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薄暮の彼方へ

ベランダに折り畳み式の木製チェアを置いていて、休日によくそこに座っていると、緩慢な時の流れが感じられる。まさに今がそう。⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎子羊みたいな雲が一つだけ斜め右上に浮かんでいるのが見える。⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎その雲を少しずつ左へ押し進めるような微風も向こうにはあるみたい。⬜︎そんなことを思っていると、気分がちょっと良くなってくる。

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私には今日みたいな、頬が少し冷たくなるような肌寒い日が丁度良かったりする。平日に俗世で酷使された心が爽やかに癒えてゆくような感覚を覚える。炎症は冷やすのが良いらしいし。心もそれと同じような感じなのだろうか。

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今は17時過ぎ。ほぐれ始めた心で書く文章はどんなものか気になってきてこうしてベランダでnoteを開いている。⬜︎⬜︎思えばnoteを書き始めて四ヶ月ほどみたい。日記やらで個人的に文章は書いてきたから、書くのには慣れているけれども、人に見られるという緊張感無しで書いたことはない。それは勝手な責任感に由来するものだと思う。自分のためだけに書いているならば外に晒す意味などない。逆に言うと、わざわざ外に晒しているならば、人に見られたいという欲を否定する事は絶対にできないし、同時にわざわざ人に見せるならば読者に読む意味があったと思わせるような文章であってほしいし、私の文章はそうでないといけないと思って書いている。それはまさに個人的かつ勝手な責任感で、本来負う必要のないものだけれど、私はただそれを持っていたいと思う。

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風が吹いて木の葉が揺れる音がする。

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どうしてだろう?私はどうしてそんな責任感を持つことに拘っているのだろう?

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私はいつも誰かの言葉に生かされてきた。どこかでふと聞いたメロディを口ずさむように、いつの間にか触れていた何気ない言葉を反復しては、混沌とした心の濁りが薄れていくような経験を繰り返しながら、人生の谷を進んできた。(言葉はミョウバンみたいに働く?)その経験こそ私が何かを書く意味があることの証明。それを知っているからこそ丁寧に言葉を紡ぐ。これで伝わるのか?と問いつつ書く。自己満足の表現は自由だが大抵美しくないことを知っている。たった一人でもいい。誰かのための美しさが宿っていて欲しい。私はそれに救われてきたから。

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淡青の浅い3月の空を眺めていたら、私は随分と窮屈そうな生き方をしているように見えるだろうなと感じる。このnoteもそう見えるだろうか。だけど気詰まりかと言われるとそんな事はなく、noteでは書きたいように書けている。ありがたい事に毎記事読んでくれている方もいる。ありがとう。私はただここでは書くことに誠実でありたいだけなんだと思う。

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あぁもうすぐ日が暮れる。眩い夕陽が見え始める。

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夕暮れを見ていると私はこんな風に生きたくは無かったと思ってしまう。酷く傷ついて引っ込めたはずの欲求がまた私を空回りさせる。いつもそうだ。もう傷つき慣れてしまって痛みより悲しさが溢れ出す。何度も私を裏切ってきた私を私はもう信用できない。自分さえ信じられない私はこの世界の何を信じれば良いのだろう?そんなことを夕暮れの空に問いかける自分にまた辟易する。もう諦めただろう?それは。⬜︎⬜︎⬜︎自分に囚われるのさえ無駄だよ。僕らどうせ下らない。彼の言葉を思い出す。少し落ち着いてじっと夕暮れを眺める。もうすぐその時だ。

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日没後も遥か遠くの地平線沿いを赤く濁す朧げで頼りない光。薄暮の空。この時がずっと待ち遠しかった。まるで命が消えていくような空。あの彼方へ行きたい。うざったい集合住宅を超えてあの商業施設群の更にもっと遠く向こうへ。強く羽ばたいて遠く遠く向こうへ。暮れる地平線を越えれば何かがある気がしてならない。苦しみさえ幸せと等量の価値しか持たない世界へ。そう感じられる私がいる方へ。矛盾なんて通り過ぎて自己から解脱した境地へ行きたい。あの薄暮の彼方へ。

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昔からそればかり考えている。夜が来る。

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