見出し画像

魔法の言葉かけ

フリーランス社会福祉士の活動記録

令和6年6月12日(水) 業務日誌

本日の業務は、施設に入居している被後見人Aさんが
先月頃から気にしいてる自宅の屋根の修理について、どうしても
自分で確認したいとの意向があったため、これの外出同行と
それが済んだら、市役所への提出物と支払いの予定です。

そのAさん、いつもの定期面会について、私と面会すると借金取りと
思っているのか、毎回面会後に不穏行動がみられるという理由から
施設からも面会を控えるように言われている方です。

そんなAさんが、先月頃から「家の雨漏りがして畳が傷むから、瓦を交換しないといけない。だから一度家の状態を確認しに行きたい。」との
要望がありました。
施設側とも日程調整し、本日外出同行の為施設に迎えに行きました。

「やあAさん久しぶりでした。お元気でしたか?」と声をかけても
いきなりの第一声が
「お金を預かってください。瓦を買いに行くから」と興奮気味に
話されます。
「家の下見に行くのではないのですか?」と聞くと
「それも行くのよ」と焦った様子で答えます。

ともあれ、車に乗ってもらって家まで連れていくために
施設を出て車のところまで移動しました。
すると「私は、自分で行くから現地で待ち合わせにするが」と
車乗車を拒否され、車椅子に乗ったまま施設外に出ようとします。
「あれー!Aさん車椅子では無理だよ 車に乗ってください」というと
「大丈夫です。一人で帰れますから」と、そそくさと施設の外に向かいますが、施設の入り口は坂道になっていて、到底車椅子で出れるものではありません。
結局、坂の途中で体力の限界を感じて立ち往生しますが、決して車に乗ろうとも、施設に戻ろうともしません。
「大丈夫、一人で帰れますからほっといてください。」の一点張りで
1時間が経過しました。
状況を聞きつけたスタッフ二人が、かけつけ説得を試みますが膠着状態が
経過します。

「困りましたね。」と、スタッフと相談中に、更に他のスタッフが駆け付けました。
そのスタッフが「今日の約束は、家を見に行くことではなかったのですか、みんな待っているから早く行って来てくださいね。」と言うと

なんということでしょう

あれだけ、頑なに動こうとしなかったAさんが、そのスタッフの言葉かけに素直に応じるではありませんか。

それからは、何事もなかったように車に乗り込み、自宅までお連れするものの、歩けないため車中からしか自宅の様子を見ることは出来ません。
そこで「下ろしてくれ」などの無理を言うまでもなく、私が
家の状況をお伝えすると「ああそうですか」と納得されて、無事に施設に
戻ることができました。

午後から、本人の状況確認の為 施設に連絡を入れると
「何事もなかったように落ち着いていますよ」と、ひと安心

今日は、もの凄い魔法を目の当たりにしました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?