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3月4日(夜)

「らっしゃいませー!」

「予約してた――です」

久しぶりに、夜の外食にやってきた。
近所の居酒屋。
もちろん、家族での来店だ。
―もちろんはおかしいか?
「こちらの席へどうぞー」
あんないされた席に、入り、席に座る。
上座とか下座とか、そんなのは気にしない。
各々好きな席に座る。
私は、出口から一番遠いところに。その隣に妹。
向かいに両親が座る。
「注文お決まりになりましたら、紙に書いて、ボタンでお呼びください」
必要最低限のことを告げ、店員さんは引っ込んでいく。
別の注文でも取りに行ったのだろう。
時間が時間だからか、客はすでにいっぱいに見える。

「なに飲む~?」
机の中心辺りに、ドリンクのメニューを置く。
今日は飲み放題。なに飲むかな……。
「ビール飲む?」
「私オレンジジュース」
「んー……」
もう既に決まったメンツは、食事のメニューを開いている。
「……梅酒のロックで」
「めちゃくちゃ飲むきじゃんWW」
「今日ぐらいは飲みたいよね」
いつもは、ドライバーとして飲むわけにはいかないので、遠慮していたのだが。
今日は代行を頼むと言っていたので、遠慮なく飲む。
まぁ正直、半年ほど、家でも飲んでいないので、いけるかは分からないが。
「食べ物は?」
「ポテトとかないの」
「あるよ」
「サラダは?」
家の人は、割と居酒屋飯が好きなので。
バンバン頼んでいく。
味が濃ゆいのが好きというわけでもないのだが。
何だろう。
不思議とおいしい。
「これは?」
「頼めばいいじゃん」
その居酒屋にしかないメニューとかもあるし。
これは、初めて見た……。おいしそ……。
「とりあえず、これだけでいい?」
「いんじゃない?」
一気に頼みすぎだわ。
今に始まったことじゃないが。
「……」
しかし、久しぶりに来れてよかった。
こういう場所に来るのは、みんな好きなのだ。
「……」
我が家は、何かにかこつけて、割とこういう居酒屋に行く。
あれが流行り出す前までは、一年に1,2回は、行っていたと思う。
―ちなみに今日は、妹の卒業祝いだ。
「……」
前は、新年会とか、忘年会とか。
家族でするものかと思うようなやつで言ってた。
両親がな、のん兵衛もいいところだし。
その娘の私も、まぁ、酒は好きだし。カシスオレンジおいしい。
それなりに強いものもあって。
「……」
あと、居酒屋の楽し気な雰囲気は好きなのだ。
あまり騒がしすぎるのは得意ではないが、でもまぁ。
楽しそうでいいなぁと思って、自分もなんとなく楽しくなって。
いつもより少しだけ、饒舌になってみたりして。
雰囲気だけでお腹いっぱいになる。
「おまたせしましたー」

今日は呑むぞー。

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