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連続小説「アディクション」(ノート39)

ギャンブル依存症から立ち上がる

この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。

〈「面接」〉

クリスマスイベントの料理対決は、今回から急遽廃止になり、まあその、他のグループの調理のレベルが低過ぎて販売となるとアディクショングループ以外は全然売れず経費のムダということで、

今回から、アディクショングループ主導で、ラーメンとカレーを販売することとなり、ラーメンのリーダーが私でカレーが玉井さんとなり、他のグループからも希望者を募って参加できる仕組みになりました。

ラーメンの方は主に「握手会組」で構成され、迫丸さん、根市君、加茂川君と味見役で淡河さんと魚さん。カレーは大北さんが久々に参戦され、他にはノブさんと、メンタルヘルスから柳田さんとあかねんも参戦することになり、玉井さんは大喜びしていました。

どちらもかなりレベルの高いものに仕上がり、今回のラーメンは「鶏塩ラーメン」を出品し、100食たちまち完売。カレーの方も同じく完売しました。

そして2017年は終わり、年が明けて2018年を迎えました。

私は料理について色々面白くなってきたのもあって、本格的に調理を学んで資格を取ろうと思うようになりました。そして、都内の調理師専門学校の夜間部に願書を出しました。

筆記試験とかは特に行わず、面接試験で合否が決まるというか、大概面接で入学が決定されるということなんですが、年明け早々に、その面接がありました。

「公務員を辞められて、調理師を目指すきっかけは何ですか?」

「心身を病んで仕事に行けなくなり、精神科で治療に専念していた時に、その病院のプログラムで料理があってそこから興味が膨らんできました。」

このときは敢えて「ギャンブル依存症」とは言いませんでした。

「なるほど。調理師って、どんな仕事だとイメージしてますか?」

「現場で罵声が飛び交い、きちんと仕事をしないと大変な感じです。」

そもそも楽しく明るいイメージは持ってなくて、私が調理師として働くには個人経営1択しかないと考えていました。

「そうですか。確かに仕事は大変です。まぁそのためにも学んでいただければよろしいかと思ってます。」

「そうですね。よろしくおねがいします。」

まぁ、定員割れもしてるし、合格は間違いないんだろうなと感じました。

「ところで、夜間部の入学ということになりますけど、色んなタイプの方々がいらっしゃいます。そういう人間関係的なものは大丈夫ですか?」

「あ、はい、それは全く大丈夫です」

そりゃあ、クリニックで魚だの淡河だのコーさんだのと関わっていれば、大概大丈夫に決まっているでしょう。

てか、このクリニックに来て確信したのは、「自分には怖い人間は誰一人いなくて、むしろ一番怖い人間は自分だ」ということでした。私の人間関係の良好な構築への課題は「感情のコントロール」ってことになると常々思ってます。

後に某飲食店でバイトしてた時に、私に厳し目に指示を出す店長から

「俺のこと怖いと思いますか?」

と聞かれ

「全然怖くありません」

と答えてキレられたことや

コールセンターの管理者から、皆の前で見せしめ的に注意された時に

「あ、公開処刑ですか?」

と言ったとたんにクビにされたり、

もう少し、こういうところを賢くコントロールできた方が「お得」なのかなと思いつつ、改める気はありませんw

と、脱線しましたが面接も簡潔に無事に終了しました。

いよいよこの、正力クリニックも卒業のカウントダウンが聞こえてきました。


〈「自立」〉

面接を終え、後は4月からの学校に通う準備と、昼間のバイト先をぼちぼち探して見ようかなと、クリニックの休憩時間に漠然と考えていると、

「僕も社会復帰するかな」

「魚(うお)さん、マジで?」

「だって屑星さんと1日違いですよ。ここ来たの。」

「あ、そうでしたね。」

「だから僕も何か始めたいなと」

「何かあるんですか」

「漢字検定でも受けようかと」

「まぁ、いいんじゃないですか?」


「おい、魚!そんなくだらんこと考えているのか!」

後ろで理事長が立ち聞きしてたらしく

「貴様みたいに何にも自立できてない人間に、漢字検定なんて寝ぼけたことを言う資格はない!ちょっとこい!」

かなり理不尽な言い方だと思うのですが、そんなわけで魚さんは理事長室に連れて行かれました。

そもそもこの人は、このクリニックから出て「自由」になりたくて仕方ないらしいのですが、金銭的とか仕事的とか「自由」になってやって行けるのかつくづく疑問です。

あ、この方なんですが、事情は柳田さんと同じらしくパワハラ被害で精神を病んで休職していて、

ただついでにギャンブル依存にもなってここは私と同じなんですが、

その「生活保護」は受給されてなく、たぶん正式に退社してないようなので休職給やらで生計を立てているのかなと。それと家は親から受け継いだ持ち家なので家賃とかの心配はないとのことです。

で、柳田さんとの違いは、社員として有能か無能かということで、受けたパワハラも前者は理不尽なもの、後者は合理的なもの、と私は理解しています。

今のところ、休職給がどのくらいかわかりませんが、あおたんを「ご利用」できるくらい金には困ってないかと。あとしばらくは生活に困ることは無さそうで、それこそ会社「クビ」になってどうするかなので、しばらくはここにいた方が、下手にこういう人に社会に出られてもロクなことはないので、是非理事長に監視を続けて頂ければと思っていますw

で、誤解して頂きたくないのですが、私はこういう魚さんみたいな人たちを抹殺すべきとはちっとも思ってなくて、むしろこういう人たちが楽しく温々と暮らせる世の中であって欲しいと思ってます。

これは「人生全て運」という考え方のもと「働かざる者食うべからず」という言葉を毛嫌いしている私の価値感からなんですが、今後も「金銭」で世の中回すなら、やる気と能力のある「運のいい人」たちが馬車馬のように働いて高収入を得て、そこからこぼれ落ちた「運の悪い人」たちは、月20万くらいの生活保護をもらってある程度楽しく、パチンコでも競馬でも風俗でも月イチくらいはできるような形にしたほうが、世の中的にも好循環では無かろうかと思っています。

なんて余計なことを考えていたら、魚さんが戻ってきました。

「で、何て言われたんですか?」

「自立したいなら『介護職』目指せと」

「やる気あるんですか?」

「無いけど『はい』と言いました」

「正解です。漢字検定取りましょうよ。私色々と教えられますよ。」

「あ、それも実はやる気ありません。」

「、、正解です。」

今回はここまでとします。

GOOD LUCK 陽はまた昇る
くずぼしいってつ













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