので、1,800mmのソリッドで使用されています。コナラは長い材をとることは難しいので、短い材をフィンガージョイントで繋げたものが使用されています。

森林展示館1階のフローリング (左側がコウヨウザン、右下が園内のコナラ材、右上は一般に販売しているミズナラ材)
森林展示館1階の壁(右の本棚は一般の材)。
壁には様々な樹種が活用され、樹種名も掲示されています。
森林展示館1階の壁材(樹種の表示)
森林展示館1階の壁材(樹種の表示と虫孔跡)

午後は、園内の伐採現場やナラ枯れ被害木伐採跡も見学しました。

まだまだ、市内には、神戸市産材が活用されている現場が、現在、進行系で増えています。
今後も、プラットフォームでは、市内の活用現場などの見学会を実施していきたいと考えています。

コウヨウザン伐採現場

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