見出し画像

N° 40 "伊藤のヨタばなし"ser. 「飲食に関する脳と五感 "味覚" 第一階層」

☆飲食の際の情報量

 飲食の際に"味覚" から入る情報量は
 0〜1% 。
 五感の中では、最も少ない数値。


☆味覚について

・食事をする上で一番に影響がありそうな
 味覚がなんと、たったの1% しか影響しない。

・その1%が、とても重要。

・現在では、五味と言って
 「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味」
 に、大別される。

・近年では、第6の味覚 「カルシウム味」の
 確立を目指しているという研究もある。

・季節により、味覚が変化する。
(体調によっても味が変わるというのもあるが
 それは、五感を総合的に加味している。)


☆1%の"味覚"に
 どう効果的なアプローチをするのか?

・4つの効果を利用する。

相乗効果、対比効果、抑制効果、変調効果

相乗効果 (例:旨味+旨味)
:同じ系統のものを2つ以上のものを
 合わせると、より一層味が強調される。

対比効果 (例:甘味 + 塩味)
:2種類以上の違う味を合わせた時に
 片方、もしくは両方の味が強調される。

抑制効果 (例:苦味 + 甘味・酸味+ 甘味)
:2種類以上の違う味を合わせた時に
 片方、もしくは両方の味が弱められる。


変調効果(例:甘味→酸味=より酸っぱい
      塩味→水=甘い、シナリン効果など)
:2種類以上の違う味を続けて食べると
 後に食べ方の味が変わる。


☆味覚の"第一階層"として。
・やはり純粋に、まずは舌へアプローチする。

・代表的な"五味" と "食べ手のバックグラウンド"
  お客様がどの様な食文化で育ち
 五味のどの部分により多く触れてきて
 どれに一番印象強そうなのか?

・意識して一皿の中で、
 さらにコース全体でも流れを加味して
 構成していく。

・近年では、旨味と酸味に偏りがちな印象。
 改めて、五味それぞれや、
 4種の効果を考慮して
 より単一フォーカス的に味覚のアプローチを。

・複雑なアプローチを目指すには、
 単調的なところから
 段階的に解像度を上げていく必要がある。
 もしくは、
 解像度が既に高いお客様にのみ
 そう言った料理やサーヴィスを提供するか。

 短期的には、
 コースの始めからゴールに向けて
 食べ手の味覚を段階的に誘導したり、
 長期的には、定期的に来るお客様や
 会員制度などにして
 食べ手の"味覚" 自体を成長させていくか。
 もしくは、
 複雑な味覚に慣れている
 解像度が既に高い"お客様"にのみ
 そう言った料理やサーヴィスを提供するか。

 


☆その他
・"旨味" に関して
 旨味は、それだけでは人間は感知しても
 ほぼ"味"としての変換ができない。
 なので、塩分が必要。
 塩分が間に入る事により
 人間が理解できる様に旨味を翻訳してくれる。

・"苦味" は、本来毒の味と認識されてきた。

・第六の味覚 "カルシウム味" を感じる、
 「カルシウム感知受容体」が、
 発見されているが、
 これが人間に当てはまるのか?はまだ不明。

・味覚を感じる「味覚受容体」は、
 舌の他に脳や胃腸を含め上顎や喉など
 全部で8000コの味覚受容体がある。
 一番集中している所が舌。

・脳や胃腸の味覚は、
 血糖値や食欲のコントロールに。
 例えば、脳の受容体には
 甘味受容体と旨味受容体が。
 胃腸には甘味、旨味、苦味の受容体が
 あることはわかっている。
 

・季節により"変化する味覚"
 春よりも秋の方が、味覚感受性は豊かになる。
 なので、より複雑な味覚へのアプローチも
 受け入れやすくなる。



☆結論とポイント

 ①:"1%" の重要性

 ②:五味と4種類の効果を利用する。

 ③:"作りたい料理" だけではなく
   季節やお客様個人、
   それぞれの解像度を考慮するべき。
(これが、回り回って料理人自身の評価にも返ってくる。)


やはり、2本目のヨタばなしで
伊藤の考える"重要な調味料" で話している様に
色々なバックグラウンドがある中で
例えば、
どんだけ美味しい本格的なインドカレーをお店で食べても、それが毎月必ず食べに行くくらい
マイベストになる人は一握りで
やっぱりコレが一番美味い!やっぱりコレだよ!
ってなるのは、大半が
市販のルーを使った各家庭のカレーライス
だったりすると思うんですよね。

"焼きそば" といえば○○のカップ焼きそばだよ!
って言う人に、プロの料理人が
何かのイベントや企画で
オリジナル焼きそば を作り、提供したところで
美味い!ってなるとは思うが
総合的には勝てない。やはり一時的だろし、
何より解像度がそれほど高くない…つまり
複雑さを"求められていない"とすると
訳がわからず美味しくないと受け取られてしまい
料理人自身がかえって
認められなくなってしまう危険性もある。

-------------------
↑さらに詳しく映像で
 気になる方は、YouTubeにて!
[公邸料理人 伊藤] で検索!

[再生リスト]
:本編 Long Ver. 「飲食に関する脳と五感  "触覚" 第一階層」
再生リスト[伊藤のヨタばなし]。から

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?